温泉から上がり、自室の広縁(ひろえん)にて牛乳を飲みながらお喋りをする恭子達。
「さっぱりしたー!」
「さすが美肌の湯と呼ばれるだけあるわね。湯上がりたまご肌って感じだわ」
「温泉特有の香りが良かったですね」
脱衣場にて、直美が他の女性に欲情してしまうアクシデントはあったものの、十分温泉を満喫することができた三人。彼女達は雑談を終えると、入浴後のスキンケアを行ったり、テレビでお気に入りの番組を見たりして過ごしていた。
「そういえばマコちゃん遅いねー、何かあったのかな?」
布団の上でTVを見ている直美が、うつ伏せで足をバタバタさせながら尋ねる。
「男湯、結構混んでるみたいだったし、それで遅れているんじゃない?」
真里は二人の会話を聞いて、妄想を膨らませ始めた。
(誠くん、もしかして前にイケメン二人にナンパされた時みたいに言い寄られてたりして……それでどっちも裸なもんだから、つい勃起しちゃって……はぁはぁ……興奮しちゃった二人はそのまま反り返ったもの同士で……ウェヒヒヒ……)
真里は恍惚とした表情で身体をモジモジさせている。今宵、誠と同じ部屋で過ごせるためか、妄想にも一段と熱が入っているようだ。
そんな妄想をしていると、ガチャリとドアが開く音が鳴り、バタンと閉まる音がした。
「ただいま……」
襖(ふすま)を開けて、元気のない様子で誠が入ってくる。
「マコちゃんおかえり、お風呂どうだった?」
暗い表情の誠を心配して、恭子が尋ねる。
「……いい湯だったよ。でも女の人に間違われて、仲居さん呼ばれたのは嫌だったかな」
「そんなことがあったんだ? 大丈夫だったの?」
「うん、なかなか信じて貰えなくて大変だったけど、"証拠"を見せたら信じてもらえたから大丈夫」
(証拠……あれしかないわよね……)
(えっ?♡ 誠くん、何を見せたの?♡ まさか……)
(うわぁーーあの蟹美味しそう、また旅行いくことになったら、今度は海行きたいー!って言ってみようかな)
恭子と真里がほぼ同じ事を考える。直美はテレビに釘付けだ。
「あら、そう。上手く解決できて良かったわね」
恭子は大体予想がついたのか、そこまで突っ込んでは聞かなかった。だが、ちょうどBL妄想中だった真里は、敢えて誠に近寄り質問した。
「あの、マコトさん……証拠ってなんですか?」
男湯での出来事を思い出し、顔を赤らめてしまう誠。その反応だけで真里は十分満足したが、言いにくそうに誠は答えた。
「えっと……あれを見せて……」
「あれって何ですか?」
「お……ちんちん……」
両手で顔を覆って、恥ずかしそうにする誠を見て、真里は思った。
(あああぁぁぁ、ヤバイ可愛いぃぃーー! 何その反応……なんでそんな純な女の子みたいになれるのぉぉぉぉ)
それは、誠が男性に見られて感じる羞恥心に目覚めてしまったからだった。
普段は誠のことをカッコいいと思っていた真里であったが、さすがにこの時ばかりは可愛いと感じてしまった。
「たしかにおちんちん見せれば一発ですよね。でもそんなことになるのでしたら、やっぱり一緒に女湯に入った方が良かったかもしれないですねっ!」
「うん、そうだね……」
「じゃあ、次は一緒に入りましょ? マコトさんが、男だってバレないように、私がフォローします!」
「ありがと、真里さん……でも……」
誠は、他の男性の視線が気になり、ゆったりと温泉に浸かることはできなかった。
もう一度入り直したい気持ちはあったのだが、どうしても女湯で男だとバレてしまうのが怖かった。
そんな誠の様子を見て、真里は提案を続ける。
「じゃあ、あまり人のいない時間帯に入りましょうか? お風呂24時間入って良いそうなので!」
「うーん……それなら良いかな……?」
(よっしゃ~! 誠くんとお風呂入れること決定~♥)
真里は心の中でガッツポーズをとった。
「またお風呂に行くなら、私も行くわよ。フォローする人数が多い方が、マコちゃんも安心よね?」
二人の会話を聞いて、恭子も続く。
元々、恭子は証明書を持っていない誠が女湯に入るのは反対だった。しかし、誠が男湯でゆったりと寛げていなかったことが分かり、せっかくの旅行で温泉が楽しめないのも可哀想だと感じていた。
元々誠がこうなったのは、自分に責任がある。それならば、多少のリスクを背負ってでも女湯に入れてあげるべきだと考え直していたのだ。
「みんなでもう一度お風呂入るの~? じゃあ、あたしも行くー!」
テレビ番組がコマーシャルに入ったことにより、直美が会話に参加した。
「直美はダメよ」
「えっ!? なんで!?」
「またさっきみたいに厭らしい目で女の人を見たら疑われちゃうでしょ? 今回はマコちゃんのフォローをするために行くの」
直美は恭子に掛けられた催眠術により、女性への性的欲求が一般的な男性よりも高くなってしまっていた。先程女湯に入った際も、興奮してあちこち目移りしてしまっていたのだ。
「えーでも、あたしだけ一人で部屋残るの寂しいし……みんなと一緒に温泉入りたいし……それなら、ずっとキョウちゃんと真里ちゃんの裸だけ見てるから良い?」
「なんで私も!?」
真里のツッコミが入る。
「うーん……約束できる?」
「うんっ! 約束する!」
「あの……私の裸を見るのは良いんですか……?」
自分の意見が反映されず、少し困った顔をして尋ねる。それに対して恭子は少し考えた後、口を開いた。
「直美が私の裸をずっと見てたらおかしいし、私と真里ちゃんの間だけでも目移りしてもらっていた方が自然だと思うんだけど、どうかしら? 直美を一人で置いていくのも可哀想だし……でも、真里ちゃんがどうしても嫌だって言うのなら直美には諦めてもらうわ」
恭子の提案に迷い始める真里。
(うーん、どうしよ…………てか、恭子さん、彼女が他の女性の裸を見てても平気なのかな……? 私も誠くんと一緒にお風呂入りたいのは、誠くんの裸を見たいからだし……。一人だけ置いていくのも、たしかに可哀想だな……)
「わ……わかりました……良いですよ……」
「えぇっ!? ホント!」
「コラ! 喜ばないの……」
恭子は一度は断ったものの、初めから直美は連れていくつもりだった。断ったのは直美に条件を付けるためだ。誠同様に直美も恭子の催眠術により、今の状態になってしまっていた。恭子には二人をフォローしていく責任があるのだ。
真里については元々レズビアンであるため、そこまで強く断らないだろうと予想していた。そして恭子の予想通り、真里は提案を受け入れた。
※※※
深夜一時……
館内は静まり返り、廊下を歩く人の姿も見られない。恭子、直美、真里、誠の四人は揃って女湯に入場した。
誠は男湯に入った時とは、打って変わって女性らしい髪形に変えていた。浴衣も女性用の明るいものに変えており、男だと判別するのは難しい。
時間も時間なだけに、脱衣場にも浴室にも人の気配はなかった。まずは、自分達だけでお風呂場を独占できたことを喜び、さっそく浴衣を脱ぎ始めた。
真里は脱ぎながらも、心臓の鼓動が激しく鳴るのを感じていた。
(はぁはぁ……誠くんのおちんちん……一体どんな形してるんだろう? しっかりと目に焼き付けておかなくっちゃ……大きいのかな~? あの見た目で巨根だったら、ギャップ萌えできるかもなーーデュフフフ……デュフフフフフ……)
あいかわらず考えていることは、超が付く変態である。真里は、手早く浴衣を籠に入れ全裸になると、さっそく誠の方を振り向いた。
(………これ、誠くんだよね?)
そこには男にしては狭い肩幅、白く透き通った背中があった。お尻も白くぷりんとしていてなんとも可愛らしい。女性特有のボリュームはないものの、男でここまでの形なら十分といえる。
誠は恥じらいつつも、タオルで股間を隠し、真里の方を振り返った。
「えっ!?」
真里は思わず声を上げてしまった。
(えっ? えっ? これって……もしかして……おっぱい?)
誠の胸にはAカップほどの膨らみがあり、純白でとても綺麗な形をしていた。
(いやいやいや……胸の筋肉だよ……他の部分が女っぽく見えるから、ここもそう見えるだけで……おっぱいじゃなくて『雄っぱい』だよ……)
目に見えるものを否定する真里。いくら腐女子であっても、愛する人の胸におっぱいがあるのは抵抗があった。
そんな真里の気持ちを踏みにじる直美の一言。
「あれー? マコちゃん、なんでおっぱいあるのー?」
同じく全裸になった直美が質問する。既に誠のことを男として見ていないため、自分の裸を見せるのも平気なようだ。
「あっ……これはね、キヨちゃんから買った石鹸で、毎日身体を洗ってるからだよ」
「えっ? そうなの?」
直美が恭子の方を向いて聞く。そんな話、初耳だといった様子だ。
「えぇ、でもあくまでマコちゃんに合うものを渡しているわ。直美はうちで使っているもので十分だからね」
恭子が誠に渡したビューティケア用品は、単体で使うのなら女性が使っても平気な代物だが、誠のようにフルセットで使うと、女性ホルモン過多となり身体には良くないものであった。
真里はその会話を聞いて、青ざめた表情をしていた。まさか誠が身体まで女性化していたとは……
タオルで股間を隠している誠は、実に女性らしい柔らかそうな身体つきをしていた。
真里はそれを見て、夏祭りで誠に抱きついた時のことを思い出した。たしかにあの時、身体が男性にしては柔らかく、間にクッションのようなものが挟まっているような感じがしていた。
(それが……まさか……おっぱいだったなんて……)
真里が呆然としてると、直美が誠にちょっかいをかけ始めた。
「マコちゃん、これ神経通ってるの?」
そう言い、誠の胸を優しく触ってみる。
「んっ…………うん、通ってるよ……」
誠は少し感じたらしく、軽く反応した。
「へぇー本物なんだー、ねぇ、真里ちゃんも触ってみなよ。柔らかいよ」
直美の言葉に真里がハッと反応する。
(えっ? 私が……誠くんのおっぱい……『揉む』の……?)
あまりに動揺しているためか、真里の頭の中で勝手に『触る』が『揉む』に変換されてしまう。再び心臓がドキドキと鳴り始める。そこで真里は自分のある言葉を思い出した。
『私は男とか女とか関係なしに、誠くんという性別が好きなだけなんだ』
(ハッ!! そ、そうだった……忘れるところだった……だから身体が女性化していたって関係ないっ! よしっ! 揉むぞっ!)
強引に自己解決をする。そうして真里は誠にふらふらと近づくと、そっとおっぱいに手を伸ばした。
若干手が震えてしまったものの、おっぱいを掴み、ギュッと揉んでみる。
「あんっ!♡」
「…………!!」
少し触れるだけだと思っていた誠は、突然の揉み込みに思わず声を出してしまった。
「あっ……すみません、少し力を入れすぎちゃいました……」
「こっちこそ、変な声出しちゃってごめん……急だったから驚いちゃって……」
高鳴る心臓の鼓動。真里は冷静に謝りながらも固まってしまっていた。
(えっ……私、今すごいドキドキしてる……誠くんのおっぱい揉んで……なんでこんなに……)
誠の胸の感触、艷やな声、その両方で興奮してしまい、真里の陰部は潤い始めていた。
(はぁ……はぁ……これ……レズじゃないよね……? 私は普通の女の子……腐女子だけど……)
真里は、女性らしい誠に興奮してしまう自分にショックを受けていた。
「マコちゃん、ホントこうして見たら女の子にしか見えないわね。そのタオルとったら、どうなってるのかしら? 私達も見せてるんだから見せてくれても、良いわよね?」
((!!!!!))
恭子の言葉に、誠と真里が強く反応する。
直美は誠の性器を見たくないのか、少し離れた場所に移動した。
恭子は高校時代、誠に退行催眠をかけてからというもの、一度も誠の裸を見ていなかった。
女性化促進の効果がどれほどあったのか? ちょうどいいので、今確認してしまおうと考えていた。
(そ……そうだ、おちんちんさえ立派だったら、誠くんのこと男だってしっかり認識できるかも!)
真里の中に希望が湧いてきた。誠という性別を好きになるのは勿論構わないのだが、出来れば男として見ていたい。真里の女としての本能がそれを求めていた。
「う……うん、そうだね。せっかくみんなにフォローしてもらうのに、私だけ見せないのも悪いしね」
誠が股間に添えているタオルをゆっくりと横にずらす。その様子を真里と恭子はじっと見つめていた。
(ゴクリ……誠くんのおちんちん……)
ドキドキドキドキドキドキドキドキ……
すっとタオルが離れた。
(!!!)
沈黙が辺りを包む……。恭子は誠のペニクリを見て、フっと微笑んだ。
(……誠くん、やっぱり相性が良かったみたいね。元々小さかったけど、最後に見た時の3分の2くらいの大きさかしら? 色も形もすごく白くて可愛らしくて良い感じね。こんなおちんちん、ネットでも見たことないわ)
誠にケア用品を渡すようになって、一年半くらいであろうか? 恭子は誠の股間のそれを見て、自身の渡したケア用品の効果に満足していた。
「………………」
冷静な恭子とは対照的な真里の反応。誠のペニスと対面して、再び言葉を失っていた。
(なにこれ……これがおちんちんなの……? 同人誌で見たのと全然違うよ? こんな可愛らしいおちんちん、同人誌でも見たことないよ……子供の頃、お父さんとお風呂入った時だって、こんな形してなかったはず……)
「ま……マコトさん……失礼ですが、これ……本物でしょうか?」
真里は失礼を承知で尋ねることにした。
(あぁ……もしかすると誠くんは元々女で、むしろ高校の時、男装してただけなのかもしれない……このおちんちんも実はオモチャで、私のことをからかおうとしているだけなんだ……きっとそうだよ…………あはは……あはははははは………)
度重なるショックの連続で、真里の心は荒れに荒れていた。付き合うことにでもなれば、いつか自分の中に入るかもしれないちんちん。
それがこんなにも小さいはずがない。
真里はBL妄想はたしかに好きだったが、誠と自分がセックスする妄想ももちろんしていた。
しかし、今回このようなマイクロペニスを見せられては、その印象が強すぎて、今後誠とセックスする妄想をすることはおろか、誠を男性として見ることもできなくなってしまう。
このことは、誠をホモからノンケに変えようとしている真里にとって、この上ない障害であった。
真里はその現実が受け入れられず、逆に誠が女であれば、この辛い現実から逃れられると考えてしまったのだ。
「うん、本物だよ。小さいけどね」
そんな真里の深刻な気持ちも知らずに、誠はあっけらかんと答える。
「本当ですか? 触って確かめますね」
真里は誠の股間の前にしゃがみ込むと、誠の同意も得ずに、一物に手を伸ばして握った。ショックが大きすぎて大分やけくそ気味だ。
ギュッ! ニギニギニギ……
ギュッギュッギュッ! ギュッギュッギュッ!
「ま……真里さん……?」
真里は誠の股間についたそれを取り外そうとしていた。これはきっとオモチャなんだ。おまんこに挿入したオモチャなんだ。そう思い誠のペニクリを引っ張っていた。
「ちょっと……真里さん……そろそろ……」
「あれ……? 取れない……? 取れない……? なんでだろ……?」
真里は、誠の股間からなぜオモチャが取り外せないのか、本当によく分からない様子だった。
「真里ちゃん……それは本物よ……」
少し困惑気味に恭子が伝える。
真里の奇怪な行動に、誠の一物から目を背けていた直美も徐々に興味を持ち始めてきた。
「真里ちゃん……それマコちゃんのおちんちんだよね……何してるの……?」
離れている直美からでは、真里の身体が邪魔をして、誠のペニスを視界に入れることはできない。
「えっとですね。マコトさんがオモチャを股間に挟んで私のことをからかっているので、取り外そうとしているんです」
「オモチャ!?」
直美がオモチャと聞いて近づいてくる。そして恐る恐る誠の股間を覗き込んだ。
するとそこには、ちんちんによく似た白くて可愛いオモチャがあった。それは以前、恭子から催眠術を受け、嫌悪感を与えられた男性の一物とは全く異なるビジュアルであった。
「ホントだー! 何これ可愛い~♡ あれ? マコちゃんって女の子だっけ?」
そう言い、真里と同じように誠の股間の前にしゃがみ込むと、さわさわと触り始めた。
「すごい手触り~♪ サラサラしててやわらかーい! なんでこんなの付けてるの~? マコちゃん」
「そうですよね。どうせ付けるのなら、もっとリアルで逞しいのを付ければ良いのに、わざわざこんな可愛いのを買ってきてからかうなんて、マコトさんひどいです」
あまりの手触りの良さに、直美は玉の部分を伸ばしたり握ったりしている。
真里も被っている皮を剥いてみて、その精巧な作りに驚いているようだ。オモチャでここまでの質感を出せるなら、結構お金のかかっているドッキリなのかもしれないと考え始めていた。
誠の股間で繰り広げられる光景。
誠は自分のペニスをカワイイと言われるのは嬉しかったが、あまりにもしつこく触るもので、少し嫌になってきてしまっていた。何度注意しても止めてくれない二人に珍しく声を荒げてしまう。
「も……もう! 本物だってばっ! いい加減にしてっ! 二人とも!」
※※※
温泉に浸かる4人。
入口から見て、誠を奥から2番目に座らせている。手前から直美、恭子、誠、真里の順番だ。
といっても、この4人以外、客は誰もいないのだが、万が一のための布陣である。
直美も真里も、ようやく誠のチンチンが本物であることを認識し、直美は気まずそうに、真里は顔を真っ赤にして申し訳なさそうに顔を俯かせている。
「マコトさん……あの……さっきはごめんなさい……」
「マコちゃん、ごめんね……」
「ううん、もういいよ。ちょっと変わった形してるし、信じられないのもしょうがないよね」
「しかし、ずいぶん長いこと触っていたわね……」
真里は最愛の人の性器を触りまくってしまったことに動揺していた。
(あ…あ…あ……やっちゃった……あれって、手コキだよね……まだ付き合ってもいないのに、手コキしちゃったあああぁぁぁ………あんな小さかったらわかんないよ…………)
とりあえず、誠のチンチンが本物であるという現実に向き合うことができた真里。マイクロペニスであることは残念ではあったが、チンチンがチンチンであることには変わりはない。考えてみれば同人誌のテトだって、誠ほどではないにせよカワイイちんちんをしていたはずだ。
今回の件で、誠を男として認識するのはより困難になってしまったが、引き続き誠という性別を好きでい続けようと真里は思った。
そうして考え事をしている真里を、直美はじっと見つめていた。
(う~ん、一番はやっぱりキョウちゃんだけど、真里ちゃんも色白で細くて綺麗な身体だな~。マコちゃんは、ふんわりと膨らんだおっぱいが可愛いかも? あたしと付き合ってた時よりも華奢になった感じかな? なんだか成長途中の女子中学生って感じ♪)
まるで女体研究家にでもなったかのように評価を続ける直美。誠に関しては、とても元彼に関する評価とは思えない。真里に許可を貰ったこともあり、直美は気の済むままにみんなの裸を見て楽しんでいた。
誠は直美のそんな視線も気にせずに、こうして4人で温泉に浸かれることを幸せに感じていた。
男湯は、とても落ち着いて浸かれる場所ではなかった。ここなら心許せる3人に守られながら、安心して浸かることができる。
真里が身体を密着させてくるのが気になってはいたが、もう毎度のことだったので、単純にこういう風に触れ合うのが好きな子なのだろうと考えるようになっていた。
「あの、マコトさん……」
「ん? なに? 真里さん」
「ちょっと首が疲れちゃったので、肩を借りてもいいですか?」
「うん、いいよ」
真里は誠に許可を得ると、身体を傾け、誠の肩に自身の頭と肩を寄せた。本当に幸せそうな表情を浮かべる真里。誰から見ても、真里が誠に好意を抱いていることは明らかだった。
直美はそんな二人の様子を羨ましく思ったのか、同じく恭子に身体を預けた。
「キョーちゃん♡」
「はいはい、首が疲れちゃったのよね」
今はこの四人以外誰もいない。入ってくる人がいれば、離れれば良いだけなので特に気に掛ける必要もなかった。
恭子は、誠に身体を預ける真里をじっと見ていた。
(やっぱり真里ちゃん、マコちゃんのことが好きみたいね……さっきおちんちんを取り外そうとしたのも、怒っているような感じだったのも、きっとマコちゃんに余計なものが付いているのが嫌だったからなのよね……
できる事なら、もう一度マコちゃんに女の人を好きになるようにして、真里ちゃんとくっつけてあげたいけど、これ以上マコちゃんの人生を嘘で固めるわけにはいかない……私の自分勝手な我儘に付き合わせてしまってごめんね……真里ちゃん……)
少し勘違いは入っているものの、恭子は心の中で真里に謝罪した。
男にモテる誠がなぜ彼氏を作らないのか、恭子にはその理由が分からなかったが、もし誠のパートナーになってくれるのだったら、真里でも構わない。
恭子は少しずつではあるが、真里のことを認め始めていた。