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霧の寝台

ガチ×ノンケ専門の官能小説 主なジャンル:GL BL NTR 催眠 調教 監禁 男の娘 女装

Part.78 【 桑原 幽子 】




散乱するおびただしい数の同人誌。
スイッチが抜けて倒れたポット。
踏みつぶされたティッシュケース。

もちろん即席の棚は跡形もなく崩れている。

だが幸い、物が壊れたり誠が怪我をしたりなどの被害はなかった。

倒れたポットを元に戻し、
散らかった同人誌を片付ければ、復旧できる程度の被害である。


「ごめんね、棚を壊しちゃって……押入れの中に鼠が」


そこで誠は、散らかった本の表紙に、
見慣れたキャラクターが描かれてることに気がついた。

どれも男性キャラクター同士が、
裸で抱き合ったり、キスをしている表紙ばかりだ。

その中の一つを手に取り、開いて中を見てみる。

紛れもない男同士のエロを題材とした漫画だ。


「えっ?これって……」

「はわわわわ……」


起きてはならないことが起きてしまい、青ざめる真里。

そんな二人の様子を、
腹を抱えて笑っている女性の姿があった。

透き通った身体で宙に浮かび、白装束を身に付けている。

首には痛々しい縄の跡が残っており、
彼女がこの世の者でないことは明らかだった。


「あーーいい気味。ざまーみろ!
しばらく見ないと思ったら、こんなイケメンを連れてきて……ほんとに恨めしいったら、ありゃしないわ!」


彼女は、慌てる真里を睨みつけながら、そう言い放った。
だがその声は彼女には届いていない。


この幽霊の名前は、桑原(くわばら) 幽子(ゆうこ)という。

真里がこの部屋に引っ越してくる四年以上も前に、
ここで首を吊って死んだ自殺者だ。

自殺の原因は男女関係のもつれ。

当時付き合っていた男性が浮気し、
失意のうちに命を絶っていたのだ。

それからというもの、彼女の魂はこの部屋に縛られることになり、今日(こんにち)に至る。

いわゆる、地縛霊という存在だ。


「ちょっと珍しい漫画を集めて、オナニーばかりしてるモテないオタク女だったから気に入っていたのに。
その変態趣味がそいつにバレて別れちゃえば良いんだ!
アハハハハハハハハハハハハ!!!」


自殺の原因が恋愛問題だったこともあり、
彼女の嫉妬は深かった。

初めはドアを開けたり、水道の蛇口を捻ったりして怖がらせるつもりだったのだが、
あまりにも二人が鈍感すぎて、それらが全く効かなかったことと、美味しそうな餃子ハンバーグを目の前で食べられ、なおかつイチャイチャされたことで怒りが爆発してしまったのだ。


「ま、誠くん……それは、その……えっと……」


うろたえる真里を尻目に、
誠は辺りに散らばった同人誌をチェックしていった。

どれも真里のお気に入りで、
特に性描写の激しいものばかりであった。


「真里さん、これって……」

「あう……あうあぅ、あうあぅ……」


もはや言い逃れはできない。
チリ紙交換所で、こんな漫画がたまたま集まるはずもなく、嘘をついたのはバレバレだった。


「ぷぷーーー! くすくすくすくす……
あー面白い。この狼狽(うろた)えた顔。
ヘタなバラエティ番組より、よっぽど面白いわ。
こうなったら別れるのは必至ね。
貴女にはもっとランクの低い男がお似合いよ」


笑いながらも、冷たい目つきで二人を見据える幽子。

彼女は自らの心の内に溜まった怨念で、
霊障を引き起こすタイプの幽霊だった。

これまでも数々の霊障を引き起こし、
このアパートの住人達を怖がらせていたのだ。

それが、真里の部屋の上下両隣に誰も入居者がいない理由であった。


「この漫画……もしかして真里さんの?」

「うっ……」


誠が核心を突く。
この慌てふためく彼女の姿を見たら、
誰だって真里が所有者だと分かるだろう。

真里は考えた。一度嘘を付いてしまった以上、誤魔化すことはもうできない。誠がどんな反応をするか心配だったが、全てを打ち明けることにした。


「ごめんなさい……嘘ついてました。
この本、チリ紙交換所で集めたんじゃなくて、全部私のなんです……」

「やっぱり……」


誠は、同人誌と真里を交互に見ている。

よっぽど本の中身が気になるのか、こんな状況にも関わらず、彼はイラストと吹き出しに注目していた。

誠が手に持っている同人誌は、
真里のお気に入りのカルテト本で、
人気漫画〇〇教室のカールとテトが裸でお互いのちんちんをしゃぶり合っている表紙だった。

そこで誠の身体に変化を生じる。
それは太ももの間で何かが膨らんできている感覚であった。


(この感覚は……)


誠はこの感覚に身覚えがあった。
男だったら誰しも経験したことがある感覚……【勃起】だ。

今まで不能だった男性器が勃起を始め、誠は慌てた。


(なんでこんな時に?)


誠は正座して勃起した一物を太ももで挟み、
両ふくらはぎを左右に広げてお尻を床にペタンと付けた。

いわゆる女の子座りと呼ばれる座り方だ。

その間もむくむくと、誠の控えめなそれは膨張を続けていった。彼の身体はカールとテトのしゃぶり合いを見て、忍から受けたフェラチオの感覚を思い出してしまっていたのだ。

しかし記憶を消されている誠には、その明確な理由が分からなかった。


「あれ? このイケメン、
なんで急に座り方変えたんだろう?」


幽子は不審に思い、床に身体を沈ませた。

そのまま誠の座る床の下まで移動すると、
寝間着をすり抜け中を確認した。


「この人、勃起してる!! てか、ちっちゃ!!」


幽子は誠の視線の先を確認した。
そこにあったのは、過激なBL本。
しかもお互いのモノをカワイイ男の娘同士で舐め合うというハードなものだ。

男でこういったものに興奮する人種は一つしかない。


「この人、もしかしてホモ?」


この座り方と言い、女装が似合いそうな容姿と言い、このイケメンがいわゆるそっち系の男子である可能性は極めて高いと幽子は感じた。

ではなぜ男は真里と付き合っているのだろうか?

付き合っていると自分が勘違いしてるだけで、
実はただの友達同士ということだろうか?

幽子の怨念のレベルが一段下がる。

勘違いであれば、
真里に迷惑をかけてしまったなと少し反省した。


「私、中学の頃からこういうのが好きで……
実は前々から、誠くんが男に犯される姿を妄想してました。エッチの時だって、可愛いマコちゃんを男になってメチャクチャに犯してやりたいって思っていたんです……」


真里が次々とカミングアウトをする。
幽子はそれを聞いて、微妙な気持ちになってしまった。


「エッチしていたということは、やはり彼氏か。
この男のホモっぽいところと言い、カミングアウトの内容と言い、素直に嫉妬できないわね……」


微妙な顔をする幽子。
誠がホモをカモフラージュするために、
真里を利用しているのでは?とも考え始めていた。


「そうなんだ。
それならそう言ってくれたら良かったのに……。
私は、真里さんがこういうの好きでも構わないよ。

だって真里さんは、私が男の人が好きだと言っても、
ずっと好きでいてくれたじゃない?
私も真里さんが何を好きになっても好きだよ」

「本当……? 誠くんうれしい!♡」


真里は捨て身の覚悟で打ち明けた趣味を受け入れてもらえて、嬉しさのあまり誠に抱き付いた。


「はぁ? なんで!? なんでよっ!?
真里はホモって知ってて付き合ったの?
こいつもホモなのに真里を好きになったの?
ぜんっぜん意味分かんない……」


幽子の理解を超える発言の数々。

唖然として二人を眺める幽子は、
さらに不可思議な光景を目の当たりにする。


「誠くん……好きっ! ちゅぅ♡」


真里が誠を布団に押し倒す。
大切な同人誌が散らばってることなど、どうでもいい様子だ。
誠の股間に真里の太ももが当たる。


(んっ!? なんか当たった?)


普段と違う感触。何やら硬い物が当たったような?
真里は気になり、接触部分を確認した。

誠の股間が少し盛り上がっている。

ハッとして、誠と顔を見合わせると、
彼はほんのりと頬を染めて、恥ずかしそうにコクンと頷いた。


「うそっ!? 誠くん、ホントなの!?」


真里はガバっと起き上がると、
誠の寝間着に手を添えて、下着ごと引き下ろした。


「 こ、これはぁ!!」


そこには可愛らしくも
ピコンと挨拶をする誠のペニスがあった。



※※※



「誠くん……お、おちんちんが!」


真里は両手を口に当て、目を見開き驚いている。
まるで長年探し求めていた財宝に巡り会えたかのような反応だ。

そしてしばらくすると、
顔を真っ赤にさせ泣き出してしまった。


「うっ……ひっぐ……えっぐ……やっと……勃ったんだね……」

「真里さん……」


誠は起き上がり真里を抱きしめた。


「グスン……やっと……やっと勃った……嬉しいよ……うぅっうぅっ……」


二人が初体験を済ませてから、
既に二か月以上が経過しようとしていた。

その間、真里は毎日のように、
誠のふにゃふにゃペニスをしゃぶり続けていた。

その他にも、乳首を刺激したり、貝合わせをしたり、
様々な方法で勃起させようとしてきたのだが、
一度も成功したことはなかった。


「今まで苦労駆けさせてごめんね。
それとすごく言いにくいことなんだけど、
真里さんのエッチな本を見て勃起しちゃったみたいなんだ……
今まで頑張ってくれてたのに、
こんなことで勃起しちゃってごめん……」

「ううん……いいよ。
それはそれで、なんか良いかも……♡」


真顔で二人の会話を聞く幽子。

時間が静止したように固まっている。
機能が停止したロボットのようでもある。


「なんなの、この感動のひとシーンみたいな展開。
長らく不能だった彼が、ホモ漫画を見て勃起して、
今までの努力が無駄だったにも関わらず、
彼女はそっちの方が好みだったってわけね。
映画化決定だわ。全世界が感動、
ミリオンセラーも夢じゃない……って……んなわけあるかい!」


幽子がツッコミを入れている間にも、
真里は誠の寝間着を完全に脱がせてしまっていた。


「うふふ♡ さぁ、マコちゃん、今日もさっそくシヨ♡」

「うん……♡」


真里の誘いに女の子のように頷く誠。
彼は舐めやすいように足を広げていた。
真里はさっそく顔を降ろし、勃起した誠のペニスと対面する。


「はぁ♡ はぁ♡
マコちゃんのおちんちん、おっきい……♡」


実際そこまで大きくはない。
むしろ小さい。すごく小さい。

あくまで今までの誠に比べれば大きいという意味である。

真里は舌を出し、
アイスクリームを舐めるようにそれをペロリと舐め上げた。

が、しかし………


「ペロ……ペロ……ペロ……んっ……?」


真里が舐めれば舐めるほど、誠のペニスの硬度は下がっていき、元のふにゃちんへと戻ってしまった。


(ガーーーーン!!)


さすがの真里もこれにはショックを受ける。


「うぅ……これは気の毒かも……」


その様子を見て、幽子は同情的な眼差しを向ける。
もはや真里のことを羨ましいなどと、全く思っていない様子だ。


「ご、ごめん、真里さん」


誠はすぐに謝罪した。

誠にはちんちんの硬さを維持する力はなく、
仕方がないといえば、仕方のないことなのだが……


「いいえ……別に構いません。
誠くん、もう一度私の同人誌を読んでもらえますか?」


そう言うと真里は起き上がり、
先ほど誠が持っていた同人誌を手渡した。


「これを読んでください。
そして読んでいる間は、私にしゃぶられているのではなく、
その漫画のキャラクターにしゃぶられていると思ってください」


勃起したとは言え、
真里はすぐに誠が膣内射精できるとは考えていなかった。

いつかはそこまでできるようにしたいが、
そこに行き着くまでには、いくつか段階を踏む必要があると考えていた。

今は自分の存在を消し、誠を勃起させるに至った同人誌のみで、射精させることを第一の目標とした。

勃起に慣れさせて、
いずれは自分とのセックスでイケるようにする。

いわば、同人誌は自転車の運転が苦手な子のための、
補助輪のような存在だと考えていた。


「私に構うことはありません。
せっかく勃起できるようになったのですから、
このチャンスを逃さず、射精できるようにしましょう!」

「うん……わかった。私も頑張って射精してみせるね」


そうして誠は同人誌を読み始めた。

誠は漫画をあまり読まないタイプであったが
〇〇教室は映画化したほどの有名な漫画で、
大体の内容は把握できていた。


「これって、〇〇教室だよね?」

「そうです、〇〇教室の18禁スピンオフ作品です。
誠くんは、テトに自分を重ね合わせてください。
カールが誠くんのおちんちんとお尻を責めてくれるので、
テトになりきって感じてくださいね」

「うん、やってみる」


同人誌の内容は、
テトとカールが喧嘩をするところから始まる。

二人は内心は両想いであったのだが、
男同士ということでなかなか素直になれないでいた。

そこに怪人が現れ、テトを攫っていってしまう。

女の子のように可愛いテトは、
女装させられ怪人の慰め物にされる毎日を過ごす。

そこにカールと仲間たちが現れ、怪人を追い払うのだが、
既に発情の呪いを掛けられていたテトは、
快感に悶え苦しむようになっていた。

この呪いを解くためには、
心から愛している人と結ばれる必要がある。

初めは〇〇教室のヒロイン役のキャラクターが選ばれたのだが、テトの呪いは解けない。
ショックを受けたヒロインは、テトに冷たい言葉を投げ捨てて立ち去ってしまった。

落ち込むテトを見兼ねたカールは、
そんな身体じゃこの先何の役にも立たないだろうから、
性奴隷として扱ってやるよと言ってレイプしてしまう。

だがカールの本心は、
そんなテトを放っておけないというものであった。
素直になれないカールは、
自分を誤魔化すためにそう言ったのだ。

初めはカールのそんな態度に、
ショックを受けていたテトであったが、
身体を重ねるうちに、カールの本心を感じ取るようになる。

カールはテトの身体を好き放題にして弄(もてあそ)ぶのではなく、
恋人を労わる優しい触り方をしていたのだ。

そんなカールの心に気づき、
テトは自分の想いを打ち明けることにする。

それに応えるようにカールも想いを告げ、
二人は絶頂を迎える。

テトにかかっていた呪いは無事解け、
二人は幸せなキスをして終わり、といった内容だ。


(薄い本だけど、これだけの内容が詰まっている。
私のお気に入りの同人誌ベスト100に入るほどのカルテト本……この本ならきっと誠くんを射精まで導いてくれるはず)


真里は誠のペニスを見つめながら、
勃起するのを今か今かと待ち受けていた。



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