「むむむ!? その本は、もしやモンモン坂高校のBL本では!?」
「ふぁ!? こここ、これはその……道端で拾って……
って、あなた誰ですか!?」
「私は漫研の萌。芳ばしい匂いをかぎ分ける嗅覚と、
鋭敏なる直感を持つ漫研の期待の星だ。
その同人誌、道端で拾ったにしては、泥一つ付いてないではないか。
さては……君……腐ってるな……?」
「ななな、なにを根拠にー!」
※※※
「萌ー! このカルテトの絡み、最高だから見てみなよ!!」
「ウホッ! やべぇ、勃起しそう」
「ちょっと、その顔で勃起とか言わないの」
「真里だって、うは濡れるわ~とか腐りきったこと言ってるじゃん」
「んーや、私より萌の方が腐ってるもんねー」
「んんー? まぁ……言われてみれば、そうかもね……。
でも腐り方は、真里の方がカラフルだよ」
「腐り方がカラフルって……」
※※※
「まさに奇跡……まさか真里が◯✕大学を受かるなんて……」
「全ての煩悩を捨て……私は学問の道を貫いたのです……
もはや私が目指すのは、桐越先輩ただ一人……」
「じゃあ、合格したことだしカルテト本解禁だね!
ほら、真里のために一年分のカルテト本買い集めといたよ!」
「わーーい! 萌、最高ー♪ 愛してるぅー♡ ちゅっ♡」
※※※
「んっ…………」
萌は静かに意識を取り戻す。
まだ目は開けていないが、先ほどのベッドで眠ってることは分かった。
(こんな時に昔の夢を見るだなんて…………
それにしても、真里とキスしたのさっきのが初めてじゃなかったんだな……。
ふざけてしたことだからノーカンだと思うけど、
あれが私のファーストキス……まぁ、真里は知らないことだけどね……)
萌は目を閉じながら辺りの様子を伺っていた。
目を開ければ、小早川が何か仕掛けてくるかもしれない。
とりあえず萌は、寝た振りを続けることにした。
「はぁ……♡ はぁ♡ あはぁ……ぅんっ♡」
なぜか真里の喘ぎ声が聞こえてる。
くちゅくちゅと水が弾ける音も鳴っており、彼女が何か如何わしい行為をしていることは明らかだった。
「なかなか起きないわネ。アナタの彼女。もう起きてるはずなんだけど……。もしかして、寝たふりでもしてるのかしら?」
モニターから小早川の声がする。
まだ状況が掴めないこともあり、萌はもう少し様子を見ることにした。
「真里ちゃん、あなたの方から起こしてあげたら? ずっと一人でしてたら寂しいでしょ? まずはお目覚めのキスをしてあげなさい」
「はぁい♡」
とろけた声で真里が答える。
その声に、小早川に反抗する意思は全く感じられなかった。
(どうして……? 真里も記憶を取り戻しているはずなのに……)
ちゅ……♡
そうこう考えていると、唇に何かが押し当てられる。
真里の唇が触れているのだ。
甘く柔らかい感覚。
強制されたキスと違い、温かく愛情が感じられるキスだった。
(んんっ!? な……なんか変!)
萌は堪らず起き上がり、真里を押し退けた。
これ以上キスをされては、
どうにかなってしまいそうな気がしたからだ。
「やめて、真里!」
ハッキリとした声で訴え、真里の方を見る。
そこには生まれたままの姿で、こちらを熱く見つめる真里がいた。
彼女は右手で股間を慰め、左手で胸を撫でていた。
色欲に染まった目は今にも襲いかかってきそうな雰囲気であった。
「あぁ……おはよー萌♡ 急にどうしたの?」
萌は、その反応を見て、
真里が新たな暗示を掛けられていることに気が付いた。
すぐにモニターの方を向き、声を荒げる。
「アンタ! 真里に何したの!?」
「んーんー? 別に~? 真里ちゃんに聞いてみればぁ?」
小早川は、いかにもわざとらしく、何も知らないという体を装った。
「ねぇー萌、早くえっちしよぉーよ?♡」
小早川と話している間にも真里が迫ってくる。
彼女は萌の身体に抱きつくと再びキスをした。
ちゅう♡
「んっ!!」
本日三度目の真里とのキス。
キスの回数が増える度に、萌のドキドキの鼓動が高まってくる。
「ちょっ! ちょっと、たんま!!」
再びキスを迫る真里の身体を必死に押さえる。
「真里、あなたには誠くんって彼氏がいるでしょ!?
それなのに私とキスなんかしたらダメでしょ!!」
「んー? 誠……くん? 誰だっけ……?」
「えっ⁉」
真里は本当に誰だか分からないような顔をしている。
「そんな…………」
「私が彼氏なんか作るわけないじゃん。
こんなに可愛い彼女がいるのに」
萌が茫然としている隙に、
押さえる手を退け、再び真里は抱きついた。
ちゅううう♡
「んっ! んーーんーーんっ!!」
ちゅぱっ
「はぁはぁ、それ以上はダメ!」
四度目のキス。
不意打ちのキスのためか、萌の心臓は大きく跳ね上がる。
ほんの少しだが、身体が熱くなり始めていた。
「あーん……なんで今日はすぐに止めちゃうの?」
「ちがう……あなたの彼氏は桐越誠……。
あなたはアイツに暗示をかけられているだけなの!」
そう言い、萌はモニターの方を指差す。
真里は指差す方向をじっと見つめた。
「…………? 何もないけど? 今日はどうしたの? 桐越誠って誰?」
真里には小早川の映るモニターが認識できていない様子であった。
「無駄ヨ。今の真里はあなたと夜のお楽しみをしているところなの♡ このモニターは見えていないし、もちろん誠ちゃんのことは全然覚えていないワ。今の彼女にとって、この世で一番愛しているのは貴女♡ ほら、早く彼女の想いを受け止めてあげて♡」
「くっ……そんなことできるわけないでしょ!
早く真里を元に戻して!!」
「もう、いけずなんだから……
貴女も素直になれるよう、もう少しだけサポートしてあげる♡」
パチン!
小早川の指が鳴らされる。
「…………?」
萌は身構えたものの、
とくに何も起きた様子はなかった。
(コイツ……今度は何をしたの……?)
「いい加減、私、欲求不満ー。
萌がその気がないなら、調子が出るまで責めるからねー」
再び抱きつこうとする真里を、萌は両腕を前に出し防ごうとした。
ギュ…………
「えっ!?」
しかし萌のガードは、いとも簡単に弾かれてしまう。
真里の身体が自身の身体を包み込み、
優しく甘い彼女の香りが鼻腔をくすぐった。
「ああ、そっか! ようやく萌が何をしたいのかわかったよ。
ようするに無理やり犯されるシチュでやりたいってわけね♡
相変わらず変態だなー」
「えっ⁉ ちがっんんんっ!!」
言い終える前に、真里の唇が萌のそれを塞(ふさ)ぐ。
「んんっ♡」
五度目のキスにして、ついに萌は甘い声をあげてしまった。
キスを受ける度に、より深い快感が身体に溶け込むようだった。
「じゃあ、私だけ裸じゃなんだから、萌の服も脱がせちゃうねー」
「やっ……やめてっ!」
「おーー! すごい迫真の演技、さすが名役者!
じゃあ脱ぎ脱ぎするよー♡」
真里は萌のパジャマに手をかけボタンを外そうとした。
萌は真里の手首を掴み、抵抗しようとするのだが、なぜか力が入らなかった。
(さっき掛けられた暗示って、まさかこれ……?)
そう……萌が考えた通り、
小早川は、萌の身体に力が入らなくなるよう暗示をかけていた。
だがそれはあくまで抵抗する力が入らなくなるというもの。
先のことを考えて、萌が真里を求める場合は、きちんと力が入るようにしてあった。
真里は萌のパジャマのボタンを全て外すと、小ぶりな彼女の胸をブラの上から軽く愛撫した。
「ふぅんっ!♡ んんっん!!♡」
萌は、そんな小さな刺激にも声をあげてしまう。
あらかじめ暗示で、身体が感じやすくなるようにされていたのだろう。萌の反応に気分を良くした真里は、愛撫を続けた。
「萌、可愛い♡ こうしたら、どうかな?」
萌のブラをずらし、乳房の中心をペロペロと舐める。
「ふぁぁあっ♡ ぁんっ」
(はぁはぁ、なんで! なんで、こんな感じちゃうの!?
てか、真里、なんであなたそんなに上手いのよ!?)
萌は暗示を掛けられていたものの、
実際に感じる理由の大部分は真里自身の技術力にあった。
誠の勃起不全を治すために、真里はインターネットで異性や同性の感じさせ方を学んでいた。
異性だけでなく同性の感じさせ方についても学んでいたのは、
誠の女性化が進行し、その方法が有効だったからだ。
特に乳首や胸の攻め方については、同じ身体を持つものとして理解も早く、今回萌を感じさせるのに役立ってしまったというわけだ。
ペロペロペロペロペロペロ
「ぁっ……くぅ……んんんっ♡」
萌の身体に鳥肌が鮮明に浮き立つ。
中途半端なノンケの真里と違って、萌は完全なノンケ。
いくら暗示をかけられているとは言え、
同性から受ける刺激に強い嫌悪感を抱くのは変わらなかった。
(相手が真里だから幾分かマシだけど……やっぱきつい……)
小早川は、悲痛な表情を浮かべる萌の姿を眺めながら、ワインを味わっていた。
(良い気味ネ……あなたには敢えて嫌悪感を取り除いてあげないことにしたワ。無理やり同性愛者に変えられていく感覚に悶え苦しみなさい)
クスクスと笑いながら、目線を下に向ける。
彼の座っている椅子の下には、一物に舌を這わせる誠の姿があった。
「ちょっと舌が止まってるわヨ。おちんぽを握る指をもっと控えめにしなさい。意識しなくても出来るように何度でもやらせるわヨ」
ちゅぱ……ちゅぱ……ちゅぱ……ちゅぱ……
誠のお尻には長さ20cmの忍の巨根が差し込まれている。
仰向けになった忍の身体に跨がり、腰を上下させている状態だ。
お尻で忍のペニスを飲み込み、
口で小早川のペニスを含み、自らのペニスを勃起させる。
真里と萌同様、誠と忍も小早川の調教に従事させられていた。
(この10日間のうちに、必ず四人を堕としきってみせるワ。
将を射るにはまず馬から射よ。
誠ちゃんと忍ちゃんを堕とすのが難しいなら、
先に女二人を堕とせば良いのヨ。
男と違って女の心変わりは早いもの。
女の方から別れ話を切り出させれば、
男は拠り所を失い、すぐに崩れ落ちるはず……
そのためにも女二人には徹底的に愛し合ってもらわなくちゃネ……)