「それじゃあ始めてちょうだい」
小早川が開始を告げると、二人はさっそく行動を開始した。
まずは萌のいるベッドに上がり、
じりじりと躙(にじ)り寄っていく。
美雪がとなりに座り、手をとって萌の手の甲を指先で優しく撫であげた。サラサラとした感触が伝わる。
「大丈夫。いきなり激しいことはしないから。
ゆっくり気持ち良くなっていこうね?」
誘惑する眼差しで見つめられ、萌は硬直する。
こんな大人の女性に性的アプローチを受けるのは、
萌の人生において初めての経験。
女性に性的関心が移りかけている萌は、
少しだけ胸をドキドキさせるのであった。
※※※
相澤美雪、26歳女性。
彼女はアダルト業界で人気のAV女優で、
これまで数々の共演女優を堕としてきた過去があった。
その性技は素晴らしく、
ノンケの女優であっても、彼女の手にかかれば、
たちどころにレズに転向し、
レズ物AVへの出演が激増してしまうほどであった。
そのため業界では、
ノンケ堕としの女王様としても有名であった。
彼女はその風貌からか、女性に尊敬されやすく、
バリバリのキャリアウーマンタイプの女性であった。
彼女に守られたい、彼女に包まれていたい、
彼女のお嫁さんになりたい。
そう思わせてしまうほど、
女性を魅了する力を美雪は兼ね備えていた。
「私に任せて……男とするより、女の子とする方がずっと良いって教えてあげるから♡」
美雪は萌の肩に腕を回すと、後頭部に手を添えた。
「力を抜いてね……支えててあげるから」
言われた通り力を抜くと、
美雪は萌の身体を支えたまま、首もとにキスをした。
「んっ……♡ ふぅ……♡」
唇が触れて、舌先が首筋を撫でると、萌は思わず声を漏らした。
美雪はそのまま首筋にキスを重ねていく。
「ちゅ……♡ ちゅ……♡」
敢えて音を出し、耳を刺激する。
服の上から指先で、
萌の胸の輪郭をなぞるように、愛撫を加えていく。
「ふぅ……♡」
たいした刺激ではない。むしろ物足りないくらいである。
しかし、微かに感じるその刺激によって、
萌の性感は、たしかに高められていた。
(あぁ……うそ……)
自身の乳首が少しずつ大きくなっていくのがわかる。
まだ触られてもいないのに、チクチクとした刺激が先端から発せられているようだった。
美雪はなおも性感帯からは程遠い、
お腹や肩などの部分を重点的に触っていく。
そして時たま、胸の輪郭をなぞった。
たったそれだけのことなのに、
萌の乳首は痛いほど勃起してしまった。
(あぁ……こんな……知らない女の人なのに……)
見知らぬ女性の手で、女としての快感を呼び覚まされる。
萌はそんな背徳感からか下着を濡らし始めていた。
「美雪ちゃんだけズルいー私にもさせて」
置いてけぼりをくらった由香は、美雪に抗議する。
「じゃあ私は背中を支えてるから由香ちゃんは前をお願いね」
「りょーかい!」
美雪は萌の背中に回ると、しっかりと身体を支えた。
背中から抱きしめられる形となり、萌はより強く美雪を意識した。
(美雪さん良い匂い……それに胸が当たってて、
あぁ……なんか変な感じ……♡)
柔らかい女性の胸が背中に触れて気になって仕方がなかった。美雪の手が先ほどと同じように、胸や肩や腕などを愛撫してくれる。まるで全身を美雪に包まれているような、心地よい感覚が萌の中で目覚めつつあった。
「萌ちゃん、いっぱい気持ち良くなってね♡」
由香はアニメの美少女キャラのような声で言うと、
両手で、萌の太ももに指先を這わせてフェザータッチを始めた。女性器の周りを由香の指が這いまわる。
「あ……は……っ♡」
指が太ももを這いまわる感覚が途轍もなく気持ちいい。
でも肝心なところは触ってもらえなかった。
そのもどかしさにより、萌は思わず腰をくねらせた。
「こんなに腰クネらせちゃって~♡
由香の愛撫がそんなに気持ちいいの~?♡」
その姿、声から、
小さな子供に悪戯されているような感覚に陥る。
年齢は分からなかったが、本当にこんな子供とこんなことをしていて良いのだろうかという迷いと背徳的な快感が萌を襲った。
「やっ……♡こんなこと……ダメ……♡」
「ふふふ……本当にダメなのぉ?
萌ちゃん、すっごく気持ち良さそうだよ?♡」
由香は一旦、そこで手を止めると、
萌の靴下を脱がせにかかった。
布に覆われていた足が外気に触れる。
ぬちゃ……ぺろ……ぴちゃ……
(えっ!?)
経験のない感触を感じて萌は目を見開いた。
自身の足を口に加え、入念に舐め回すいたいけな少女。
そのあまりに犯罪的な光景に、萌は思わず声をあげた。
「ふぅあっ!♡ そこ……だめ……汚いからぁ……♡」
「んーん?萌ちゃんの身体に汚いところなんてないよー?♡」
こんなに華奢で可愛い女の子が、
自身の足を愛おしく舐めてくれている。
しかも、すごく気持ちいい。
足の裏に感じる舌先の感覚が、快感となって伝わり子宮に届いてしまいそうになるほどであった。
※※※
餅月由香、19歳女性。
由香は元はメイド喫茶で働くどこにでもいる女の子であった。その容姿、アニメ声からオタク達に人気があり、連日満席となるくらい、由香の勤めるメイド喫茶は賑わいを見せていた。
そんな彼女が風俗業界に入る切っ掛けとなったのが、
オタク達による集団ストーカー事件である。
彼らは由香を誘拐し、ある家屋に監禁して、
何日も何日も性行為を強要した。
たまたま近くを通りかかった女性が異変に気付き、
警察に通報してくれたのだが、
助け出された頃には、
すっかり由香は男嫌いになってしまっていた。
由香は穢れてしまった自身の身体を浄化するため、レズ風俗業界に入った。男に穢された身体は女によって浄化される。メンヘラ気味な性格も併せ持っていた彼女は、思い悩んだ末、そのような思考に落ち着いたらしい。
由香は女性のAV監督の元、様々な女性とレズ行為に至ったが、その容姿と熱心な奉仕意欲から、女性の母性本能をくすぐり夢中にさせてしまう性質を持つようになった。
彼女と共演したノンケ女優は、その奉仕能力にハマってしまい、プライベートでもお金を払って、彼女にレズ奉仕を求めるようになった。そうして彼女にハマって、ノンケに戻れたものは誰一人としていなかったという。
そのため業界では、
ノンケ堕としのお嬢様として有名であった。
小早川は"ノンケ堕とし"として評判のある二人を抜擢していたのである。
(この子の舌……気持ちよすぎる)
萌は初めて感じる足への快感に戸惑いを感じていた。
徐々に徐々に足を性感帯へと変えられてしまう不安感。
このままこの快感にハマってしまったら、一体どうなってしまうのか?
もしかしたら彼女なしでは生きていられなくなるかもしれない。そうした不安が早くも芽生え始めていた。
(あぁっ、ダメっ!
こんなのにハマったら……戻れなくなっちゃう)
由香の舌技に翻弄される萌。
しかし、彼女がそうして由香に気を取られているうちに、
美雪による上半身への静かな開発は進んでいた。
美雪は、なるべく低刺激で萌の胸やお腹、肩、背中、腕などへの愛撫を続けていた。
美雪の愛撫により、
萌の吐息が熱くなり全身が温かくなっていく。
徐々に高まっていく心地よさ。
こうして美雪に背中を預ける安心感。
そして心までもが、
美雪によって温かく満たされようとしていた。
(あぁ……なに……なんだか……すごく幸せな気持ちになってきちゃった……ど、どうして?)
足への刺激が強くて、
その裏で行われる美雪の愛撫の実態に萌は気付かない。
まるで天国にいるような、フワフワとした感覚。
萌はそれが由香の舌によるものだと勘違いしていたが、
一つのきっかけで気付かされることとなる。
「あーーダメっ、なんかきちゃう……♡
なんかきちゃうの……あっあっ!!♡♡」
断続的に与えられる快感に萌の息が荒くなる。
「なに……なにが来るのっ?あっあーーーーっ!」
萌は未だに性感帯を触ってもらっていない。
胸、股関、お尻以外を撫でられているだけだ。
それだけに、なぜ自分がイキそうになっているのかわからなかった。
「あぁ、くるっ……くる……きちゃうぅぅぅぅぅぅ!!」
まさか足だけでイッてしまうというのか?
美雪の愛撫の効果に気付かない萌は、
そのまま意識を手放し盛大に……
「あっあっ!!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ビクビク!!ビクビクビクゥゥゥゥンッ!!
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
イッてしまった。
ピクピクと、絶頂の余韻に浸る。
美雪は、この瞬間を狙っていたと言わんばかりに、
萌のだらしなくヨダレを垂らす顔を、自分の方へと向けた。
「萌ちゃん、女の子でイケて良かったね♡」
「ンンッ!!♡♡」
イッた直後に、美雪の舌を差し込まれる。
美雪は萌の舌を捕らえると、そのまま絡み合わせた。
二人の息が、女同士の唾液が、口内で混ざり合う。
美雪は萌の身体をしっかりと抱き締めた。
「ンンンッ!!♡♡ンンーーンーー!!♡
ンンッ!!♡ンンンッ!♡ンーー!!♡♡」
絶頂の余波が冷めやらぬ隙に、
ディープなキスを仕掛けられ萌は混乱する。
「ハァウッ!♡ンムッ!ン………♡」
プシュ……♡
触られてもいない膣で、なんだか液体が吹き出た感じがした。女の人にキスをされて潮吹き……そんなバカな。
萌が潮吹きを気にして静かになったのに合わせるように、美雪は怒涛のキスを展開した。
それにより萌の思考は吹き飛んでしまう。
「ンッ!!ンンッ!!ンンッ!!ンンンッ!!
ンンーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
ビクビクビクゥゥゥゥンッ!!
ビクビクビクビクゥゥウウウン!!ウウゥゥン!!!
ぷちゅ……♡
そこでようやく美雪は唇を離す。
絶頂後にキスをされた萌は、美雪とのレズキスだけで、
二度目の絶頂を迎えてしまった。
キスを終えた萌はすっかりハート目で、
美雪のことを見つめていた。
これまでの心地よさは、
美雪が丹念に愛撫することによって生じていたもの。
それに気が付き萌は、
美雪への好意が一気に爆発してしまっていた。
「どう?女の子としてみて、男と比べてどっちが良かった?」
「ぜんぜん……比べものにならない……♡
こっちの方が良い……♡ こっちの方が好き……♡」
「嫌な男のこと忘れられそう?」
「うん……♡」
美雪の問いかけに、萌はメロメロになりながらも答えた。
「もう美雪ちゃんずるいー。
良いところだけ取っていくんだからぁー。
んーでも萌ちゃんが男の人と縁が切れて良かったかな?」
由香は萌の足から口を離すと、
萌がレズ宣言をしたことを喜んだ。
そしてそこで萌の股間の異変に気が付く。
「ねぇねぇ、萌ちゃん♡」
「んん……?」
「萌ちゃんの服……エッチな液でぐちゃぐちゃだよ♡」
「…………あっ!」
気付くと萌の履いているボトムは、萌の膣から垂れ流されたレズ汁でビシャビシャに濡れていた。
萌は、足への愛撫と、服の上からのフェザータッチ、そして美雪とのレズキスだけでここまで濡れてしまったのだ。
由香は萌が女同士の性愛行動で、
ここまで濡れたことを喜びながらも、次なる行動を求めた。
「萌ちゃん、次、どうしたい?♡」
「え?」
「この、ぐちゃぐちゃになった服を脱いで、
生で……♡女の子同士♡エッチなことしてみたくない?♡」
「ごく……はぁはぁ♡」
服を着てこれなら、
脱いでしたら、どれほど気持ちが良いだろう?
想像しただけで、
身体の震えが止まらなくなってしまった。
この震えは先ほどまでの、
女同士の行為への、本能的な嫌悪感からではなく、
期待感、興奮、好奇心からくる震えへと変わっていた。
特定の誰かと付き合い、純な恋愛を望むといった価値観は、美雪と由香とのレズセックスにより、脆くも崩れ去ってしまったのであった。
「萌ちゃん、遠慮しなくて良いのよ。細かいことは忘れて、女の子同士でいっぱい気持ち良くなりましょ?」
美雪は、そう言って萌を見つめた。
吸い込まれるような美しい瞳。
一度キスされ絶頂させられた今となっては、
彼女の魅力に無関心ではいられなかった。
その眼に魅了された萌は……
ただ「はい……♡」と返すのであった。