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霧の寝台

ガチ×ノンケ専門の官能小説 主なジャンル:GL BL NTR 催眠 調教 監禁 男の娘 女装

幼馴染の美少女に襲われて彼氏と別れることになった話

文章:佐川レンツ


「はぁっ、唯奈っあ!」
「ふふっ、アキのここ、びちょびちょだね」
「ヤダ……いわないでぇ」

後ろから手を回されて秘部を触られる。
唯奈は幼馴染で、最初からこんなことをしていたわけではじゃない。

「彼氏がいるのにね」
「ああっん」

耳元でささやかれる声が体の熱を上げていく。
さらさらと輝く黒髪があたしの肌を滑ってくすぐったい。
全部彼氏とは違う感覚――なのに、拒むことができない。

最初はちょっとしたボディタッチだった。
それがキスになり、服を脱がされと段々エスカレートしてきた。
元々、よくくっついてくる子だったから嫌悪感がそんなになくて。
その上。

「アキ、可愛いよ。気持ちよくなろうね?」
「ひゃんっ、ああ、だめぇえええっ」

唯奈の声が耳の中に飛び込んでくる。
この声に言われると何も逆らう気が起きなくなってしまう。
頭の中がふわふわしてきて、目の前の唯奈のことしか考えられなくなる。
この状況がいいはずないってわかってるのに、あたしはこの関係を止めることができなかった。

「アキの体って本当に綺麗」
「ゆいっ、な、に言われても……んっ」
「うれしくない?」
「違うっ嬉しいけど、あんたのほうが、綺麗だし」
「わぁ、嬉しい。ありがとう」

お腹の上を唯奈の手がゆるゆると撫でていく。
さっきまで愛撫されていたせいで敏感な体は、その刺激だけでぴくぴくと下腹部を揺らした。
どろりと自分の秘部から熱い液体がこぼれるのを感じる。
それが恥ずかしくて、顔をそらすと唯奈の手で真っすぐ前を見させられた。

「だーめ、えっちなアキのことちゃんと見てなきゃ」
「唯奈、これっ、はずかしっ」

自分より華奢なはずの唯奈に足を開かせられて、自分の恥ずかしいところを直視される。
それを考えただけで体温が上がりそうだった。
へその下あたりから、たまに掠めるように陰核を触られるとそれだけで腰が浮きそうになる。
つよく立ち上がったそれはじんじんと熱を発して痛いくらいだった。

「触って欲しそうな色してるよー、ここもひくひくしてるし」
「んんっ、あっ、ふぁん、こすん、ないでぇっ」
「だめ、気持ちよさそうだもん」

唯奈の指が尖った陰核の先を撫で上げる。
細い指の腹で転がすようにされるとたまらなかった。
「もっと」と強請ってしまいそうになるのを、理性が必死に押しとどめる。
唯奈の指が欲しい。
もっと気持ちよきなりたい。
身体は自然と背後から手を回す唯奈の体に傾いていた。
ふわりと香るのは甘い匂いで、好きな香りにうっとりとしてしまう。

「アキ、イきたいでしょ?」
「そんなぁ、こと……んぅ、ああっ、ないからぁっ」
「嘘つきだ」
「ひゃあん、あんっ、ああ!」

急に差し込まれた指にお腹がびっくりする。
求めていた刺激を逃がさない様に子宮が細い指を締め上げる。
中を唯奈の指が動いてフラッシュバックするように視界が白くなる。
快感にこのままアキに身を任せそうになってしまう。

--♪

「アキ、電話だよ?」
「え、へぇっ、あ、んっ」
「ほら、出て」
「むりぃいっ、あっ、んうっ」

唯奈に無理やり手渡された電話。
そこに表示されていたのは彼氏の名前。
後ろから動かされる手はそのままに、通話ボタンを押されてしまう。

「ひゃい、なにっ?んっ」

「うん、んぅ……ぁ」
「アキ、ちゃんと喋んなきゃ」
「唯奈が動かすからぁん、でしょ!」

彼氏の声なんてほぼ理解できない。
唯奈がしゃべるタイミングに合わせて、中の指を押し込んでくるから、そのたびに思考が溶かされる。
早くこの会話を終わらせてしまいたい。

「うん、うん、わかったからっ」
「唯奈、気持ちよくさせてほしかったら、別れてね?」
「へぇっ?!そ、そんなぁっ」

電話を当てているのと反対側の耳を舐め挙げられる。
そのまま、唯奈の可愛らしい声が頭に響く。
唯奈に気持ちよくさせてもらいたかったら、別れなければならない。
快感で熱い身体が一瞬で冷えてしまうかのようだった。

「あ、ごめっ……んっああ!」
「ほら、気持ちよくなりたいでしょ」

でも唯奈の手がすぐに動いて中の一番奥を押し上げる。
子宮ごと持ち上げられるような動きに思考は真っ白になる。
電話しているスリルもあって、あっという間にあたしのからだは絶頂の一歩手前になった。

「んっ、でもぉ……!」
「ほらぁ、はやく」
「ふぁあん!だめぇええ」

とっさに電話を離したけど、絶対に聞こえていたと思う。
だけど唯奈は手を放してくれなくて、快感に理性が焼き切れる。
首筋を噛まれ、それだけイきそうになった。

「あのさ、悪いけど、別れて!もう付き合えないからぁ」

ほぼ、叫ぶように告げて電話を切る。
そのまま首だけで後ろの唯奈を振り返れば、その顔は嬉しそうに笑っていた。
ぞくりと背筋に快感が走る。
それだけで、あたしももう唯奈から逃げられないことを悟った。

「もう、はやくぅ、これで、いいでしょっ、ひゃんんぅ!」
「うん、満足。たっぷり、気持ちよくしてあげるね」

増やされた指がさっきより強く、早く子宮を突き上げる。
同時に陰核も潰され、あたしの脳は快感にスパークした。

「ひゃ、ああああん、きもちいい!唯奈、きもちひぃよおお!」
「アキ、可愛い」

彼氏を切ったことなど、あっという間に頭の中から消え去って。
あたしの中は唯奈一色になる。
それがとても幸せなことに思えた。
[ 2017/08/21 00:01 ] 短編 | TB(-) | CM(0)

見つけたのは。

文章:安村宙



彼女を見た時、私は強く思った。
私のものにしたい、と。そう、強く。
ただそれだけの感情が私の体を支配した。
彼女と私の出会いは、職場だった。私が入社して二年後、彼女は入社してきた。その瞬間から、私は彼女のその瞳に惹きつけられて仕方がなかった。


「初めまして、灰谷、千佳さん。今日からこの部署で働くことになった、岡田満里奈です。宜しくお願いします」


 遊んだことが無いのだろうな、とうかがわせる真っ新な黒い髪。誰のことも疑ったことが無いのだろうな。と思わせる真っ黒な瞳。誰にもけがされたことが無いのだろう、とわかる真っ白な肌。


「よろしくね、灰谷さん」


 私は心臓の高鳴りを隠すのに必死だった。
 この子をめちゃくちゃにしたい、と、そう強く思っているのを、隠すのに。



     

 私は、女しか愛せない。
 男は、汚らわしい。
 私が十八の時、そのとき付き合っていた人と体を結んで分かった。あんな汚らしい肉棒が、自分の中に這入ってきて来ることに、私は快感にイってしまうどころか、吐き気を感じるばかりだった。私は、その時初めて、自分が男を拒絶しなければならないのだということを知った。
 それから、私は何人かの女性と体を結んだ。
 それはとても、高尚で、神秘的なことだった。女性の舌が私の乳房を嘗め回す感覚。たおやかな指が私の中に這入って来る感覚。初めて私は快感というものを知った。
 でも、その快感はいつも何かが足りなかった。何が、といわれても分からなかったのだけれど、何かいつも蓋がないペットボトルみたいな物足りなさを感じていた。
 その理由が、彼女に会って、私はわかった気がした。何が、足りなかったのかを、私はそして、知ることになる。



     

「今日は付き合っていただいてありがとうございました」


 私は、岡田さんと二人で、お酒を飲んでいた。
 彼女が働き始めてからもう一年が経とうとしていた。私が彼女に心を奪われてからというもの、私は不自然にならないように彼女に近づいていった。じわじわと外堀を埋めていくようなこの生活は、苦痛ではあった。けれど、私には一つ、思い描く理想があったから、それに私は耐えられた。


「灰谷さん、聞いてくださいよ」

「どうしたの?」


 彼女は私に悩みの相談をしてくれるくらいに心を開いてくれていた。


「最近、彼氏に振られちゃって……」


 私はその話に相槌を打ちながら、彼女には心配そうな顔を向けて、しかし内心では理想が近づいてきたことに、興奮を覚えていた。


「仕事もうまくいかないし、悪いことって続かないものですね……」


 彼女は一気にお酒をあおった。彼女は、悩み事があるとお酒を飲んで忘れようとする癖がある。私はそれを知っていた。


「そう悪いこと続きじゃないかもよ?」

「え?」

「いや、悪いことが続いてる時は、私良いことがある予兆だって思うようにしてるんだ。人生山あり谷あり、ってよく言うでしょ」

「それ、すごく素敵な言葉ですね」

 そして、彼女は酔うと人との距離感が近くなる癖があることも知っていた。彼女は、鼻と鼻が触れ合うくらいの距離にまで顔を近づけてきた。
 私の心臓は張り裂けそうだった。ヴァギナから、甘い蜜があふれ出しそうになっているのを、私は感じていた。


「今日、私の家こない? 明日、休みだし」

「え、いいんですか? やったー。家に帰ると彼氏のこと思い出しちゃうから、あんまり今日は帰りたくなかったんです」

「それならよかった」


 私は、理想が成功へ一歩ずつ、唐突に歩みを始めたことを感じていた。

     

 私は、どうして彼女に心を惹かれるのだろう、とずっと考えていた。
 それまで出会った女性の誰にも感じたことが無いような喜びを、興奮を感じたのか、ずっと考えていた。
 そして私は気づいたのだ。
 私は、彼女が恋をしている人間だと無意識のうちに感じたから、興奮したのだ、と。
 奪いたい、と思ったからなのだと。
 彼女は、私のように女しか愛せない人ではない。
 普通に男を愛し、男に抱かれる人だった。だから私は思ったのだ。
 この人を、私の手で、女しか愛せない、女としか交われないような体にしてしまいたい、と。そう、強く思った。

     

「先輩の家、すごく綺麗ですね」


 酔っているせいで、いつもよりもワントーン高い声で彼女はそう言った。途端に部屋に満アルコールの臭いが、私には心地よかった。アルコールの臭いと言えど、彼女によって作られた臭いに、私の体は誘惑された。


「ちょっと水のんで落ち着きなよ」

「そうします」


 私は彼女をリビングまで導いて、ソファに座らせた。どっさりと体を落とした彼女は、ソファに手を滑らせた。真っ白な手が、今はほんのりと朱色に染まっていた。
 私はキッチンに向かった。興奮で、理想がもう目の前にあるという興奮で、手が震えだしそうなのを止めるので必死だった。
 私は、戸棚からコップと、ある瓶を取り出した。その瓶には、ある薬が入っていた。私はコップに、蛇口から冷たい水を入れた。コップを持つ手が冷えていくので、私は体が想像以上に熱くなっているのを感じた。
 もうすぐ、もうすぐだ、と思った。焦るな、焦るな、と思った。
 キッチンにコップを一度おいて、震える手で瓶のふたをゆっくりと開けた。落としそうになるのにひやりとしながら、何とかそれを開けた。
 そして、中の薬をぽとり、と落とした。水の中にそれはふわりと溶けていって、私の体の緊張も、少しほぐれた。


「もうすぐだ、もうすぐだ」


 私は小さく声に出した。キッチンから、彼女の姿が見えた。彼女はソファに体を預けて、今にも眠りそうな様子だった。


「岡田さん、ほら、水」

「あ、ありがとうございます~」


 間延びする声。鼻に抜けるようなその声を聴くだけで、私のリビドーは暴れだしそうだった。もうショーツの中はぐっしょり濡れていて、少し動くだけで気持ち悪かった。


「ああ、冷たい」


 彼女はそういって笑った。私は彼女の隣に座った。
 もうすぐ、彼女の体は熱くなる。
 私は、自分の分の水をゆっくりと飲みながら、効果が出てくるのを待った。
 さっき彼女の水に入れた薬は、媚薬だ。
 薬に頼るのは、アンフェアなような気もしたが、最初の一歩を踏み出させるには、理性のたがを外す必要があったのだ。一度外してしまえば、そこからは楽だ。


「あれ、なんか体また熱くなってきた」

「私もよ?」


 彼女の眼は、少しだけとろんとしてきた。
 私は、ゆっくりと彼女の手に指を絡めた。


「は、灰谷さん?」


 彼女は少し戸惑いの声を上げた。でも、それで止まる私ではない。もう、ここからは止められないのだ。


「あッ……」


 私は彼女の唇に、自分の唇をあてがった。
 吐息が漏れ、アルコールの臭いが私の鼻を刺激した。


「ま、待って!」


 彼女は私の肩を押しのけた。ソファの上で彼女は後ずった。


「は、灰谷さん……? どう、したんですか……?」

「今まで隠していたけれど、私ね、あなたのことが好き。あなたを、私のものにしたい」

「……」


 私の目をじっと見つめる彼女。私は、もう一度唇を近づけた。


「だ、だめ……」


 彼女は、やっぱり戸惑いを隠せないままだった。


「ねえ、あなたと、交わりたいの」


 私は彼女の耳元にささやいた。
 沈黙。部屋の中で、空気が流れる音だけが私の耳にきこえた。


「怖いです、灰谷さん……」


 彼女の肩は小さく震えていた。


「やってみないと、分からないこともあるんじゃないかしら?」

「いや、です」


 彼女はまだ、アブノーマルな私の恋愛の形を受け入れようとはしてくれなかった。
 でも、媚薬はもう効いているはずだったから、私は試しに乳房を優しくなでてみた。


「や、やめてっ!」


 彼女は私から必死に遠ざかろうとした。媚薬の力があったとしても、やはり彼女にとっての常識外の世界は、恐怖に満ち溢れていたのだろう。
 私は強引に、彼女の服を脱がせようとした。


「い、いやああああ!」

「気持ちイイこと、しようよ?」

「や、やめてっ!」


 私は彼女のブラをはぎ取り、彼女の乳首を吸った。


「ん、んんッ!」


 彼女は身をよじりながら逃れようとするも、熱くなっていく体に徐々に抗えなくなっていることが、私にはわかった。


「やめて、い……んぐっ、んぐっ!」


 私は彼女の唇を、自分の唇で強引にふさいだ。彼女の叫び声を、私は唇を吸いながら、吸い取っていった。
 それをしながら、彼女のもがくからだを右手で抑えつつ、左手で下半身を守っていたスカートとショーツをはぎ取った。


「んんっ、んんっ!」


 彼女は何かを叫ぼうとしていたけれど、やはりその声は私の口の中に響くだけで、形にはならなかった。
 私の指は、ゆっくりとヴァギナの中へ入っていった。そこはもう濡れていた。


「でも、濡れてるよ?」

「そ、それは……」


 私の言葉を否定する声は、やはり徐々に弱くなってきていた。


「気持ちよく、してあげるから」


 私は指を挿れた。ぐちゅぐちゅと音を立てながら私は指を動かした。ときどきGスポットを刺激しながら、何度も何度も、動かした。


「や、あ、ん、いや、あ、ん、だめ」


 私は彼女に乗りかかって、左手はそのままヴァギナを、右手は乳首を、唇で彼女の唇を、同時にいじくりまわした。
 彼女はまだ逃れようともがきまわっていたが、その力もやはり、徐々に弱くなってきていた。
 感じるたびに、びくりと、腰が浮きあがった。


「ん、んんっ!」


 私はソファの下に隠してあったバイブレーターで、クリトリスを刺激した。


「ああああああ!」


 彼女はとうとう絶頂の声を上げて、愛液を飛び散らせた。
 彼女は息を切らし、それでもまだ腰をびくびくと疼かせていた。
 私は、とうとう彼女を快感の中に堕としたのだ。


「どう?」

「も、もうやめて……」


 彼女は、それでもまだ理性の縄に縛られたままだった。


「まだ、足りないかしら」


 私はもう一度バイブレーターを握って、彼女のヴァギナの中に挿れた。

     



 翌朝、私たちは同じベッドの中で、裸のまま絡み合って目覚めた。
 あれから、私はソファの上から強引にベッドの上まで彼女を連れていき、何度も、何度も攻めた。彼女はそのたびに、何度も、何度も絶頂した。


「おはよう、岡田さん」

「は、灰谷さん、おはようございます」


 彼女の心は、徐々に傾き始めていることを確信した。私の理想は、ここから始まるのだ。
 彼女は何度も快感に堕とされたために、相当疲れたのか、夜明けが近づいてきたころに、私の前で全裸のまま、無防備に眠ってしまった。
 私は、彼女の寝顔を見つめながら、夜を明かした。


「今日はお休み、よね」

「は、はい」

「じゃあ、もう一度、しない?」

「え、でも……」


 やはりまだ戸惑いは混ざっている彼女の態度。私は、彼女を女しか愛せない体にしてしまいたいのだ。彼氏のことなんか、男のことなんか忘れさせて、私だけしか愛せない体にしてしまう。それが、私の理想だ。


「気持ちイイこと、しない?」

「……」


 彼女は、肯定しようとはしなかったけれど、もう顔は赤く染まっていた。そうだ、それでいい。
 また私は、彼女の乳房を愛撫した。部屋の中には、彼女のうめき声がこだました。

     



 それから、来る日も、来る日も、彼女と私は体を交わした。
 私と彼女が同じ空間にいる時間だけ、私たちは交わった。愛液を散らした。


「あ、あぁんッ!」


 私は、今まで自分のヴァギナに挿れて遊んでいたバイブレーターを彼女の中に挿れた。そして、何度も動かした。ぐちゅぐちゅという音だけが、部屋の中に響き渡った。Gスポットを時々つきながら、何度も、何度も。


「う、うぅん」


 ベッドのシーツを握りしめ、絶頂してしまうのを我慢する彼女。でも、私はそれでも、その手を止めず、何度も何度も彼女のヴァギナを刺激した。
 彼女はやがて絶頂し、愛液をとろとろと流れ出させた。ベッドの上には、もう何日分もの愛液がしみ込んでいるような気がした。


「気持ち、イイ……!」


 彼女はもう、私を求めずにはいられない体になっていた。
 
     



 その関係が始まって、もう一年が経つ。
 それから、私と彼女は二人で暮らし始めた。というよりも、私が強引に彼女を私の部屋につなぎとめた。そして、彼女は仕事を辞めて、ずっと私の家にいる。
 彼女が仕事に不満を感じていたのは知っていたから、彼女を仕事から引き離すのは簡単だった。
 彼女が私の家に始めて来てから、二か月と経たないうちに、彼女は仕事を辞め、私の家に越してきた。
 一度交わってからというもの、彼女は私の言いなりになった。彼女の混じりけのなさは、その純粋なまでの盲信を後押ししていたのかもしれない。
 男との交わりの中では感じることのできなかった絶頂を、私が教えたからだろうと思う。


「おかえり、千佳」


 私が家に帰ると、もう彼女はとろりととろけた目をしている。
 私は、彼女の体を変えた。
 毎日、毎日、私と彼女は交わった。一日も欠かすことなく、毎日。指でもてあそび、舌でもてあそび、玩具でもてあそんだ。彼女が快感に上り詰めなかった日は、一日として、なかった。
「今日は、おもちゃで遊んでほしいなぁ」
 彼女は、帰ってきた私の体にすり寄ってきて、そう言った。


「どのおもちゃで?」

「うーん」


 彼女は、もう出会った頃の清純な目をしてはいない。ずっと甘えたげな、物欲しげな目をしている。私は、その目を見るたびに、ショーツを濡らす。


「じゃあ、全部であそんでほしい、な」


 自分の体で遊んでほしい。彼女は、毎晩、私が帰ってくるたびにそういう。そして、毎朝、朝起きるたびにそういう。
 それまで知らなかった快感から、もう彼女はもう逃れられないところまで来てしまったのだ。
 男を愛していた彼女は、男に抱かれていた彼女は、もう男を愛しはしないし、男に抱かれはしない。
 彼女は私だけを愛し、私だけに抱かれる。彼女は、私だけのものになった。
 私は、笑いながら、彼女を抱いた。
[ 2017/08/29 00:05 ] 短編 | TB(-) | CM(0)

どうぞ

文章:仁科十蔵


「マッサージ店の潜入取材をしよう」
 と思ったのが、この、世にもおぞましい事件の始まりだった。

 私の名前は、中村桃子。
 二十一歳の同人漫画家で、ペンネームは野中花火である。
 今日は漫画の資料をあつめるために、エステマッサージのお店にやってきた。
 いわゆる体当たり取材というやつだけど、インタビューや撮影の許可は取っていない。隠し撮りだ。それはリアルな現場を知りたいから――というより、私に取材をお願いする度胸がないからなのだった。
 待合室でぼんやりしていると、声をかけられた。
「中村さーん?」
「はいっ」
「お待たせしました、一番奥の部屋ですよ」
「あっ、はい」
「そちらにエステ下着を用意しておりますので、着替えてお待ちください」
 私は受付を済ませると、カバンを持ったまま奥の部屋に行った。
 ドアを閉めて、中に戻る。
 ベッドに白いスポーツブラとショーツが置いてある。
 私はそれに着替えると、カバンを部屋の奥にセッティングした。
 それから隠しカメラの電源をオンにして、部屋全体がよく写るようにした。
「これも良い漫画を描くためですよ」
 実は盗撮について調べたことがある。
 もちろん漫画のためだったし、実際、盗撮シーンも描いた。
 読者からのツッコミは一つもなかったから、そのやりかたで問題なく盗撮できると思う。まあ、できるかどうかは今日分かる。
 だって、漫画とまったく同じ盗撮のしかたをしてるのだから。
「あっ、罰金だ」
 部屋の壁に貼られた注意書きには、『隠し撮り等の行為があった場合、五〇〇万円以上の罰金を請求します』と書かれていた。
 私は冷や汗をかいた。しかし、見つかるわけないと思った。
 正直に言うと、今さらめんどくさかった。
 だから私は隠しカメラをそのままにして、ベッドに腰掛け、足をぷらぷらさせていたのである。やがて、すらりとしたお姉さんがやってきた。

「お待たせしました。本日はよろしくお願いします」
 お姉さんはそう言って、冷然と笑った。
 まるで氷の花だ。氷のような誇りと、花のような妖艶さと――こんな女性は、生まれて初めて見たと、私は萎縮した。
「さっそくですけど、あお向けになって寝てください」
 お姉さんは、私に上体をかぶせるようにしてそう言った。
 モデルのようにやせているのに、その胸は意外にも迫力がある。
 それを白衣が押さえつけている。
「リラックスしてくださいね」
 か細い首筋は、白衣よりも白い。
その肌は首だけでなく腕までもがきめ細かくて、産毛はおろか、毛穴すらひとつもなさそうだ。もちろん、ぴっちぴちのぷるんぷるんである。
「今日は、とっておきのオイルを使いましょう。実は久しぶりに入荷したんですよ」
「そうなんですか?」
「漢方薬が含まれているんです。ニューヨークではお肌のハリが変わると評判で、しかも、最近はセレブのあいだでも流行ってしまって」
「まあ」
 それで私もお姉さんみたいになれる――とは、さすがに思わなかったけれど。
 ここに通えば、そのうち私もあんな風になれるのかな――くらいのことは思った。
 さらに、大好きなアニメキャラに相応しい女になって、そのうちリアルでも素敵な彼氏ができて、処女も捨て去って――なんて欲張りな妄想もわいてきて妄想が止まらなくなっちゃって。
「野中さん?」
「はうぅ!?」
「ぼうっとしてましたけど大丈夫ですか?」
 お姉さんはそう言って、私にタオルをかけた。
 タオルは、私のおへそから太ももまでを隠している。

 ※

「これからオイルを使ってマッサージをしますけど」
 と言ってお姉さんは、私のブラに手をかけた。
「ちょっ」
「オイルが染みてしまいますので、上げますね」
「あっ」
 私はブラを上にずらされた。
 ぷるんと乳が出た、というより、乳首があらわになった。
「マッサージしていきます」
「ひゃっ」
「冷たいですよね。でもそのうち内側からポカポカしてきます」
「……はい」
 お姉さんは、両手で大きく円を描くように、私の体をなでまわした。
 胸を下から上げて、外側から寄せるように、オイルをたっぷり使ってこねている。
「んっ」
 さりげなく指が乳首にふれる。そういうところをふれられるのは、相手が女性とはいえ嫌だ。というより、女性だから嫌だ。よく声優が「女同士だから平気です」とかいう、いわゆる百合営業をしているけれど、私はむしろ逆だと思うのだ。女同士だからむしろ気持ち悪い。だって、もし「同性だから(体の構造が同じだから)平気です」という価値観が一般的・普遍的なものならば、世の中の母親と娘は、平然と乳首をいぢりあっていると思う。父親だって、たまに息子の肉棒を握っては、その成長を確かめることだろう。そんな日常は嫌だ。少なくとも私は、おぞましく思う……なんて、本心をぶちまけてみたけれど、しかし、そんなことを言っている場合ではない。
 だってお姉さんは、懸命に私を美しくしようとしているのだから。
 それに漫画の資料にするべく盗撮している最中なのだから。
「専用機械を使いますね」
 お姉さんはそう言って背を向けた。
 やがて振り向いた。
 お姉さんの手には、口紅のような物が握られていた。
 ヴィイイィイイインンン!
「これを使ってマッサージしていきますね」
「ひゃぅ」
「オイルをたらしながら微細な振動を送ります」
「あ、あっ、でもっ、これって」
 ローターだよね。
「振動によって浸透率が高まるんですよ」
 お姉さんはオイルを塗りつつ、ローターを私の体にあてた。
 そのうち乳首を集中攻撃しはじめた。
「ひっ! ちょっ、あはは、ちょっと」
 私は笑いながらも抵抗する。
 だけどお姉さんは、外科医のような眼差しで、私にローターをあてている。
 感情が顔に現れない。
「乳首からは、よく体内に吸収されますので」
「やんっ」
 しかし、そうだよね。
 お姉さんは、施術しているだけだ。
 これはエステマッサージなのである。
 だから私は堪えることにした。
 機械を当てられるだけなら、手で直接さわられるよりもマシである。

「これから下半身に行きますね」
「あっ、はい」
「ちょっとオイルで汚れますので、ショーツを外しますね」
「えっ、それは」
 と、私が拒む前に、お姉さんの手はショーツにかかっていた。
「……はい」
 私は腰を少し浮かせた。
 するとお姉さんは、慣れた手つきでショーツを脱がし、そこにタオルをかけた。
 ヴィイイィイイインンン!
「またですかあ?」
「インナーマッスルに働きかけていきます」
「うーん」
 私はやんわり断った。
 だけどお姉さんは、うなずいただけだった。
 ローターを私の太ももの内側に当てたのだ。
「あんっ」
 そこから円を描くように、オイルで太ももを濡らしながら付け根のほうへと向かっていく。
「ひっ、んくぅ」
「あの、あまり動くとマッサージが」
「あんっ、すみません」
「大丈夫ですよ」
 と、お姉さんは言ったけれど。
 しかし、ローターは股間を目指している。
 大きな円を描きながらも、その軌道に陰部をしっかり捕らえている。
 陰部には直接当たってないけれど、それでも振動が伝わってくる。
 その様子は、タオルで隠れて私からは見えない。だけどやっぱり狙ってる。
 ちょっと不安感をおぼえた私は、釘をさした。
「ここ、やっぱり集中的にやるんですね」
「体の中心ですからね」
 しかしまったく動じない。
 むしろ近くから振動させてきた。
「ひっ」
「大丈夫です。我慢しないでください」
「んくぅ」
「声、出しちゃってください。体の内側から出るものは我慢しないでください」
「ん、あ、はぃ……」
 言われたとおり声をあげると、刺激が先ほどよりも弱く感じられた。
 ひどく心地のよいものとなったのだ。
 けれど――。

「ちょっとすみません」
 と言って、お姉さんは突然マッサージを止めた。
「うつ伏せになってもらっていいですか?」
「えっ、はい」
 私はお姉さんに言われるまま、うつ伏せになった。
 枕に顔をうずめた状態だ。
「ちょっと待ってくださいね」
 お姉さんの声が遠くなった。ガサガサと、かすかな音がする。
 そしてしばらくするとローターのふるえる音がした。
「リラックスですよ」
 お姉さんは、私の背中をローターでなぞる。
 お尻にたっぷりとオイルをかける。
 私は顔を枕に埋めているから、自分が今どんな状態なのかまったく見えていない。
 だけど下半身がオイルで、ぐちゃぐちゃなのはよく分かる。
「振り向かないでください、リラックスですよ」
「はぃ」
「四つんばいの姿勢でお願いします」
 私は枕に顔を埋めたまま、情けなくお尻を突きだした。
 割れ目にローターが当てられる。
「あんっ」
「大丈夫です、内転筋伸びてます」
「ひ、あ、あ、あああっ」
 ローターが割れ目をなぞる。
「体の中心の筋肉に、直接働きかけています」
 オイルまみれの蕾(つぼみ)にあたる。
「ちょっとクリっ、当たっ、て、るんですけど」
「ええ、内側からも」
 お姉さんは無感情に、ローターで蕾(つぼみ)をなでた。
 そうやって開こうとしている。
「だめぇ」
 お尻を押さえられると、身動きがとれない。
「集中して、もし体が声を出したいと言ってきたら、自然にそれに従って」
「あん、らめぇ」
「気持ちいいに従ってください」
「や、やあ、だ、だめええぇっ!」
 こらえきれず私の背筋が反り上がる。
 そして。
 ローターの当たった陰核のその下からは、大量のオイルと、それからおそらくは愛液が弾けて飛び散った。
「は、あ、あ、ああああっ……」
 私はエステマッサージを受けて、あろうことか逝った。
「大丈夫です。お客さん、このサービスをすると、だいたいそうなりますから」
「ううぅ」
 私はお尻をつきだした姿勢から、横を向いて丸まった状態になった。

 ※ ※ ※

「仰向けになってください」
 お姉さんは、私の息が整う前にそう言った。
 私が仰向けになるのを手伝った。
「せっかく体のゆがみを直したので、手はまっすぐにしてください」
 そう言って私の手を下ろす。
 私にかかっていたタオルをはがす。
「やっ」
「隠さないでください、手はまっすぐですよ」
「でも」
 私はベッドに全裸で仰向けになっている。まあ、オイルまみれのスポーツブラがスカーフのように首にからみついているのだけれど。
「先ほどのマッサージで体のゆがみが直ってます。そうやって動いていると、もとに戻ってしまいます」
「……はい」
 私がおとなしくなると、お姉さんはオイルをたらした。
 それから今度はローターを使わずに、直接手でマッサージした。
 お姉さんの両手は、大きな円を描きながら、私の体を外側から中心へと向かってマッサージする。胸を寄せて上げるように、太ももを下から絞り上げるように、ウエストに沿って何度も上下に往復して、おへそにオイルを運ぶように、お姉さんは私の体をマッサージする。そしてその手は、おへそからまっすぐ下へと――。
「あん」
 お姉さんの手が、私の恥丘にそっと乗せられた。
 まるでPCのマウスを持つ手のように、添えられた。
「え、やだ」
 私は、キュッと太ももを閉じた。
 というより、いつの間にか、だらしなく開いていたそれを、あわてて閉じたのだ。
「力を抜いてください」
 お姉さんは、まるでマウスでも操作するように、手を上下に動かした。
 オイルがくちゅくちゅと音を立てる。さらにオイルがたらされる。
「インナーマッスルに働きかけてます」
 と、お姉さんは言ったけど、しかし、そんなもっともらしいことを言われても女の人に股間をさわられるとかありえない。いや、さすがに割れ目を開かれたり、指を入れられたりといったことはないけれど、というより、そんなこと絶対に許さないのだけれど、それでも恥丘をこねられるというのは気持ちがいいだけに、気色が悪かった。
 こういうことは、好きな男性にやってもらうことだろう。
 と。
 そんなことを思いながら堪えていたら、
「ひゃ」
 お姉さんの指が、割れ目を押した。
 そうやって指と指のあいだに陰唇をはさみ、オイルを馴染ませた。
「らめっ」
 思わず手をつかんだら、
「手はまっすぐですよ」
 と無感情に言われた。
 私はお姉さんの顔を見た。
 お姉さんの表情は変わらない。
 粛々と私の陰裂にオイルを塗っている。
 本当に――感情が顔に出ない女性(ひと)だ。
 この状況で、何も思っていないわけがないのに。
「色素沈着をやわらげる効果があるんです」
 お姉さんはそう言って、中指のおなかで、私の入口を押した。
「んんあっ!」
 私は腰をくねらせた。
 懸命に顔を上げて、それから涙目で訴えた。
「私、経験ないんです」
 するとお姉さんは力を抜いた。
 しかし手は私の陰裂に置かれたままである。
 指は突っこまれなかったけれど、今度はパンでもこねるように外側を刺激された。しかも別の手が、私の胸をもみしだいている。
 女の繊細な指づかいが余計に気持ち――悪い。
「体内に浸透させていきます」
「やんっ」
「もし体が声を出したいと言ってきたら、自然にそれに従ってください」
 私は火照る身体をもてあまし、それでもいろいろ抵抗したけれど、そのうちあきらめて結局は、お姉さんに委ねることにした。ちょうど隠しカメラと私のあいだにお姉さんが立っている、盗撮の邪魔になっていることも私を大胆にした。
 そしてその結果。
「ひあっ! だめ、クリ、だめなのぉっ! あ、あああ、あ、あ、だめ、弱いの、だめえぇっ!」
 ビクンと跳ねて大絶頂。
 潮を噴いて、鳴き声をあげた。
 私は快楽におぼれ果てたのである。
 お姉さんは、そんな私を笑顔で見て、冷然と言った。
「隠しカメラなら気にしなくていいですよ」
「え」
 私の全身からドッと汗が噴き出した。
 五〇〇万円以上の罰金――壁の張り紙には、やはりそう書かれていた。

 ※ ※ ※

「盗撮してますよね?」
 お姉さんは、スカートを脱ぎながら言った。
 私は、絶頂と絶望で頭が真っ白だ。
 お姉さんが私の手を取り、自身の股間に持っていく。
 臭いがした。
 なにか、牝(めす)の臭いだ。
 品のない言いかただけど。
「やっ」
「あら自分だけ?」
 お姉さんのくちびるには、うすら冷たい笑いが浮かびあがっている。
 指先に伝わる女性器のあたたかさと、やわらかな感触がおぞましい。
「ほら、気持ちよくしなさいよ」
 これが、あの洗練されたスマートなお姉さんの声だろうか。
 私は、しばらく自分の耳をうたがった。
 それくらい野卑な声だった。
「わたしが報告したら、あなた、罰金を請求されるわよ」
 そしてどんな空とぼけも通用させない一語であった。
 私は、くちびるをふるわせただけで、しばらく声もなかった。
 その間も私の手は、お姉さんの陰部にふれている。
 お姉さんの手は白蛇のように、私の体を這いまわっている。
 お姉さんが吐き捨てるように言う。
「あなたの態度次第では、黙っててもいいわ」
 その言葉さえ絶望なのに、続いてもっと青ざめることを言った。
「しかし花火先生って、作品に負けないくらい潮を噴くのね」
「えっ!?」
「野中花火、同人作家でしょ?」
「なっ、なんで私のペンネームを?」
 どういうわけか個人情報を握られている。
 私は顔面蒼白となり、茫然自失、喪心虚脱した。
「ねえ、先生?」
「……はい」
「わたしね?」
 お姉さんは、にたあっと笑うと、こういう状況じゃ恥知らずだけが口にする、ものすごくスタンダードな要求をした。
「あなたの処女がほしいの」
 私は侮蔑をおぼえながらも自暴自棄、うなだれて、ポツリとつぶやいた。
「どうぞ」

 ※

「お、おまん、や、ちょっと、い、あ、ああぐっ!」
 いきなりだった。
「は、はひ、入っちゃ……た?」
 オイルまみれの私の膣穴は、たやすく指の侵入を許してしまった。
 私は、私の体が女の指を、こうもあっさりと受け入れたことに、がく然とした。
「あ、あ、あ、いや、あ、あ、入れないで」
 気持ちとは裏腹に、私の股間はジュクジュクに濡れている。
「は、あ、はん、やめ、んあっ! だ、だめぇ……」
 クチュクチュと音を立てている。
「は、いや、あ、あ、あ、やだ。これ、意外と、いい、んぅ、あ、はぁん……」
 快感と悪寒、好意と憎悪、何が何だか分からない感情が交錯する。
 お姉さんは、そんな私をもっと困らせる。
 指を深くインサートする。
「んんあっ! は、は、あんんっ! やだ、奥、キモチ、はあぅっ! キモチ、いいっ!」
「先生が感じてくれて、わたしも嬉しいわ」
 指の出し入れが早まる。
 私のあえぎも止まらない。
 いっそう激しくなる。
「あ、あ、あん、もう、なんで、こんな、うまいのぉ」
「ふふっ」
「あ、いい、ん、だめ、そこっ!」
 お姉さんが、膣穴の奥をなぞる。おそらくは子宮口。そこをなぞる。
 そして密着した手のひらが上下する。オイルまみれのクリを転がしている。
「あひあ、あん、は、ああ、は、はひ、いい、いいよ、それ、もっとして?」
「………………」
「ああ、ああん! もっとぉ……」
 強く。早く。しかし、か細くも繊細な女の指が、私の子宮口をなぶる。
 コリコリした感覚。
 意識が集中する。
 たかぶり。
 高まる。
 徐々に昇りつめていく。
「あ、だめ、イッちゃう、はぁ、だめ、は、らめぇっ! あ、あ、あああ、くああああっ!!」
 私は絶頂に達した。――

 私は両手両足を投げ出したまま動けない。
 お姉さんは、そんな私に指を入れたまま見下ろしている。
 やがて愉悦に満ちてささやいた。
「ほんと、かわいい」
 ゆっくりと指を動かした。
「んあっ あ、ああっ、あ、あ、だめ」
 今までと角度が違う。
「ひあっ! だめ、弱いの、だめえぇっ!」
 私は未知の快楽に翻弄された。
「そんなにされたら、声、大きくなっちゃうぅっ!」
「ふふっ」
 お姉さんが笑うたび、私の股間はキュッと締まった。
「あんんっ! やだ、はひ、恥ずかし、あふ、あ、はぅ、あ、はあ……」
 私は腰をくねらせる。
 お姉さんの指の付け根から、どろりと蜜がしたたり落ちる。
「先生の蜜、こ~んなに、たっぷりよ」
「はうぅ、やだ、そんなこと、言わないでぇ、あん、あ、あ、あ、やだぁ、顔、近づけないでぇ……」
 私の意思に反して、愛液があふれる。
 ぐちゅぐちゅと音を立ててあふれでる。
 それが指のピストンを加速させる。
 パンパンと手のひらが音を鳴らす。
 私のおまんこは掻き乱されている。
 そして。
 私は再び荒ぶった。
「んんあっ! ひあ、あ、あ、あ、また、イッちゃう、ああ、私、また、あああっ!」
「いいわよ」
 お姉さんの指がさらに早まる。
 もう何をされているのか分からない。
 ただ熱く。激しい。気持ちいい。
 お姉さんの指に吸いついてもう、離れない。
「あ、あ、あ、イク、ああ、イクイク、らめ、あっ! んん、だめえぇっ! イックううううぅっ――……!!」

 ※ ※ ※

 私は女に犯された。
 それは荒々しく、そして長い――数十分にも数時間にも感じられる愛撫だった。愛撫というより、陵辱と形容すべきかもしれない。
 といっても、別に異常な行為を加えられたわけではない。
 お姉さんの愛撫は、ひたすら正常、むしろ無芸ともいうべき動作だった。
 ただひたすら強烈に、ときにはネチネチと陰湿に、私の膣に指を出し入れするだけだ。それが陵辱といった観を呈したのは、私のほうがそうなってしまったからである。
 私は、ベッドに深く沈みこんだままだった。
 お姉さんが全能感に満ちて言った。
「ふふっ、先生の処女奪っちゃった」
「……どうして野中花火だって分かったの?」
「カバンの置きかたが漫画にそっくり。ためしに『野中さん』って、声をかけたら反応したし」
「それだけで?」
「うつ伏せのときに、カバンをあさったら案の定」
「じゃあ……」
 私はおそるおそるお姉さんを見た。
 お姉さんは、じっと私を見つめた。
 しばらくすると、その片頬に、すごい、悪魔のような笑いが浮かびあがった。
 彼女は冷然として言った。
「今日から、わたしの奴隷だよ」
 私は異様な叫びをひと声あげた。

 ※

 それからのことは少しだけ語りたい。
 その後、私は彼女に脅された。
 盗撮をネタに強請られ、マッサージ店に通うことになった。
 何度もセクシャルなマッサージを受けることになった。
 そして、いつしか体中を舐められるようになった。
 そんなことをされたとき、私の全身は、おぞましさにふるえたのだけど、この頃はそういった現象はみられない。
 慣れたのか、観念したのか、あきらめてしまったのか。
 とにかく私は、レズプレイに対する忌避感がなくなって、今ではあれほど嫌悪した女性器すら、じゃぶじゃぶと音を立てて舐めるようになったのだ。

「おまえ、また呼んでもないのに来たのかい?」
 お姉さまの声を聞いただけで、私の女陰は淫らにゆがみ、よだれを垂らすようになってしまったのである。
[ 2017/09/11 00:05 ] 短編 | TB(-) | CM(0)

合コンに行ったら女にハマった話

文章:佐川レンツ



「ふふふ、そうなのぉ、とぉーっても仲良しなの♪」

日奈子はそう言いながら隣に座る真衣の腕をとった。
するりと絡めてまるで寄り添うように体を近づける。
アルコールが回っていることもあって、普段よりもその距離は近くなった。
目の前の合コン相手はそこそこイケメンで、仲良さげな日奈子と真衣の様子に頬を緩めていた。

「日奈子、ちょっと近いわよ」

近寄られた真衣としてはたまったもんじゃない。
日奈子がこうやって合コン相手の前で限定的にべたべたしてくるのは知っている。
そうした方がモテるからだ。それに利用されるのはわかっていたから、普段は隣に座らないようにしていた。
可愛いという言葉が似合う日奈子と美人という言葉が似合う真衣。
どちらも目の前の男からの視線は熱い。

(みんな、日奈子を見てるぅ、嬉しいっ)
(日奈子はうざいし、男どもの視線が気持ち悪い……)

しかし、その内情は正反対だった。
喜んでべたべたしてくる日奈子に対して、真衣はイライラしていた。
付き合いでと参加した合コンだったが、やはり自分は女の子相手の方が楽しい。
真衣は自分が真性のレズビアンだと自覚している。

「日奈子、真衣ちゃん、大好きだからぁ」

酔っ払いの戯言といつもなら聞き流せた言葉を流せなかったのはアルコールのせいだ。
ぶちっと何かが切れる音がして、真衣は日奈子を持ち帰ることにした。



「あんたねぇ、べたべたしすぎ」
「だって、その方が喜ぶんだもん」

日奈子の目に叶う男はいなかったらしく、酔っ払った彼女を真衣が送ることになった。
真衣としてもこれ以上付き合う必要がなくて清々した。
真っ赤な顔で真衣を見上げる日奈子の手を引きながら、ラブホテルへと足を進める。

「ふーん、まぁ、いいわ。そんなにベタベタしてくるんだったら、女の良さもわからせてあげる」
「ふぇっ?」

適当に選んだ部屋に、適当に日奈子を押し込み、押し倒した。
まだ目を白黒させている日奈子に構わず唇を重ねた。

「んちゅ、あんっ、ちょぉ、あぅ……!」

くちゅくちゅとした粘着質な音だけが部屋に響く。
舌を押し込め、お酒で取れかけたグロスごと唇を重ねる。
すると女の子特有の柔らかさと化粧の匂いが鼻腔に広がった。

最初は上の歯をなぞる様にして口蓋をくすぐる。
びくびくと震える背中をもっと震えさせようと、ゆっくり、丹念になぞった。
呼吸ごと食べてしまうようなディープキスに日奈子は段々と抵抗することができなくなった。

「男の前でばっかり、ベタベタしてくる子ってイライラすんのよね。今日はそれを解消させてもらうわ」

勝手知ったる女物の洋服をするすると脱がせていく。
酸欠に近い日奈子の頭は何もせず、その動きを見つめてしまっていた。
ボロンとむき出しになった乳房に真衣が遠慮なく指を這わせてきたところで、さすがに手が伸びた。

「だ、だめ! 何するの?!」
「何って、あんたが男としたがってたことでしょ? ほら、もうこっちは感じてるわよ?」
「んんっ、やぁ、やめてよぉ」

先ほどのキスで固く立ち上がった乳首の周りを緩やかになぞられる。
胸の付け根からまるで乳しぼりのように揉みしだかれるのに、頂には決して触れない。
真衣の柔らかな指が日奈子の白い肌をなぞり、快感をにじませる。

「んっ、はぁっ、んぅう!」
「あらら、そんな気持ちよさそうな顔しちゃって、慣れてんでしょ? こういうの?」
「ちがっ、んひゃあぁん、ダメ、離してぇっ」

真衣の指が乳房に埋まるたびに、日奈子の体が大きく揺れた。
同性のツボを心得ている真衣は日奈子の性感帯など反応を見ればすぐに判断できた。
最初こそ抵抗して見せたが、今では体から力も抜け、口は半開きになり快感に溶けてきている。

「男だと、こうやってきちんと触ってくれないでしょ?」
「あっ、はぁん、んぅう、そんなことぉ……!」
「そう? じゃ、こうやって気持ちよくさせてくれる?」

必死に同性から与えられる快感に抵抗する日奈子。
陥落寸前だというのは明らかな身体の震えと甘い吐息。
真衣はそれを冷静に見つめながら、あくまで頂には触れず乳輪の部分を指で強く摘まんだ。

「んぅうーーー!」

ずっと乳房に溜まっていた甘い疼きが一気に胸全体へと広がる。
痛いくらいにつままれているはずなのに、日奈子の胸に広がるのは快感だけだった。

「あ、ああ、なんでぇえっ」
「ほら、こことか」

真っ赤に染まる乳首が日奈子の目の前で弄ばれる。
触れれそうで触れられないもどかしさに、真衣に向けて胸を振ってしまう日奈子。
真衣はそんな日奈子の内情をわかりつつ、おへその周りをくるくるとなぞり始める。

「ひゃんぅう、あ、あん!」

声が勝手に漏れる。
そんな体験は日奈子にとって初めてだった。
強い刺激ではないはずなのに、体全体をくまなく触られ、なめられると体が勝手に反応してしまうほどの快感が走る。
けれど決して絶頂は迎えさせてもらえない。
そんな天国のような地獄の責めが30分近く続いた。

「もう、びちょびちょじゃない。そんなに気持ちよかったの?」
「ち、ちがっ、みゃいがぁ、しゃわるからぁっ」
「ふふ、呂律が回ってないわよ」

自分を見つめる真衣の表情が今までと違い、まるで肉食獣のようだった。
食われる、と本能的に思うも、もう遅い。

「も、いいでしょぉ…っ…ゆるしてぇ」
「だーめ、女の良さ分からせてあげるから」
「っ」

日奈子は息をのんだ。今まででも十分なほど気持ちよかったのだ。
それなのに、これ以上気持ちよくされたら、自分は真衣から離れられなくなってしまう。

「いやぁ、もう、むりぃっ!」
「気持ちよくさせてあげるからね」
「はぁ、あぁーーーっ」

ついに日奈子の秘部へと真衣の指が侵入してくる。
細いはずのそれは、快感に蕩け切った日奈子にとってはいつも以上の快楽をもたらす。
巧みに動く真衣の指が日奈子の弱点をなぞり、いたぶる。

「あっ、ひゃぁ、ああっ、らめぇ、きもちっ、よぉおん!」
「そんなに、腰振っちゃって。淫乱な子ねぇ」
「ひがっ、ちがうのぉお、真衣の、ゆびぃがぁあんっ」
「じゃ、こうされたら?」

今まで一度も触られなかった陰核へと真衣の口が寄せられた。
固くとがり切った神経の蕾が急激に吸われ、舌で転がされる。
その瞬間に日奈子は真衣の指を締め付けながら絶頂へと昇った。

「ひゃぁんぅううううーーーーーーーー!」

頭が真っ白になり、浮遊感に包まれる。
その間も真衣の指を止まることなく、日奈子へと快感を送った。
今までに味わったことのない快感にすべてを書き換えられ、日奈子は意識を失うまで喘ぎ続けた。



「ね、真衣。また遊びに行こう!」
「いやよ、面倒くさいもの」
「ねぇ、そう言わないで! お願いぃ」
「あんたのぶりっこは男にしか効かないから」

後日大学でそんな二人の姿を見ることになったのは風の噂である。



[ 2017/09/19 00:05 ] 短編 | TB(-) | CM(0)

親友に憑依されて

文章:kidoakira  企画:ゆすあ




大学の講義が終わるのと同時に早々にテキストを鞄に入れ立ち上がった女性。
それが山本美優だった。

隣の席で講義を受けていた、彼氏である本井健司がそんな彼女に声をかけた。

「なに、今日急いでんの?」
「うん、ごめんね! ちょっと用事があって…。」

その日は健司のバイトが休みだった。
バイトのない日はいつも、美優と部屋で食事を一緒に食べて、夜はベッドで愛し合っていた。
約束はしていなかったものの、今日もその予定だった健司は少しだけ眉を寄せた。

「オレより大切な予定なワケ?」
「うん…。」

美優は健司の耳元に唇を寄せて、周りに聞こえないような小さな声で言った。

―――…親友のお葬式。

よく見れば、美優の眼は腫れていて少し赤くなっていた。
親友の訃報に泣いていたことが手に取るように分かった。

「…ごめん。」
「ううん、健司が悪いわけじゃないから。」

今日は先に帰るね、と美優は健司に手を振って、足早に帰路に就いた。

親友の長谷川理沙は、美優の幼稚園の頃からの親友だった。
大学こそ違うものの、小学校・中学校・高校と同じ学校だった。
近所だったこともあり二人は仲が良く、いつも一緒にいた。
何でも話せる親友が、美優にとって理沙だった。

大学が違うこと、さらに美優に彼氏が出来てしまったため、最近はあまり会えていなかった。
そんな最中、理沙の訃報が耳に入った。
横断歩道で待っていたところに、スリップしたトラックが飛び込んできたらしい。
その交差点が、美優の家に近い場所だったことから、きっとなにか話が合って自分に会いに来ようとしていたのだと、美優は後悔していた。



葬儀が終わって一週間が経っていた。
美優は無気力感から大学にも行かずにベッドの上で過ごしていた。
もう理沙に会えないのだと思うと涙が浮かび、理沙との楽しい思い出がフラッシュバックする。
スマホには健司から心配する連絡があったけれど、返事は出来ていなかった。

「理沙…。」

誰もいない部屋で一人、親友の名前を口にした。

「なぁに、美優。」

理沙の声がした。美優は驚いて布団から飛び起きると、自分の勉強机に理沙が座っていた。
その姿を捉えると、美優の瞳からぽろぽろと涙がこぼれた。

「りさ、なの?…なんで。」
「私、幽霊になっちゃったみたいなの。」

その言葉に、美優の涙が引っ込んだ。

「やり残したことあって、幽霊になったみたいなんだけど、美優にしか見えないみたい。」
「やり残したこと…。」

それが何か、美優にはわからなかった。
しかし、親友として何もできなかったからこそ、理沙に協力しようとすぐに決めたのだ。

「理沙、私の体使って。」
「え…いいの?」
「うん。親友の最後の願いくらい、叶えさせて。」
「……、ありがとう、美優。」

そうして、美優の体に理沙が憑依したのだ。

美優の体を手に入れた理沙は、美優のスマホを取り出した。

「理沙、電話使ってもいい?」
『いいよ。』

美優の体に理沙が憑依しているため、理沙の声が美優の声として体から発せられていた。
美優自身の声は、理沙の頭の中に響くように伝わっていた。
理沙はスマホを操作すると、レズ専用のデリヘルのホームページを開いて、モザイクのかかっていない写真を吟味してから、予約の電話を掛けた。

『えっ、ちょ、ちょっと理沙!?』
「私がやり残したこと、たぶんこれだから…。」
『えっ!?』

親友だったのに、そういう趣味があったことを美優は知らなかった。
信じられない、とむしろ嫌悪すら覚えるのに、それを自分の体ですると言うのは納得がいかなかった。

『ちょっと理沙、それだけは無理!』
「ごめんね、美優…一度だけだから。」

理沙はそう言うと、美優が何を言っても返事をすることはなく、着替えや化粧を行っていた。

自分の体は自分の意志では動かなくなっている。
露出の多い服装で理沙はラブホテルに足を踏み入れた。そこでデリヘル嬢と待ち合わせをしているのだ。

『理沙、やり直したことって本当にこれなの?』
「うん、たぶん。」
『たぶんって…じゃあ別のものかもしれないじゃん!』
「美優、ごめんね…誰にも言えなかったけど、ずっとしたかったことなの。」

だから、きっと終わったら成仏できるんじゃないかな、と理沙はのんきな声で言った。
美優が文句を言おうとしたとき、部屋のチャイムが鳴った。理沙は部屋の扉を開ける。

ふんわりとした巻紙に、豊満な胸なのに細身の女性が立っていた。
軽い挨拶をしながら、デリヘル嬢のサユリは部屋の中に足を踏み入れた。

「理沙ちゃんは、こういうの初めて?」
「…はい。」
「大丈夫、目を閉じて。」

シャワーも浴びていない状態で、ベッドに二人腰かける。そんな状態で、サユリは唇を重ねてきた。
美優は男性の経験はあっても女性との経験はない。

ちゅ、ちゅ、と唇が触れ合うリップ音が響く。
サユリは理沙の手に触れると指を絡ませて、親指で人差し指の辺りを撫でた。
ラブホテルにすら縁のなかった理沙は、あっ、と小さな声を漏らしていた。

「ふふ、可愛いのね。」
「あ…、はあ…ぅ。」
「舌出せる?」

理沙はコクと首を縦に振ると、控えめに舌を出した。
何をされるかわかってはいたけれど、心臓が早鐘を打っていた。
サユリの真っ赤な舌が、理沙の舌に絡みついた。唾液が混ざり合い、ぬるぬると舌同士を擦り合わせる。

(…理沙、私はやっぱり無理…。)

セックスは男と女でするものだ。
それ以外はないと考えている美優は、サユリの舌も違和感が強かった。
しかし、美優自身は気づいた。
すでに自分の体が興奮していて、濡れ始めていることに。それは理沙のせいだと、自分に言い聞かせた。
サユリの細くて長い指が、首筋を撫でる。そして、ゆっくりと襟口から理沙の胸に触れた。

「あっ。」
「可愛い。…ねえ、全身見せてくれる?」
「…は、はい…。」

理沙は興奮しているのか、はあはあと息を見出し、サユリに言われた通りに服を脱いだ。
ブラジャーやパンティも脱ぐように言われると、困ったように眉を寄せて、顔を赤らめながら裸になった。

「ねえ、ここで足を広げてみて。」
「…あ、だめ…。」
「何がダメなの?」
「…も、もう…濡れてるから…。」
「なら、なおさら見せてもらわなきゃね。」

裸になるだけでも恥ずかしいのに、理沙は目に涙を溜めながらベッドに腰を掛けてゆっくりと足を開いた。
足をベッドに乗せて、いつか見たアダルトビデオのように足を大きくM字に開いた。
まだ触ってもいない秘部はびっちょりと濡れていて、部屋の光が反射して妖艶なツヤを見せていた。
サユリはくすくすと笑いながら、濡れたそこに顔を近づけた。

(見せないで、理沙っ。)

感覚を共有している美優も恥ずかしくて思わず声を上げた。

「初めてなのにこんなに濡れてるなんて、才能があるのね。」

サユリは女の香りのするそこが良く見えるように両手で広げる。
愛液を溢れさせながら、小さな突起が真っ赤に熟している。サユリは舌先で突起を舐めた。

「『ああっ!』」

理沙の声と、美優の声がリンクする。
サユリは満足げに笑みを浮かべながら熟した突起を口に含み、舌先でチロチロと刺激しながら、軽く吸った。

「ああっ、あっ…ひ、ぁ…イイッ、あああっ!だめ、すっちゃ、だめぇ…っ」

びくん、びくん、と理沙の体が跳ねる。特に突起を吸われた瞬間には、目の前がスパークするような感覚に陥っていた。
こんな快楽、いままで味わったことがない。

「あらあら。まだシャワーも浴びてないのに…一度イク?」

刺激をしなくてもひくひくと腰を揺らしている理沙に、サユリはまた辱めるように言いながらまた熟した突起を口に含むと、くるくると何度も円を描くように舌で捏ねまわした。

(…ああっ、…なんで、あぅ、ああっ、い…っ)

美優は無意識に声を上げていた。健司以外にも彼氏は何人かいたが、健司や以前の彼氏にされるよりも、圧倒的な強い刺激に美優は困惑していた。女同士の行為がこんなにも気持ちがいいなんて…。

突起をなめ回されて、理沙は腰を浮かせて自分からサユリの顔に近づけながら腰をひくんひくんと揺らして、絶頂を迎えた。

「ああ、いく、いくぅ…いっちゃうう……っっ!」

絶頂を迎えたというのに、唇を離してもらえず執拗に突起を舐められると、理沙は気絶しそうな刺激に足をガクガクと揺らして、唇から涎を垂らした。

「あああ!いった、いったから、はなしてええ…ああっ、ぎもちよすぎるう!」

理沙は首を左右に振って抵抗するも、サユリはちゅう、と意地悪く突起を吸った。
その刺激にまた腰をびくん、びくん、と跳ねさせながら二度目の絶頂を迎えた。
とぷ、と愛液が溢れる秘部にサユリは満足そうに唇を離した。

(…はあっ、はあっ…やっと終わった…。)
「ね、女同士もいいでしょう?」
「…は、はい…っ。」
「ねえ、自分で気づいてる?」

サユリの細い指が、形を確かめるように優しく理沙の秘部を撫でた。

「ヒクついてるでしょう?」
「…言わないでください…。」
「シャワー浴びて、第二ラウンドにしましょう。」
「はい!」
(えっ、うそでしょ、理沙!?)

体を理沙に預けているとはいえ、感覚は共有しているため、美優はすでに満足していた。
しかし、二人はまだすると言うのだ。
悲鳴のような訴えが聞こえているはずなのに、理沙はサユリと手を繋いでバスルームへと移動していた。

二人でバスタブに入りながら、抱き合い、唇を重ねた。最初から舌を絡めるような深い口付けて、ぴちゃぴちゃと音を鳴らしながら、お互いの舌を舐めたり吸ったりしていた。
理沙はキスをしながら手を伸ばして、サユリの脚の間を軽く撫でた。

「あんっ。」
「ふふ、サユリさんも濡れてる。」
「…あんなにエッチな姿見せられたら、濡れちゃうわ。」

お湯の中でもぬるぬるになっているのがわかる。
サユリは自分から膝立ちになると、軽く足を広げた。そして理沙に抱きつきながら、触ってと言った。
理沙は手探りのまま濡れそぼった蜜壺に指を入れようとした。

「あ、待って。」
「まだ早いわ…。」
「こんなに濡れてるのに、ですか?」
「女の体はもっと丁寧にした方が感じるのよ。」

私の真似してみて、と言ってからサユリは理沙の秘部に手を添え、突起と入り口をまとめて撫でるように動かした。
まとめて刺激されると、物足りないような感覚だったが、何度も繰り返し擦られると目の前がクラクラするほどの刺激だった。

(…理沙、もう嫌…やめようよ…っ。)

理沙に聞こえているはずなのに、理沙はサユリの秘部を撫でた。
手のひら全体で撫でると、サユリの腰がぴくんぴくんと動く。

「…はあ、あっ、んっ。」
「気持ちいいですか?」
「気持ちいい…っ。」

びくびくと反応しながら、サユリは、指を一本だけ中に入れた。
そして入り口の付近を丁寧に撫でるように刺激する。
理沙はサユリの肩に額を預けて、それでも真似するように指を一本挿入した。

「…っあ!ああ…そこ、いいっ。」
「あっ、男性との経験が、あるでしょ?」
「…え。」
「男とのセックスは、男が気持ちよくなるのに女性に負担があるの。」

サユリは指を曲げて、理沙の中の敏感な部分をぐりっと押した。

「「あああ!?」」

びくん、と今までにないほどの衝撃に身体が揺れた。
声を出したのは理沙だけではなかった。全身がびりびりと電流が流れたようにしびれる感覚。

「でも、女の同士なら負担なく、こんなに気持ちいいの。」
(…気持ちいい…、あぁ…、健司よりも、いい…?)

美優は納得いかなかった。
しかし、圧倒的な快楽に、美優の心は決壊する。
美優と理沙はサユリの刺激にびくびくと反応しながらも、同じように指で敏感な部分を刺激する。
指だけとは思えない刺激に、理沙は何度も絶頂を迎えた。

「…ああっ、あ、いくぅ、いっちゃう…また、いく…ああっ、はあっ、いくぅ!」
(あっ、気持ちいいい…っ、いく、いく…、指でぐりぐりしないで…っ。)

理沙は恥ずかしげもなく声を上げる。
理沙と一緒に絶頂を迎えながら、これが理沙のしたかったことだったんだと、ぼんやりと思いながら美優も絶頂を迎えた。

それから一週間。
学校も行かずに、美優はとっかえひっかえ性行為をしていた。
もちろん、女性と。美優は何度もやめてほしいと理沙に伝えたけれど、それが叶ったことはない。

(…もうやめようよ、理沙。)
「美優も楽しんでるじゃない。」
(…違う!私はレズなんて本当は嫌なんだから!)
「あんなに感じてるのに?」

そう言われてしまうと、美優は押し黙る。
一週間女性とセックスをしすぎて、美優自身の考えも変わってきていた。
女性に触られることの嫌悪感はなくなっていたが、それでも男性とのセックスがいいと思っていた。

「んんっ、んぅ…んっ!」

理沙はラブホテルのベッドの上で足を広げていた。その上に小柄な女性がまたがり、シックスナインをしていた。
お互いに突起を舐め、中に指を入れじゅぶじゅぶと音を立てるくらい激しくかき混ぜていた。

「ああっ、だめ、離してえ…っ。」

今日の相手は、電車の中で合った大人しそうな女の子だった。理沙は声を掛けてホテルに連れ込むと、
圧倒的な快楽でその少女を懐柔した。今でははしたない格好で絶頂を迎えるほどまで少女を染め上げていた。

「ちゃんと舐めないとだめよ?」

腰をびくびくと振るわせて逃げようとしているのは絶頂が近いからだと、理沙は嬉しそうに中の部分の刺激止めた。
少女は泣きそうになりながら理沙の熟した突起を吸っていた。
ご褒美とばかりに中の刺激を強めると、少女はのけぞるようにして絶頂を迎えた。

「ああああっ、い、くっ……っっ、あああっ!」
「ああっ、私も、いく…吸って、もっと…!」

じゅるじゅると音を立てて突起を吸われると、理沙は絶頂を迎えた。

「ああっ、美優…っ、すきぃ…!」

腰をビクンと跳ねさせて、ビュ、ビュと潮を吹いた。快楽の渦の中、美優は理沙の最後の言葉を聞いたのだった。

理沙が美優の体に憑依してから、短いようで長い日々を過ごしていた。
美優は少しの寂しさを感じながらも、大学に顔を出すようになり、元通りの生活に戻ろうとしていた。

「美優、大丈夫だったか?」

大学に行って一番に声を掛けてきたのは健司だった。

「うん、大丈夫。心配かけてごめんね。」

すっかり明るい笑顔の美優の尻を健司が軽く撫でる。その手の感触、指の感触に、違和感があった。

「美優、寂しかった。」
「うん、私も。」

学校の屋上へと続く階段を上って、人気のない踊り場に向かう。
久しぶりの彼氏との抱擁、胸を揉む健司。乳首をぎゅっと握られて、痛みに顔を歪めた。

「好きだろ、これ。」

健司の与える刺激すべてが乱暴に思えた。思い出していたのは、サユリの指だった。

「ごめん、健司…別れて。」
「はあ!?」
「ごめん。」

理沙は、美優のことが好きだと言った。もしそれが本当なら、もっと早く言ってくれればよかったのにと思う。

(…理沙に会いたい。)

気づいたら美優はデリヘルに電話をしていて、サユリとホテルにいた。
サユリの細い指が美優のナカに入りくちゅくちゅと音を立てながら動く。

「あっ、いい…もっと吸って…。」

美優は理沙の面影を探すように、今日も女性と体を重ねる。

一度経験してしまった女同士の圧倒的な快楽には、逆らえないのだから。
[ 2018/05/06 00:00 ] 短編 | TB(0) | CM(0)

愛と身体

文章:佐川レンツ 企画:ゆすあ



「さぁ、お前たちに選択肢をあげる」

そう言い放つ女は傲慢の匂いに満ちていた。
貧富の差が激しいこの国で、富豪と一般人は決して交わることがない。

富豪は金を稼ぎ、それで自分たちの人生を楽しんでいた。
一般人はそんな富豪のもとで働き、ひたすらおこぼれをもらうだけ。
富豪の気まぐれが自分たちに降りかからないように、息を潜めながら生活する。
そんな人生をこの国の大半が送っていたのだ。

「なぜ、オレたちが選ばれたんですか?」
「お前の妻が、私の好みの女だったからよ」

「それ以外、理由はないわ」と言い放つ富豪は物を見つめるように夫とその隣にいる妻を見つめた。
夫も妻も、まだ若い。
すらりとした身長と均整な体を持つ夫は、今から働き盛りを迎えるだろう顔つきをしていた。
妻もその一歩後ろに立ってはいたが、柔らかな肢体と腰近くまである長い髪が美しかった。

「私は綺麗な女が大好き。特に、お前の妻のような女が」

整った表情を動かすこともしない。
夫を見つめる富豪の表情は、まるで彫像のようだった。

「そんなっ、オレはどうなってもいいので、レイカは助けてください」
「それは選択肢にないわ」

富豪が提示したのは2つだけ。
それ以外の選択肢はない。
何より一般人である夫が富豪に意見を言うことができるわけもない。
そんなことを許している時点で、この女富豪は優しい方だと言えた。

「お前たちが選べるのは、私に遊ばれるか、わたしの目の前でこの男たちに遊ばれるか。それだけよ」

富豪が自分の後ろに控える男たちを顎で示した。
綺麗な身なりで、夫婦が見たこともないようなデザインの服を着ている富豪に対して、男たちは一般人である夫婦から見ても身なりに頓着していない。
おそらく、奴隷身分に近い存在なのだと見ただけでわかった。

「っ」
「……なんてことだ」

男たちは直立しているだけ。
その瞳だけが妻であるレイカの体を這い回っていた。
思わず身を引くレイカをかばうように夫が一歩前に出た。
美しい夫婦愛を見ながら、富豪は一つ鼻を鳴らした。

「まぁ、私は優しいから“私からは”お前の妻の大切なところは触らないわ。体を撫で回すだけよ」

富豪の言葉に、夫は訝しげに富豪を見つめる。
あまりにも都合の良すぎる言葉だった。
一般人に富豪が優しさを見せるときは裏がある。

「ペットにするのと同じね」

念を押すように、富豪は言葉を続ける。
自分を選ぶか、見るからに不潔な男たちに妻を犯させるか。
どちらかと選べと言外に伝えていた。

「本当ですか?」
「ええ、この男たちは、理性なんてほとんどないから、どうなるかわからないけど」

ニヤリと笑う富豪。
それは選択肢を提示しているように見えて、ほぼ一択の選択肢だった。

「……レイカ」

夫は後ろに立つ妻を振り返る。
レイカとは小さい頃から一緒に育ってきた。
仕事につき、ようやく結婚できたところだった。

「わたしは大丈夫。必ずあなたのもとに帰ってくるわ」

レイカは気丈に答えた。
自分が夫を愛している自信があった。
その上、体を撫で回されるくらいならば耐えることができる。
不潔な男たちに犯されるよりは、よほどマシなことに思えた。

「すまない。こんな苦労をさせることになるなんて」
「気にしないで。たまたま運が悪かったのよ」

ぎゅっとお互いを強く抱きしめ合う。
慣れた感覚が愛しかった。
体を離してからも、しばらく視線をつなげあっていた。
そのやり取りを富豪は、怖いほどの沈黙を保ってい見つめている。

「富豪さま、それでは妻のレイカはお預けします」
「賢い選択だわ。きちんと可愛がってあげる」

強く引き結ばれた唇から、断腸の思いで言葉が放たれる。
その一言を聞いた瞬間に今日一番の艶やかな笑みを富豪は浮かべた。

「レイカを傷つけるようなことだけは、しないでいただけると……」
「もちろん。好みの女を傷つけることなんてしないから、安心しなさい」

ぱちんと指が鳴らされ、契約書が用意される。
そこには「毎日、夫のもとに帰すこと」「富豪の意思では妻を犯さないこと」などの条件が描かれていた。
その契約書に署名をした瞬間に、この夫婦の運命は決まったのだ。



「さてレイカ。まずはお前の体をよく見せて」
「……はい」

夫が退出した部屋にレイカと富豪は二人きりになった。
後ろに控えていた男たちもいなくなり、遠くから聞こえる水の音だけが響いていた。
富豪の言葉にレイカは一度唇を噛んでから、一歩前に進み出た。

「気の強い女は好きよ。特にお前みたいな顔の女だと」

勝ち気な瞳はまっすぐ富豪を睨んでいる。
もちろん、反抗すればどうなるかもわかっているから表立ってはしない。
自分だけでなく夫も人質にとられているようなものだ。

富豪はレイカの態度を見て、赤い唇を緩やかな弧に曲げた。
気に入ったと表情で伝わる。
前触れもなく伸びてきた手に、レイカは少しだけ体を引く。

「綺麗な乳房。張りもあって、いい形ね」
「ありがとう、ございます」

服の上から撫で回されるように触られる。
夫以外の人間に触れられているかと思うと気持ち悪さが先立った。
そんなレイカのことなど気にせず、富豪はそっと壊れ物に触るような優しさを発揮する

「白い肌に、きゅっと引き締まったおへそ。見れば見るほど良い体だわ」
「ふ、富豪さまっ」

白い貫頭衣は一般的な服装だった。
その裾を持ち上げるように捲られ、無防備なお腹が露出する。
突然外気にさらされて、レイカは身をすくませた。
緊張をほぐすように富豪の手がレイカの白いお腹を這い回りくすぐる。

「私はカンナ。カンナ様と呼びなさい」
「……カンナ様、あまり、触られると」

予想外に優しすぎる手付きにレイカは困惑していた。
富豪のイメージは悪い。
富豪以外を人間だと思っていない振る舞いが多いためだ
それなのにこの富豪はレイカに名前を教え、呼べという。
触れる手は男のもととは違い柔らかい。
心地よさが湧いてきそうなのが怖かった。

「ふふっ、好きに触っていい約束じゃない」
「っ、うっ、そうでした」

びくりとレイカは体に力を入れる。
契約違反は打たれるだろうか。
頭をよぎった想像と、正反対の優しい声が降ってくる。

「今日は、これくらいにしてあげる。ご褒美ね」

するりとお腹を撫で回していた手が抜けていく。
唐突になくなった熱に少しだけ寂しさを感じる。
そしてそれを慌てて打ち消した。

「ありがとうございます」
「いいのよ、好きなだけ食べなさい」

カンナが指を鳴らすと、レイカが見たこともないような食事が運ばれる。
好きに食べていいという言葉に、戸惑いながら頷いた。
早く家に帰って夫の顔が見たいとレイカは思った。

「レイカ、肌が赤くなってきたわよ」

毎日、飽きもせずカンナはレイカの体を触った。
数週間もすると慣れてくるもので、毎日怯えながら通っていた日々はもう遠い。
それもカンナが、レイカに対しては本当に優しく、ひたすら気持ち良いことをしかしないからだった。

「カンナ様がずっと触ってらっしゃるからです!」

レイカは他人に触られているのに不快感をなくすため、契約だからと自分に言い聞かせる。
その時間もカンナとの触れ合いに慣れるに釣れ、徐々に少なくなってきていた。
今ではいたずらっ子のように手を滑らせてくるカンナを諌めることさえある。
それでいて怒る気になれない愛らしさがカンナにはあった。

「だって私は触っているだけよ?レイカが気持ちよくなってるのが原因じゃないかしら」

ニヤニヤと笑いながら、レイカの下腹を触る。
自分の秘部に近い場所をくすぐられる感覚に腹の奥が熱くなる。
ぐっと刺激するように押し込まれれば、声が漏れそうになった。
レイカは誤魔化すように頭を振り、カンナの手に手をそっと添える。

「そ、そんなことっ」

そうするとカンナはレイカの手を優しく包み込み笑うのだ。
不思議と邪気を感じない笑顔にレイカは気を許し始めていた。

「冗談よ。もう少し触らせてちょうだいね」
「……はい」

あの契約の通り、カンナは体を撫で回すだけだ。
長時間ねっとりとレイカの肌を撫でる。
もうカンナに触られていないところはないのではないかと思うほどだ。
それでいて器用なカンナは、レイカがくすぐったい場所や気持ち良い場所を逃さない。
的確にレイカが心地よい触り方をしてくる。
時たま、もっとこの時間が続けばいいのに、と思ってしまう自分がいることにレイカは蓋をした。



カンナと会うのは、昼ごはんを食べ終えてから夜ご飯の間まで。
レイカは毎日お昼に夫のご飯を作って一緒に食べてからカンナのもとへと行っていた。
昼ごはんを食べ終える頃には重い雰囲気が漂っていたが、レイカも夫もこの頃はそういう雰囲気を出さないようにしていた。
それはレイカが契約通り、きっちりとレイカを返しているからだ。
お昼の準備を終えたレイカは目の前に並ぶ食事を見ながら少しだけぼんやりとしていた。

「どうした、レイカ。何かひどいことでもされたか?」

その様子をご飯を食べながら見守っていた夫が心配そうに声を掛ける。
結婚してからも優しい夫。特に自分がカンナに目をつけられてから、その優しさは深くなっていた。
レイカがカンナから頻繁に褒美をもらうおかげで生活もだいぶ上向いてきている。
夫にとってはアルバイトに近いものになっているのではないかとレイカは不安だった。

「いえ、カンナ様は契約通りわたしの体を触るだけよ。痛いことも嫌なこともされていないわ」

――それどころか、この頃は自分の方からもっと触って欲しいと言ってしまいそうになる。
そんなことを夫に言うことができるわけもない。
レイカがカンナに触られる上でつけられた条件の一つに「夫はカンナに見えるように跡をつけてはならない」というのがある。
カンナはレイカを独占した気分を味わうために、夫の痕跡を徹底的に消そうとしていたのだ。
もちろん、それを破れば二人とも刑罰は免れない。結果、夫がレイカに触るのは本当にあっさりとしたものになっていた。
カンナはねっとりとしつこいくらいに触ってくれる。けれども最後までは触ってくれない。
夫は最後まで触ってくれるものの、契約のこともありじっくりとはしてくれない。
簡単に言ってしまえば、レイカは欲求不満に近かった。

「何かあったら、教えてくれよ」
「わかっているわ」

そっと手と手を触れ合わせる。
伝わる皮膚の硬さに、カンナとの違いをありありと感じてしまった。
女性の富豪らしい柔らかさを持つカンナの指。
それが自分の体を這い回り、時にくすぐったりする心地よさ。
眼の前の夫からは絶対にされない愛撫の仕方にレイカはうっとりとしてしまうのだ。

「レイカ、あの男のことでも考えているの?」
「そんなことは、ありません」
「でも悲しそうな顔をしていたわよ」

今日もカンナの寝床で素肌を合わせる。
触るだけなのに、なぜか二人共裸だった。
ふと疑問に思い聞いてみたら「レイカを全身で感じたいから」と言われてしまい、レイカは赤面したものだ。

カンナは最初の様子からは考えられないくらい優しい富豪だった。
レイカを愛で、まるで大切なものに触るように触れる。
それだけでまるごと愛されているような安心感を覚えるようになってしまっていた。
――夫にも感じたことがない。
桁違いの包容力と安心感。
このままカンナのもとにいてしまいたいと思ってしまい、夫に申し訳ないと気持ちが沈む。
この頃のレイカは、そんなことを繰り返していた。

「まぁ、今からすべてを忘れさせてあげるから、いいのだけれど」
「カンナ様」
「そんな甘えた声を出してるとどうなってもしらないわよ?」

すぐにカンナの目に肉欲が燃え盛る。
こんなにも自分が求められていることが嬉しくないわけがない。
何よりレイカはカンナの瞳が怖かった。
普段は爛々と輝いているのに、レイカが変えるときだけ寂しそうな色に変わる。
それだけで、側にいてあげたくなってしまう自分をレイカはいつも振り切って夫のもとに帰る。
そのうち帰りたくなくなるのではないかと不安だった。



「ねぇ、そんなに太ももをこすり合わせてどうしたの?」
「いえ、いいえ、なんでもないのっ」

そんな生活が続いて、もう半年近くが経っただろうか。
毎日繰り替えされる愛撫にレイカの感覚はすっかりおかしくなっていた。
この頃は夫といてもカンナと会う時間のことを考えてしまう。
というのも――夫の触り方が少しも気持ちよくないのだ。
カンナの方法に慣らされてしまったレイカは、もう夫に触られても何も感じない。
逆にカンナに触られていると、自分でも驚くほど濡れてしまうのに気づいていた。

「本当かしら、ちょっと見せて」
「カンナ様っ、ダメっ」

無意識に動いていたらしい太ももをカンナが割り開く。
元々契約を交わしている身。レイカは言葉で拒否しつつも、体に力を入れることができなかった。
レイカに見えないようにほくそ笑むカンナは、ずっとこうなるまでレイカの体を丹念に愛してきたのだ。

「あら、ここも真っ赤になってるのね」
「ひゃっ、あっ、カンナ様の手が気持ちいからぁ」

熱のこもった場所が外気に触れる。
それだけで女の匂いがレイカの鼻を刺激した。
カンナの手は触れず、ただ見つめているだけ。
それなのに、腰がピクピクと反応してしまう。

「私は契約だから、自分からここには触れないわ。レイカが選んで」
「っあ、ひどい、人」

ふーっと息を吹きかけながらカンナは悪魔の言葉を囁いた。
契約上、カンナは自分の意志でレイカの大切な場所に触れることはできない。
レイカが自分で「触って欲しい」と言う必要があった。

「わたしは――」

カンナはレイカの夫と半年と少しぶりに再会した。
位置も以前と変わらない。
レイカがカンナの側にいる以外は。
レイカは夫のことを見ることもできず、ただ顔を伏せていた。
夫はまだ自体が把握できず右往左往している。

「レイカはお前と別れたいそうよ」
「そんな、レイカ、本当かっ?」

レイカに見せていた笑顔は一欠片も見せず、カンナは夫に言い放った。
レイカさえ手に入れば、この夫に用はない。
あとは優しく捨ててやるだけだ。

「ごめんなさい……でも、わたしはカンナ様を好きになってしまったの」

カンナの側に寄り添いながら、レイカが言葉を紡いだ。
隣に立つ顔を見上げれば微笑みを落とされる。
それだけで沸き立つ自分をレイカは隠せなかった。

「レイカ」
「しつこい男ね、こういうことよ」

足元にすがろうとする男からレイカを引き寄せつつ、顔を寄せる。
レイカは何の抵抗もなくカンナの唇を受け入れた。
むしろ夫から見える横顔はうっとりとしているようにさえ見える。

「はぁっ、カンナ様っ」
「レイカはいい子ね」

二人の間を結ぶ銀糸まで見える距離。
その近さで、想い合う二人の姿を見せられて、夫は黙り込むしかできなかった。
自分の手から大切なものが滑り落ちていたのを理解してしまったのだ。

「お前には十分な謝礼と食材を渡すわ。後は好きに市井で生きなさい」

その言葉とともに夫は外へと連れ出される。
部屋に残ったのは、レイカとカンナの二人のみ。
そこはもう二人きりの世界だった。

[ 2018/06/05 19:29 ] 短編 | TB(0) | CM(0)

クレイジーサイコ腐女子

原作 kidoakira様

私の名前は藤咲美夜子(みやこ)。学校は高嶺の花、なんて呼ばれている。父も母も美形で、三歳年上の兄も美形、そして私も然り。美夜子という名前は、父が私の漆黒の髪を見てつけた名前で、母譲りの色白で、どうやら男の人が好む見た目をしているみたい。
でも、そんなの興味がない。
「おはよう、美夜子。」
通学路の途中の交差点で待っていてくれたのは、彼氏の鈴木誠一くん。私の彼氏。背が高くて、優しくて、学校でもファンが多いほどの美形。中性的な顔立ちが私の好みそのもの。
「おはよう、誠一くん。今日もすごく、受け顔ね。」
誠一くんを見ているとうっとりしてしまう。鼻筋の通った顔は、男らしいのに、色素の薄い猫毛がふわふわで、どう見てもホモカップルのネコ、受けの見た目! ベストオブ受け!
「またそれかよ。」
誠一くんが笑う。
そう、私は隠してはいるけど腐女子なの。自分の恋愛よりも、男の子同士が恋愛をしていることに興奮してしまうの。壁ドンは自分がされるより、彼がされているのを見たい。
「ああ、誠一くんの肌キレイ…。精液で汚したい。」
「美夜子が喜ぶから肌に気使ってんだぞ。精液は嫌だなぁ。」
学校に向かって歩いていると、誠一くんが所属しているサッカー部の友人が、彼の肩に腕を回して話出した。
「…ぐふっ。」
咳き込むフリをして、口元を押さえる。誠一くんは友達が多いから、こういった萌えイベントによく遭遇する。彼と付き合っているのは、ホモのためだったけれど、それでもいいと言ってくれたの。
男の子同士ってどうしてあんなに密着するのかしら。ホモなの?誠一くんを犯したいの? サッカー部の先輩が誠一くんの髪をくしゃくしゃになるくらい撫でているのを見て、興奮して耳が赤くなっていくのがわかる。
「誠一くん。」
彼の制服を少し引くと、視線が合う。そして少し困ったような顔をしてから、足を止めて先輩に向き直る。
「先輩、ネクタイ曲がってますよ。」
「え、マジ?」
誠一くんが先輩のネクタイに手を伸ばして、曲がっているネクタイを解いて、また結びなおしている。彼にネクタイの結び方を教えたのは私。こんなときに活躍するなんて!
男の子のネクタイを男の子が結びなおす姿を、目に焼き付けるようにじっくりと観察する。先輩は誠一くんよりも体格がいいから、きっと攻めね。誠一くんのことが好きで、彼女がいるから手が出せないのよ。誠一くんも先輩に触ってほしくて仕方ないんだわ!
妄想が先行してしまうのはいつものこと。はしたない笑みを浮かべていると、少し寂しそうに誠一くんが笑っていた。

お昼休みは、ふたりで空き教室でお昼ご飯を食べていた。もちろん、ふたりで愛をささやき合ったりはしない。私はお昼ご飯に持ってきていた太いフランクフルトを差し出す。
「はい、あーん。」
もちろん、スマホを片手に。誠一くんは少し迷ったあと、フランクフルトにかぶりついた。スマホを連写モードにして撮影をした。可愛らしい顔に思わず息が乱れる。
「はあ…はあ…おいしい?」
「美味しいけど…。」
「じゃあ、次はヨーグルトねっ」
誠一くんが上を向いて、上からヨーグルトを落として食べさせるというもの。もちろんスマホで連写は忘れない。受けが犯される姿を、直に見られることがとても嬉しいの。この上ない幸せなの。
「なあ、美夜子。」
「なに?またフランクフルト食べる?」
「俺さ、本当はこんなことしたくないんだからな。」
「え?」
「美夜子が喜ぶから、いろいろしてるだけで、俺が好きなのはお前だけだから。」
フランクフルトのケチャップが口の端に付き、それを舐めとるような仕草をしながら誠一くんが言う。
胸がキュンと高鳴る。
「か、可愛い…っ! 今のもう一回やって!」
フランクフルトで唇にケチャップをつけた。普通の女の子なら、誠一くんの言葉にときめくのかもしれないけれど、私はそうじゃないの。
誠一くんを閉じ込めて、いろんな男の人に抱かれているのを見ていたいの。
でも、誰でもいいわけじゃない。誠一くんがいい。だからきっと、私も誠一くんとは同じ気持ちではないけれど、誠一くんが好き。
「誠一くん、好き。」
「うん、俺も。」
彼のシャツをはだけさせて、写真撮影を再開した



日曜日。私は一眼レフのカメラの手入れをしていた。
『今日、両親がいないんだけど、私の家に来ない?』
というメールを送ったら、すぐに「行く」と返事が返ってきた。彼と付き合ってからもう三か月がたつけれど、手も握ったこともなければ、唇を合わせたこともない。焦れてきているのがわかっていたから、今日家に呼びつけた。
お気に入りの一眼レフをテーブルに置いて、自分のベッドのシーツは新品に取り換えておいた。ローションやコンドームと言った必需品もしっかり準備している。
ピンポーン、と音が響き、一階まで下りていく。玄関を開けると、少しだけ緊張した面持ちで誠一くんが立っていた。おしゃれをしてきているのがわかると、少し笑みがこぼれる。
「今日も素敵ね、誠一くん。」
「美夜子から声かけてくると思わなかったから、びっくりした。」
「上がって。部屋にいきましょう。」
玄関のカギを締めてから、階段を上って自分の部屋に足を踏み入れる。もちろん、彼がこの部屋に入ったことはない。きょろきょろと見渡す誠一くんは、部屋に三つある本棚に陳列したホモ同人誌やホモの商業誌を手に取ってみていた。
「興味ある?」
「いやないけど、すげー…やっぱ好きなんだな。」
「うん、大好き。」
本を見ている彼の手を引いて、二人でベッドに腰かけた。
「私ね、誠一くんが好き。」
「美夜子…。」
「だから、これ見て欲しいの。」
誠一くんの目の前に人差し指を向ける。誠一くんが指を見ているのを確認して、指をゆっくりと動かした。
「あなたは、身体が動かなくなる。」
古典的な催眠術。昔、母に教わっていたもの。誠一くんは驚いた表情をしながら、ベッドにゆっくりと倒れ込んだ。
「え、は? なんだこれ、身体、うごかねえ…っ。」
「誠一くん、溜まってるでしょう?」
「美夜子、何考えてんだ…っ。」
部屋に入ったときから興奮して膨らんでいた肉棒に触れる。肩がびくっと跳ねていた。
「美夜子―、もういいか?」
ノックなしで部屋に入ってきた男は、シャツにジーパンという簡素な服を着ていた。男の声に、誠一くんが不安そうな顔で私を見ていた。
「紹介するね、兄の朝陽(あさひ)。」
「どーも、藤咲朝陽です。」
「お兄ちゃんはね、ゲイなの。」
兄が誠一くんの顔を覗き込む。不安そうに、怯えた表情の彼に、キスをしていた。
「ちょっとお兄ちゃん、まだカメラの準備してないわ!」
「悪い悪い、可愛いからついなー。」
身体が動かせない誠一くんの服を、兄がゆっくりと脱がしていく。ボタンを外して肌着をまくると、筋肉質だけれど細身の胸板と贅肉のない腹筋が現れた。
「こりゃ大物だなぁ。」
「やめ…美夜子、やめてくれ…っ。」
「可愛い顔。怖い?誠一くん。でも大丈夫、お兄ちゃん上手だから。ノンケを何人も相手にしたことがあるんだから。」
兄が彼の頬を押さえて、深く口付ける。ぴちゃ、ぴちゃ、と音を立てながら、少し乱暴に舌を絡めていた。その様子を見ながら、一眼レフを構える。
キスを終えてから、耳元に唇を寄せて、ぺろぺろと形を確かめるように舐めていた。舐めながら、誠一くんの胸の突起を軽く摘まんでいた。
「んぅ、ん…は、あ……いや、だ…んんっ。」
もともと誠一くんに素質があったのか、よほどたまっていたのかはわからない。男に舐められているはずなのに、はち切れんばかりに膨らんでズボンを押し上げていた。それに気づいた兄が、誠一くんを丸裸にした。
「おーおー、可愛いじゃん。」
「あ、あ…やめ、」
「でも誠一くん、こんなに興奮してるよ。男に触られてるのにね。おかしいよね?」
彼の肉棒は、若いからこそ腹部にくっつくほど反り返っていて、弓のようだった。兄はそれに気づいて包み込むように握ると、ゆっくりと扱き始めた。
「あっ、…ふっ、あ、やめ、やめ、あ!」
「一回イクか?」
ローションを手に取り、肉棒にたっぷりとかけてから、また扱くのを再開した。ぬめりを借りて、くちゅくちゅと音を立てながら扱かれる肉棒。快楽が集まってきて、今にも爆発しそうだった。
「あ、あ、…くそ、…う…っ」
切なげな声に、兄は手の動きを止めた。絶頂を迎えることが出来ない誠一くんは、目にいっぱい涙を溜めながらねだる。
「あ、なんで、」
「なんだよ、イキたかったのか?」
「ち、ちが…っ。」
「イカせてください朝陽様、って言えたらイカせてやるぜ。」
我が兄ながら意地悪だなと、誠一くんの表情をカメラに収める。絶頂が近いのに止められて、しかもおねだりまで強要されている。気まぐれに胸の突起を舐められている。身体は動かないから、兄によって足を開かされたまま。
「…っ、嫌だ…っ。」
身体が動かないのに、快楽に身を任せた方が楽なはずなのに。男に抱かれるという行為を拒絶する様子に、うっとりする。従順な人よりも、抵抗している方が好き。ノンケの男の人が、イケメンの兄に犯されて、抵抗しながらも感じてしまう。漫画だけじゃない、現実のホモも最高。
「嫌なんだ、セイイチくんは。」
お兄ちゃんがわざとらしく肉棒から手を離す。絶頂を迎えられないことがつらいはずなのに、誠一くんは少しだけ安心した顔をする。そういう顔が、私たちを興奮させるのに。
「抵抗されるとそそるよなぁ。」
「やっぱり私たち、似たもの兄妹ね、お兄ちゃん。」
「お前の彼氏、みんな俺好みだしな。」
お兄ちゃんが今まで犯してきた歴代の彼氏を指折数えて、それを見た彼が怯えたように目を見開いていた。
「彼氏って…。」
「私ね、ホモが好きなの。」
「…それは知ってるけど…。」
「だからね、彼氏とお兄ちゃんのセックスを見るのが至高の幸せなの。」
誠一くんと付き合っている理由を正直に告げると、青ざめた表情に変わる。でももう遅いのよ、誠一くん。私と付き合った時点で、こうなることは決まっているから。
兄が彼の肉棒を握り、先ほどよりもすばやく扱くと、耐え切れずに腰を浮かせて白濁を吐き出していた。解放されていたと思っていたのか大げさに腰を揺らしていた。
「…はっ、は、」
「初モノはいいな、やっぱり。」
兄の肉棒も膨らんでいる。兄も服をすべて脱いで、誠一くんのよりも太くて長い自身を見せつけるように太ももに擦りつけていた。
「お兄ちゃん、これ。」
購入しておいたコンドームを手渡す。マナーだから、というとしぶしぶ受け取っていた。
身体が浮かない彼の足を持ち上げて、膝が耳の辺りにつくくらい、そらせていた。
…これがちんぐり返し、同人誌で見たことがあるけど、こんなにもえっちなの…。
「美夜子、これ押さえてろ。」
「うん。」
誠一くんの頭の方に回り込むと、膝の後ろを押さえる。恥ずかしそうに、顔をそらすしぐさが溜まらない。ここは特別な席だわ、だって、こんなに表情が見えるんだもの。
兄はローションを手に取って、排泄しかしらない彼の入り口にローションを垂らしていく。冷たいのか、びく、と彼の身体が揺れた。鼻歌交じりに、指を入れていき、ゆっくりと動かしていた。
「う、うあ、う、ぐ…っ。」
「力抜かねえと痛いぞ。」
「うう…っ、いや、だ…やめ、みやこ、」
助けを求めて、目にいっぱい涙を溜めている。やっぱり誠一くんは私が見込んだ受けだわ!
兄の太い指が乱暴にナカに入り込んでいき、ぐちゅぐちゅと音を立てながら動いている。彼は顔を歪めて、つらそうにしながらも、浅い呼吸を繰り返していた。
「あ…っ!?」
「お、ここか?」
「ああっ、あ、ぐ…あっ、ああっ、い、やめ、あああっ、」
「止めていいのか?ここ、気持ちいいんだろ。」
兄の指が彼の感じる部分を刺激したようで、先ほどとは打って変わって可愛らしい声を上げていた。腰を揺らし、舌を出しながら、否定の言葉を口にしている。
「誠一くん、素直になって。」
「あ、ああっ、ぎ、いやだ、…っ、うう、ああっ、ゆびっ…ぬけっ、ああああ…っ。」
口の端から涎が垂れている。的確に気持ちいい部分を刺激するお兄ちゃんはやっぱりテクもすごいんだなと感心した。気持ちいいはずなのに、誠一くんは目をぎゅっと閉じたまま否定の言葉を口にしている。
誠一くんの割れ目に、兄の雄が宛がわれる。コンドームもせずに、兄は一気に貫いた。
「い!あああ、いたい、うう、いたい…っ。」
「って、力抜けよー」
腰を緩く動かしながら、彼の肉棒を扱く。少しずつ緩んでいるのか、ふたりの苦しそうな声はなくなり、どちらも気持ちよさそうに声を上げていた。
こんなに近くでホモの行為がみられるなんて。なんて幸せなんだろう。一眼レフを手に取り、二人の行為を写真に収めていく。
「あーっ、あっ、いやだ…ああ、いっああ、あぐ、あっ。」
「あー、いいぜ、お前の尻。超気持ちいい。」
誠一くんは声を上げたまま肉棒から欲を出し、兄は彼の腰を掴んで激しく揺さぶりながら誠一くんの中に射精した。
雄を抜いた彼の入り口は、ひくひくと肉棒を求めるようにわなないていて、奥からこぽっと白い液体が溢れていた。それをしっかりと連写したのだった。



私の目的を知った彼氏の行動は二つ。別れるか、そのまま付き合い続けるか。もちろん、付き合っていくからには定期的にお兄ちゃんに抱かれてもらうことになるんだけど。
誠一くんはどうやら後者のようで、通学路のいつもの場所で待っていてくれた。
「おはよう、誠一くん。」
「…おはよう。」
「身体は大丈夫?」
「…ケツが痛いよ。」
「でも、昨日はすごく可愛らしかったわ。」
「そのことだけどさ。」
立ち止まって真剣な顔でこちらを見てくる。
「俺、やっぱり美夜子が好きだから、ああいうことはもうしたくない。」
「でも、私はホモが好きなのよ。」
「俺は美夜子に、普通の恋愛を教えてみせる。」
少女漫画だったら主人公の女の子がきゅんとときめく瞬間かもしれない。だけど、少しも気持ちが動かない私は、やっぱり根っからの腐女子なのね。
真剣な表情で抱きしめられる。そしてまた学校に向かって歩き出した。歩きながらスマホを操作して、ある人物に連絡を取った。

お昼の時間、いつも通り空き教室に足を運んで、誠一くんとお昼ご飯を食べる。誠一くんが自分のお弁当を開けようとした瞬間、教室の扉が開いた。振り返ると、三人の男の人が立っていた。
「お前が、セイイチくんか?」
その男たちは、私を見てにやりと笑っていた。
「待ってたわ。中にどうぞ。」
「美夜子?」
「この人たちはね、元カレなの。」
その言葉がどういう意味なのか理解した彼が、立ち上がって少し距離を取っている。そんな姿を見て、元カレたちは嬉しそうに笑っていた。私が付き合うのはイケメンのみ。付き合った後はお兄ちゃんに抱かれる運命。抵抗しそうで、中性的な男性が好きだから、元カレもそういう雰囲気の人が多かった。
私は腐女子で、ホモが好きだけれど、抵抗しているところを見るのが特に好き。男の人との性行為が好きになったり、ホモになってしまったりしたら、興味はなくなってしまうし、彼氏とは別れる。お兄ちゃんは、私が捨てた彼氏をセフレにしているようだったけれど、それさえも興味がないからよく知らない。
だけど便利なもので、こうやってたまに彼氏を落とすのを手伝ってくれているの。
「美夜子、嘘だろ!」
「誠一くんが諦め悪いんだって伝えたら、協力してくれるって。」
「嫌だ…嫌だ、美夜子…。」
「ごめんね、誠一くん。」
元カレたちが誠一くんを囲んで、押さえつける。押さえつけられた彼の目の前に膝をついて、再度催眠術をかけようと指を立てる。
「あなたは、身体が動かなくなる。」
いつも通り指を立てて催眠術をかけようとしたけれど、誠一くんは目を閉じて催眠術をかわして、押さえつけている腕を振り払うように抵抗する。あまりにも完璧な抵抗に、背筋がぞくぞくとした。
「誠一くん、そんなに嫌なの?」
「…嫌に決まってるだろ。」
ホモっぽい行動をして写真を撮られるまではいいけど、男同士は嫌だと誠一くんは力説する。こんなにも抵抗した人は初めてかもしれない。そして、ここまで愛されたのも。
「ほら、抵抗すんなよ。」
元カレの一人が誠一くんの髪を掴んで顔を上げさせて、もう一人が誠一くんの瞳を無理矢理開かせていた。抵抗しながらも顔を青くしている誠一くんに、もう一度催眠術を掛ける。
「あなたは、身体が動かなくなる。」
誠一くんの抵抗は空しく、催眠術がかかった身体から力が抜けて、がくんとその場に崩れ落ちた。
「流石、美夜子ちゃんの催眠術。」
「俺も昔やられたときはびっくりしたな~。」
思い出話に花を咲かせながら、元カレたちは誠一くんを机の上に寝かせて、制服に手をかけてゆっくりと脱がしていく。
「やめろ!触るな!」
どんなに口で抵抗していても、身体が動かないことをいいことに、誠一くんは裸にされてしまっていた。男たちの目にさらされている裸体に、思わず興奮して駆け寄る。もちろん、スマホのカメラを片手に。
「嫌だ、いやだっ」
「めちゃくちゃ嫌がってんじゃん。朝陽さん無理矢理突っ込んだのか?」
「痛かったのかもしれないな。」
「セイイチくん、一緒に気持ちよくなろうぜ。」
一人が、誠一くんに口付けをした。身体が動かないため、彼は舌も動かせない。口内に舌を入れられ、舌で強引にかき混ぜられる。ぴちゃぴちゃと音を立てながら深い口付けを交わしていた。その様子もバッチリ写真に収める。男の人の唇は少し硬くて、形がいい。キスの時に触れあっているところはいつまでも見ていられる。
「…は、は…っ。」
唇同士が離れると、誠一くんの口から飲み切れなかった唾液が垂れていた。唇を濡らし、唾液をこぼす姿は妖艶で、うっとりしてシャッターの手も止まっていた。
元カレが目配せすると、三人で誠一くんの身体を舐め始めた。胸の突起や中心部をあえて外して、足の先から指先まで、丁寧に舐めていく。ここにいる元カレは全員、元ノンケ。男同士の快楽に目覚めてしまった人たちだからこそ、男の子の感じるところがわかるのかもしれない。
「…っ、ふ……は、ぁ、…っ。」
舐められているだけだというのに、誠一くんは時折ひくん、ひくん、と身体を揺らしていた。身体が動かないから感覚が敏感になっているようで、首筋や内腿の辺りを舐められている時は切ない声を上げていた。
「…んっ、は…や、やめ…んんっ。」
三人はわざと、胸の突起や中心部に触れないようにして、ぎりぎりの部分まで舐めていた。太ももの内側から足の付け根まで舐めて、今度は下がる。じれったい快楽に誠一くんは眉を寄せて身体を震わせていた。直接的な快感はないものの、誠一くんの雄はすでに質量を増していた。
「ほら、セイイチくん。どこに触ってほしいかおねだりしないと。」
「嫌だ、…やめろっ。」
「止めていいんだ?触ってもいないのに乳首もペニスも勃起させてるのにさ。」
「本当はされたいんじゃない?抵抗しないほうがいいよ。」
「男同士もいいもんだよ。」
三人がわざと辱めるような言葉を口にする。誠一くんは恥ずかしくなったのか、顔を赤くして顔を背けていた。誰がどう見ても、誠一くんの身体は快楽に敏感に反応していた。漫画のボーイズラブは飽きてしまって、こうやって彼氏をホモにしようと画策している。漫画よりもずっと、現実のホモのほうがいい。
誠一くんは下着も脱がされているから、足を開かされると、中心部が膨らんでいるのがより一層わかりやすい。その中心部を、一人が口に含んだ。
「う、ああ…っ。」
男同士の口淫に、ぞくぞくとする。思わずシャッターを切ると、元カレに笑われた。
「美夜子ちゃんは相変わらずだな~。」
「昔からフェラ好きだったよね。」
「あ、じゃあこういうのはどう?」
そういいながら一人が誠一くんの髪を掴んで、口の中に自身を押し込んだ。誠一くんは顔を歪めて、口いっぱいに含んだ男根にうっすらと涙を浮かべていた。
「うぐ、…っ、う!」
「歯立てんなよ~。」
誠一くんの頭を掴んで、ゆっくりと腰を揺らす。ほとんど動かない彼の体をおもちゃのようにもてあそんでいた。ホモでもないのに、口淫をさせられている姿を写真に収める。誠一くんの歪んだ顔がとても美しく感じる。もう一人はローションを片手に誠一くんに問いかける。
「セイイチくんって童貞?」
誠一くんは目をそらした。その仕草が肯定していることが分かった。
「おっと、こっち出そうだ。」
誠一くんの口の中に男根を押し込んでいた元カレが、ラストスパートと言わんばかりに腰を打ち付けて、顔にかけるように欲を吐き出していた。
「…うっ。」
「…うあ、あ…。」
顔にかかる欲に思わずシャッターを切る手が止まらなくなる。
「誠一くん可愛い…っ。」
「じゃあ、今度は俺の舐めてもらおうかな。」
先ほどまで誠一くんの雄を舐めていた元カレが、ジッパーを下ろしながら誠一くんの頭もとへ向かい、口の中に無理矢理押し込んでいた。誠一くんは嫌そうな顔をしながら抵抗できずに口内に男根を押し込まれ唸っていた。
「…う、うう、…っ。」
「セイイチくんの口の中気持ちいいよ。」
髪を撫でながら、腰を揺らす元カレ。その様子を写真に収めていく。顔中を白濁まみれにしながら男根を咥えている姿はとてもいやらしい。レイプされているというのに誠一くんは涙ひとつ流さない。抵抗する強い意志を感じる。やっぱり、誠一くんを選んでよかった。今までの彼氏よりもずっと長く抵抗してくれそう。
「んっ!…うう、ううっ。」
誠一くんの声が上がり、視線を向けるとローションを使って誠一くんの中をほぐしていた。昨日お兄ちゃんを受け入れたため、すんなりと指を受け入れて、ローションの滑りを借りてくちゅくちゅと音を立てながら解されていく。そちらの写真を撮ろうと足元へ向かうと、足を開かせて、指をすでに三本も入れていた。
指を中に入れながら、男性が感じる前立腺を探し出し、わざと引っ掻くように刺激していた。
「ふ、う…ううっ、ふ、んんっ。」
感じる部分に指が触れる度、誠一くんの腰がビクッと跳ねていて、本気で感じてしまっているのがわかる。
「すげえ、中とろとろ…。もう入れるわ。」
我慢できないといった様子で、コンドームをつけずに誠一くんを貫いた。
「うう!う、ふうっ、ううう。」
「口もおろそかにしないでね~。」
上の口と下の口の両方で男根を受け入れ、突かれている。これが複数プレイの魅力だわ。
「じゃあ、俺はこっち頂こうかな。」
自分の尻を自分で解していた元カレが、誠一くんに跨っている。口に入れられた男根が抜かれて、顔を上げて、誠一くんの雄を元カレの入り口に当てられる。
「あ、あ…やめろ、嫌だ、やめろ…!」
誠一くんの声は届かず、腰が下ろされて元カレの中に誠一くんの雄が入り込んでいく。
「童貞卒業おめでとう、セイイチくん。」
「うああ…っ、嫌だ、嫌だ…。」
「じゃあ、こっちも舐めてね。」
誠一くんの口にまた男根が押し込まれる。四人の男の子たちが絡み合う姿に、
「…すごく、イイ…。」
うっとりとした声が漏れてしまった。誠一くんが苦しそうにしているけれど、四人ともすごく気持ちが良さそうだった。それを写真に収めると、すぐに動画に切り替えた。
パンパンと肌がぶつかる音が響く。うめき声にも似た喘ぎ声が部屋にこだましていた。リアルな男の子たちのセックスをこんなにもみられるなんて幸せだと思いながら、動画を撮り続けた。

お昼休みが終わっても行為は終わらず、結局午後の授業をすべて欠席して放課後まで行為をしていた。私の趣味を理解してくれている元カレたちは、誠一くんにたっぷりと精液をかけてくれていた。全身性液まみれの彼を写真に収める。
「…みやこ。」
「気持ちよさそうな顔。たくさんイってたもんね。」
「…俺はお前をあきらめないから…。」
「ふふ、それは楽しみだわ。」
精液まみれになりながら、誠一くんはぐったりしながら宣戦布告をしてくれた。まだまだ楽しめそうですごく嬉しかったわ。



それからというもの、平日は元カレたちが、休日はお兄ちゃんが誠一くんを犯し続けた。誠一くんの入り口は緩んでいて、ローションで濡らせばすぐに男根を受け入れられるようになっていた。
けれど、誠一くんの心は壊れなかった。どんなに絶頂を迎えても、嫌だと繰り返し、行為の最後には私に愛してると声を掛けてくれていた。今までの歴代の彼氏たちとは異なる対応に少し戸惑っていた。
「ほら、入れるぜ。」
「う、ああ…っやめ、やめろ…っ。」
誠一くんは四つん這いのポーズでお兄ちゃんの男根をずる、と受け入れた。
「あ…あ、?」
誠一くんの様子がおかしくて、カメラを録画に切り替えた。お兄ちゃんはいつも通り、乱暴に腰を打ち立てる。誠一くんの身体が、ブルブルと震えていた。
「あっ、あ、あああっ?…ふあ、ああ、あーっ。」
ビクン、ビクンと身体が震えて、誠一くんは絶頂を迎えていた。シーツを白濁で汚しながら、誠一くんは大きく仰け反る。
「ああっ、いい、い、…ああ、きもち、きもちいいいっ、ああっ、あう、…っああ!」
自分から腰を揺らしてお兄ちゃんにおねだりする。振り返りながらお兄ちゃんに口付けをねだって、嬉しそうに口づけをしている。
「あんっ、あんっ、…ひあ、きもちい、おしりきもちいよぉ…っ。」
口淫を自分から率先して行ったり、騎乗位をして絶頂を迎える。誠一くんがメスになる瞬間をみながら、私も絶頂を迎えた。
「……やっぱり、ホモは最高ね。」



[ 2022/05/22 13:18 ] 短編 | TB(0) | CM(0)