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霧の寝台

ガチ×ノンケ専門の官能小説 主なジャンル:GL BL NTR 催眠 調教 監禁 男の娘 女装

part.26 【 染められて 】

【注意】今回 BL要素 があります。




気絶している間に受ける催眠は、通常の催眠よりも大きな効果がある。



今から半年ほど前、
恭子は直美と誠を家に呼び出し催眠術をかけていた。

当時、二人の仲を裂くことに奔走していた恭子であったが、
その日起こった不慮の事故により、事態は一変する。

催眠中の誠が勝手に動き出し、
男性に対して強い嫌悪感を持つ直美に向って射精し気絶させてしまったのだ。

その後、恭子は気絶した直美を介抱しつつ、追加の催眠術をかけたのだが、
その時かけた暗示は直美の心に深く浸透し、結果として二人の破局をもたらすことになった。


(もしあの出来事がなかったら、二人はまだ別れていなかったかもしれない……
通常の催眠は、効果が現れるまで長い時間を要するけど、気絶中にかけた催眠には即効性がある……

そして誠くんはあの時の直美と同じように気絶している……
今だったら、どんな暗示でも、すぐに効果が現れるはずだわ……)


すぐさま、誠に向けて暗示をかけようとする恭子であったが、
声を出す寸前のところで思い止まった。



(待って……あせらないで、恭子。
たしかに強い効果はあるけど、
急変した直美に周りがどんな反応を示したか思い出して。
極端に避けられるようになった誠君が、
直美のことを相談するようになったのはちょうどあの頃だったし、
クラスの男子と直美が急激に仲が悪くなったのも同じ時期だったわよね?

直美は元から気分屋で大雑把で個性的なところもあったから、
男子と喧嘩しても機嫌が悪かったことにして誤魔化すことができたけど、
誠くんは普段から真面目で誠実な男の子。

そんな誠くんが、明日から女の子になって、
可愛らしくみんなの前で振舞ったとしたら大騒ぎよ。

絶対何があったか聞かれるわ……

最近あった出来事を執拗に聞かれて、
もし誠くんが私のことを喋ったりしたら……)


せっかく手に入れた絶好のチャンスだったが、好きなように暗示をかけるわけにもいかなかった。
外も暗くなり始め、もうそれほど時間も残っていない。
恭子は決断を迫られていた。


(面倒だけど、表に現れないように催眠をかけるしかないわ…)



※※※



誠が気絶してから既に10分以上が経過していた。
恭子はすぐに誠に語りかけた。


「マコトちゃん……あなたは今、いつもよりもっと深い心の奥底にいます。
あなたはとっても可愛い女の子の服を着ているの。
マコトちゃんは男の子だけど、女の子の服を着るのが大好き。
女の子らしくして、女の子みたいに振舞いたいと心の中では思っています」


誠に瞼がぴくっと反応する。
直美の時と同じ反応に、恭子は安心する。


「そしてマコトちゃんは、女の子よりも男の子の方が好き♡
本当は女の子の格好をして、女の子のように振る舞ったり、
男子と仲良くしたいんだけど、恥ずかしいからできないの……

それにそんなことをしてオカマ扱いされるのがすごく怖い……
もしかしたら、からかわれるかもしれない……
もっとひどいと虐められちゃうかも…?

か弱いマコトちゃんはそんなことになってしまったら、とても耐えきれません。
本当に信用のできる人にだけ、本当の自分を見せましょうね」


恭子は、かけられた催眠の効果を、誠自らが隠すように暗示をかけた。

自分の内情をカミングアウトすることに恐怖心を与え、
恭子のようにごく限られた人にだけ、自分をさらけ出させることにしたのだ。


(あとは……)


恭子の目的は他にもあった。
それは誠に直美のことを諦めさせることだ。

二人が別れてだいぶ経ったが、こんな状態になっても、
まだ誠は直美のことを諦めていなかった。
恭子の家に来るのは、直美とよりを戻すため。

催眠を受けたり、恭子と雑談することが楽しくなってきてはいたが、
誠の第一の目的は、あくまで直美とよりを戻す方法を恭子に相談することだった。

例え催眠中であっても、
誠に直美のことを諦めるように暗示をかけるのは危険だった。
恭子にはそれが誠にとっての覚醒のキーワードのように思えたからだ。


(気絶中の今だったら、大丈夫かしら……? でも万が一覚醒したら……)


覚醒の前後の記憶は、頭に残る。

現在、誠は全裸の状態で自らのお尻に指を挿れたまま寝ている。
もし今、目を覚ましたら、誠は全てを把握してしまうだろう。

自分の最近の変化、直美が自分を避ける理由、
その両方が恭子の催眠によるものだったと理解する。
そうなったら、対立は避けられない。

誠は、あらゆる方法を使って、直美を元に戻そうとするだろう。
友達などと協力して直美を恭子に近づけなくされたら、もう直美と接することはできなくなるだろう。

気絶というチャンスの真っただ中にあっても、
恭子にはその暗示をかけるのが、確率の低いギャンブルのように思えた。


(……別に直美を諦めろと言わなくても、
本人が別れたままでも良いと自然に思えればいいのよ)


恭子は、誠の耳元に顔を近づけ、再度暗示をかけ始めた。



※※※



「ほーら、マコトちゃん。向こうにマコトちゃんの大好きな直美がいるよ?」


誠の身体がびくっと反応する。


「あなたは急いで直美の前に駆け寄ります。
でも直美の様子がおかしいわ、どうしてかしらね?

ふふふ……分かるでしょ?

自分の服装をよく見てみてよ。
今マコトちゃんは可愛い可愛い女の子の服を着ているのよ?」


誠の顔が一瞬で紅く染まる。
モジモジしていて、実に恥ずかしそうだ。


「あらあら、恥ずかしいわね♡
直美にそんな可愛い姿見せちゃって……ずっとその姿のままでいるつもり?
早く脱いで誤解を解かなきゃ、今の姿のままじゃ何を言っても説得力がないわよ?」


誠が慌てた顔をしている。
小刻みに身体が震え、事態の深刻さが伺える。


「あなたは、どんどん服を脱いでいって、全裸になりました。
あら? 直美が笑い始めたわよ? 何を見て笑っているのかしら?」


誠の動きが止まる。
真剣な表情で、恭子の言葉に耳を傾けているようだ。


「ふふふふ……、直美がマコトちゃんのおちんちんを見ているわ。
ちっちゃくてぷっくらとした可愛いおちんちんを見て笑ってる。

それもそうよね?
こんなにちっちゃくて男らしくないペニスを見て笑わない女の子はいないわ。

普通の女の子だったら、逞しくて立派な男性器を求めるものよ?
『誠、何それー? ちっちゃくてオモチャかと思っちゃった。』と言って、直美が笑ってるわ」


悲しそうな表情を浮かべる誠。

以前、恭子に性器が小さいことを気にしないように暗示をかけられてはいたが、
元カノに直接コンプレックスを刺激され、ショックを受けているようだ。


「直美が『それ本当におちんちんなの? 本物のおちんちんだったら勃たせられるよね? あたしのことを思って勃起させたら、また付き合ってあげる。』だって!

これは、チャンスよ! マコトちゃん。
男らしいところを見せて、直美とよりを戻しましょ」


よりを戻す条件にしては、なんともいい加減な内容であったが、
夢の中であることと、気絶で暗示が効きやすくなっていることもあり、
誠は特に気にしなかった。

恭子の暗示で、俄然やる気を取り戻した誠は、
右手を使って、自らの一物を扱き始めた。



※※※



それから5分間、誠は一生懸命、自分の性器を扱き続けていた。
しかしペニスは一向に硬くならず、ふにゃふにゃのまま微動だにしなかった。


「……なんでっ。……なんでっ」


小さな声だが、悲痛な叫びが聞こえる。


「まだ勃たせられないの?
マコトちゃんは直美のことを本当は好きじゃないのかしら?
直美が呆れた顔をしているわ……
『なんだかショック……誠にとってあたしは全然魅力的じゃなかったんだね……
さよなら誠、良い人見つけてね……』って言ってるようね……」


「……うぅ……ちがう……ちがう……」


誠は、今にも泣きそうな顔をしている。

最愛の人を思って、性器を勃たせられないことと、
直美に改めて『さよなら』と言われて、さらにショックを受けたようだ。


「マコトちゃん、泣かないで……
大丈夫よ、一人じゃおちんちんを勃たせることもできない、男失格の情けないマコトちゃんに救世主が現れたわ」


励ましつつも、誠の心に気になるようなセリフをグサグサと突き刺していく。


「ほーら、想像して……
逞しくて立派な男性器を、高く高く反り返らせている裸の男の人。
身体も鍛えてあって、思わず見惚れてしまいそうね?
その人が、マコトちゃんのことをサポートしてくれるって」


突然現れた登場人物に、誠は理解が追い付かないようだ。
この男性が果たしてどんなサポートをしてくれるのか、
誠が考えていると、恭子が再び口を開いた。


「マコトちゃんは、その男の人に軽々と身体を抱きかかえられると、
お尻の穴に男性器をあてがわれちゃうの」


「……ぇえ?」


急な展開に驚く誠。


「直美が見てるわよ……ゆっくりとオチンチンがマコトちゃんのお尻の中に入っていくわ……」


恭子は誠の左手首を掴むと、お尻に指をピストンするよう暗示をかけた。


「うっ……くっ……ぁっ……やめ…て……」

「どう? 気持ちいいわよね?
マコトちゃんの小さくて可愛い女の子おちんちんとはぜーんぜん違う、
大きくて逞しい本物のちんちんが、厭らしいお尻オマンコに出し入れされているわ」


指が肛門を出入りするたびに、
誠のふにゃふにゃだったペニスは徐々に硬さを取り戻していった。


「ぁぁ……大きくなっちゃ……ダメ………」

「あらあら? さっき直美のことを思っても全然反応しなかったおちんちんが、
男の人のちんちんを入れられただけで大きくなってきちゃった♡

ホント、マコトちゃんは女の子よりも、男の人が好きなのね。
直美も喜んでいるわ。

『ちんちん挿れられて、すごく気持ちよさそう。
そっか~! 誠ってそういう趣味だったんだ。
それじゃあ、あたしのこと思っても勃起できなくても仕方がないね。
良いお相手見つかって良かったね。マコトちゃん♪』って言って微笑んでるわ。
ふふふ……、ついに直美にもマコトちゃんって呼ばれるようになっちゃったわね」

「ぁっ……そんなぁ……直美……ちがぅ……」


恭子は誠の両乳首をいじり始めた。
直美に見られているという背徳感もあるためか、誠のペニスは硬く反り返ってしまった。


「あら~♪もう完全に勃起しちゃったわね。ごめんね、マコトちゃん。
さっきは直美のことを思って勃起してなんて言っちゃって……
マコトちゃんは女の子よりも男の子の方が好きなんだもんね。
ホモで女装が好きなオカマのマコトちゃんには、逞しい男の人に太くて硬いちんちんを突っ込まれて、オカマおちんちんをおっきさせちゃう方がずっと似合っているわ」

「ぁぁ……ちがぅ……ホモ……じゃ…ない……もん……」

「ホモじゃない男の子は、ちんちんお尻に突っ込まれて勃起したりなんか絶対しないわ。断言するけど、マコトちゃんは誰がどう見てもホモよ」

「……うぅ…」


恭子の言葉に反論することができない誠。
恭子はそんな誠の様子を見ながらさらに追撃を行う。


「さぁ~てと、直美に二人のお付き合いを認めてもらったところで、
マコトちゃんが完全に女の子になった姿を見せてあげましょうね。
ほ~ら、突き上げられるとすごく気持ちいい……
男の人とエッチしている姿を直美に見られて、すごく気持ち良いわよね……?」


恭子の繊細な指な動きに、誠の乳首も徐々に硬さを増していった。


「ふぁっ……き……気持ち……よく…なんか……」


アナルの奥から引きだされる快感と、
乳首から周りに広がっていく快感に必死に抵抗する誠。


「気持ち良くなればなるほど、マコトちゃんの心は女の子に近づいていくの……
女の子になると、また前みたいに直美と仲良くできるわよ……
『あたし、マコトちゃんとお友達になりたい』そう言ってるわ」



「んっ……ふぁっ。オトモ……だち……? ちがぅ……こいびと……」


途端に恭子の目付きが鋭くなる。恭子は冷たい声質で言い放った。


「お友達よ。

女装が大好きで、おちんちんも小さくて、弱弱しいあなたが、直美と付き合うの?

マコトちゃんは直美を相手にオナニーしても、
おちんちんを勃たせることもできないじゃない?

しかも『さよなら』って一言言われただけで泣いちゃって、
男の人に簡単に抱きかかえあげられて、ちんちん突っ込まれて、
ハァハァ興奮して勃起させちゃうマコトちゃんが、
男女の付き合いしたいなんて言い出したらダメじゃない」


きつい口調で恭子が誠を責め立てる。


「で……でも……」

「でもじゃない。
マコトちゃんは、直美と付き合ってどうするの?

そんなクリトリスみたいなチンチンで、男のマネごとも満足にできない分際で、直美のことを満足させられるわけないでしょ?

それを自分でもわかってるから、
何年も付き合ってきて、キス程度のことしかできなかったんでしょ?

マコトちゃんに勃起してもらえなかった直美がどんなに傷ついたか、
少しでも悪いと思うなら、きちんと直美に謝りなさいよ」


恭子の催眠によって、心を弱くさせられている誠は、
まるで先生や親に初めて叱られた子供のように、小さく縮こまり、
思わず謝罪の声を上げてしまった。


「うぅぅ……ごめん……なさい」

「ふふふ……、素直ね。大丈夫よ。
直美も『マコトちゃんが女の子としてお友達になってくれるんだったら許してあげる』って言ってくれてるわ。やっぱり直美は優しいわね。

こんな優しい直美には、マコトちゃんみたいに、か弱いなよなよしたオカマより、しっかりと守ってあげられるような強い人の方がずっとお似合いよね?」

「……ぅん。ぅぅっ……」


再び泣きそうになる誠。

普段、優しく相談に乗ってくれる恭子が、
今は全く反対の立場をとって自分を責めている。
心の弱っている誠にとって、今の恭子の言葉は何よりも辛かった。


「あら? また泣いちゃうの?
いいのよ? マコトちゃんは泣き虫でも……

男の人がこのくらいのことで泣いちゃったら、ちょっと引いちゃうけど……
マコトちゃんは女の子なんだもん。いくら泣いちゃっても、誰も何も言わないわ」

「ぐすっ……ぐすっ……うぅ…うぅ……」

「ほら、好きなように泣いちゃいなさい。女の子なんだもん」

「うっ……うっ……ううっ……うぇ~ん……うぇ~~ん……」


恭子の暗示により、自己評価がどんどん下がっていった誠は、
小さな女の子のように泣き始めてしまった。


「ふふふふ……泣いちゃったね……
マコトちゃんがあんまりにも聞き分けの悪い子だったから、
お姉さん、ついきつい言い方になっちゃったわ。ごめんね。
ほら、さっきの逞しい男の人が、チンチンで慰めてくれるって」


恭子は暗示によって、誠の鈍っていた指の動きを早めさせた。


「ぇぇんっ……ぁっ! うぅぅ……ううん! ぁっぁっあっ!」


誠の泣き声と嬌声が入り乱れる。



「気持ちいいでしょ?
マコトちゃんじゃ、こんな気持ち良さ、女の子に与えてあげられない……
マコトちゃんは常に受ける側なの。

女の子相手に勃起もできないのに、女の子と付き合おうなんてバカなことはもう考えないで、男の人に責めてもらうことばかり考えましょうね……

ほ~ら、逞しいちんちんがマコトちゃんのことズンズン責めてくれるわよ」

「ぁっ! ぁっ! ぁあっ! んんっ気持ちいぃ!」

「どこがどう気持ちいいの?」

「ぼ……僕……お……お尻……オマンコ……ちんちん……挿れられてぇ……きもち……イィっ!」

「僕? マコトちゃんは女の子なんだから、あたしって言わなきゃダメじゃない?」

「あ……あたし…」

「よくできました♪」


誠が女性化を受け入れられるようになったのを確認した恭子は、
最後の攻めとして、一気に暗示をかけることにした。


「ちゃんと女の子になれたかどうか、マコトちゃんに質問よ?
マコトちゃんは男の人のことが大好きな女の子よね?」

「ぁっ! ……はぁっ! ぅん……
あたしは……男の人が……好きな……女の子……」

「男の人のおちんちんが大好きなのよね?」

「うん……男の……人の……ちん…ちん……気持ちっ! ぁっ! 良くてぇ……
す…きぃ……♡」

「うふふ…素直になってくれて嬉しいわ♡
男の人とお楽しみのところ邪魔してごめんね。
それじゃあイキなさい。直美もマコトちゃんがイクのを待ち望んでいるわ…」

「ぁっ……、あっ……! 直美……イクっ……あ……あたし……、
おちん……ちんで……はぁっ! あぁぁっ! イっちゃうっっっっっっ!!!!」


誠は女のような声で叫ぶと、身体を弓なりに反り返らせペニスから白い液体を発射した。

高い声で激しく息をつく誠。
イッた直後にも関わらず、誠は指の動きを止めず、出し入れを繰り返していた。


「ぁんっ……おちんちん……いぃ……もっと……もっといれて……♡」


直美のことを気にもせず、ひたすら男の肉棒を求めているようだ。


(あらあら♡ 追加の暗示もかけてないのに自分から求めちゃって……
もうこれで大丈夫ね。リアルでも良いお相手見つかるといいわね。マコトちゃん)


その姿を見て、恭子は誠の心を染め上げたことに満足した。



※※※



「キョウちゃん、おはよ~!」


学校の通学路、いつものように直美が恭子に声をかける。


「おはよ、直美。昨日のテレビがどうしたの?」

「ねぇねぇ、昨日のテレビの話なんだけどさ! ……ってなんでわかるの!?」

「直美のことならなんでもわかるわよ♪」

「さすが、あたしのキョウちゃん、愛してる~♪」


キスのマネごとをする直美。

恭子は迷惑そうに腕で軽くガードしているものの、内心は少し嬉しかった。
しかし学校の通学路で見知った人達がいる前では、やはり迷惑だった……


「もぉーなんでガードするの~、ハニー?」

「みんなが見てるんだからやめてよね。朝からテンション高いわね~……」


『……おはよう、恭子さん、直美。』


背後から誠の声が聞こえた。

振り向くとそこには、以前とは少し雰囲気の違った誠の姿があった。


「おはよう、誠くん」


恭子は普段通り、誠に挨拶を返すが、直美は少しだけ身構えている様子だ。


「どうしたの? 直美」

「ううん、なんでもない。おはよう、誠……ん?」

(……あれ? 誠が目の前にいるのに、あんまり嫌な気分にならない……なんでだろう??)


直美は誠の様子がいつもと違うことに気付いた。

いつも直美を悩ませる嫌悪感が、今は不思議と感じない。
なんだか誠から直美を見る男性的な目付きが消えたような、漠然とした感覚があった。


「誠、今日なんだかいつもと違うね……」

「えっ? そ、そーかな? 僕…自分じゃちょっとわからないかも?」

「ふ~ん、何が違うんだろうね? ねぇ誠、今日は久しぶりに一緒に登校しよっか♪」

「……! でも、いいの? よくわからない嫌な感覚があるんじゃなかったの?」

「よくわかんないけど、なんかなくなっちゃった! それがなんだか探してみようよ♪」

「……うん! 探してみよっ!」


そこから二人は並んで、違和感の原因を模索し始めた。

にこやかな顔を浮かべて二人を見つめる恭子。


(直美と仲直りできて良かったわね、マコトちゃん。
ちょっとだけ話し方が女の子っぽくなったのが気になるけど……
まぁこの程度の変化だったら、十分許容の範囲内ね……)

「キョウちゃん! キョウちゃんも議論に参加してよ~! 
テーマは『直美を悩ます違和感の正体とは?』ね。さぁ、レッツ考察♪」

「考察って……、なんだか学問的ね……テーマの馬鹿っぽさも良い味出してるわ」

「こういうのは雰囲気があった方が楽しいんだよ! ねっ、誠?」

「うんっ! 恭子さんも一緒に考えよっ♪」


和気あいあいと学校へ向かう三人であった。



※※※



最近まで3人は、それぞれ違う悩みを抱えていた。

恭子は、直美を自分の物にするために2人を傷つけなければならない悩み。
直美は、理解できない嫌悪感により、誠を避け続けなければならない悩み。
誠は、直美と如何に元の関係に戻れるか考えなければならない悩み。

ここにきて、3人はそれらの悩みを解消し、
憑き物が取れたかのようにすっきりした表情をしていた。

これ以降、誠は恭子に、直美のことを相談しなくなった。

誠の男としての自信を失わせ、直美との男女としての付き合いを諦めさせる。
全ては恭子の思惑通り進んでいた。

あとは卒業まで今の状態を維持し、
卒業後、直美と恋人同士になれば良いだけだった。



しかし、恭子の計画は思わぬ形で躓くことになる。
恭子、直美、誠の波乱の関係はまだしばらく続くのであった……
[ 2017/10/26 00:00 ] 一章【黒百合】 | TB(-) | CM(0)
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