午前、二人は食卓を囲んで朝食を取っていた。
食卓に置かれるハムエッグとサラダとパン。
直美が“勉強のお礼に”ということで食事の支度をしたのだが、
持ち前の不器用さが発揮され、説明されなければ、食べ物かどうかも分からないものが出来上がっていた。
それでも最初恭子は、初めての直美の手料理ということで喜んでいた。
だが全てを食べ終える頃には、諦めたような何かを達観したような表情へと変わっていた。
少しぐったりとした様子で、直美に尋ねる恭子。
「直美……今日のハムエッグ、使った材料って、卵とハム…だけよね?」
「ううん。違うよ。普通の作ったんじゃ面白くないと思って隠し味入れちゃった♪」
「……何……入れたの?」
「う~ん、全部英語で書いてあったからよくわかんないけど、
油の隣に置いてある調味料っぽいので、ちょっと舐めて合いそうなの全部入れたよ」
恭子の母親が以前帰国した際に、海外から持ち帰ってきた調味料だ。
香辛料や漢方など、よくわからないものが多く、
賞味期限が切れているものもあったため、ちょうど捨てようと思っていたころだった。
「直美は食べてみてどう思ったの……?」
恭子が食べたからには、もちろん直美も同じものを食べている。
後半食べるスピードが落ちていった恭子と比べて、直美はさも当たり前のようにパクパクと自分の作った料理を口にしていた。
その様子を見ていたこともあり、恭子もなんとか最後まで食べきったのだ。
「ちょっと変わった味だと思ったけど、
珍しい材料使ったんだし、こんなもんかな~っと?
キョウちゃんこそ、あたしの手料理食べてみてどうだった?」
期待に満ちた目。
自分の作った料理への感想を、待ちわびていたようだ。
「え…えぇ……ま、まぁまぁね……出来た方じゃ……ないかしら…」
こんな純粋無垢な顔をされて、率直な意見は言い辛い。
注意したいことは山ほどあったが、恭子はとりあえず控えめに褒めることにした。
「やっぱ、そうだよね!
うちのお母さんったら、あんまりあたしに料理させようとしないんだよね。
一度、家族に食べさせたことがあるんだけど、それからはみんな「しなくていい!」の一点張りでさ、なんだか失礼しちゃうよねっ! あたしだってやればできるんだから、もっとたくさん作らせればいいのに、なんだかんだ言って……」
「へー…そうなんだー……」
だんだんと空返事になっていく恭子。
(大雑把過ぎるのはわかってたけど、
まさか味オンチもあったとはね……いつか直すことができるのかしら……)
心なしかお腹の調子も良くないような気がする……
げんなりとした顔をしながら、直美には一人で調理させない方が良いと感じた恭子であった。
※※※
食器を片づけ部屋に戻る。
直美は昨日とは打って変わって、真面目に勉強に取り組んでいる様子だ。
恭子に頼ってばかりではいけないと感じたのか、心を入れ替えて受験に向き合う気になってくれたようだ。
(ふふふ……昨日の約束ちゃんと守ってくれてる……
催眠だけで合格させることができるか心配だったけど、この調子で頑張ってくれたら、きっと大丈夫ね)
「ん? キョウちゃん、どうして笑ってるの?」
「ううん、直美が一生懸命勉強してくれているものだから嬉しくって」
「もぉー、あたしだってやる時はちゃんとやるんだからね!」
「はいはい、三日坊主にならないように気をつけてね」
和気あいあいと勉強を進める二人。
それから2時間ほど経ったところで、一旦休憩を挟むことにした。
「ふー疲れた~」
直美は珍しく真面目に勉強に取り組んだためか、少し大げさに疲れを表現していた。
「だいぶ頑張ったわね。肩揉んであげるわ」
さりげなく直美の肩を揉み始める恭子。
直美の肩に触れながら、激しく愛し合った昨日の情事を思い出す。
催眠時の直美の表情や喘ぎ声、それらを思い出すだけで自然と手付きが厭らしくなってしまいそうだった。
直美は記憶にはないものの、身体が昨日のことを覚えているのか、肩の凝りを解してもらうのとは別の気持ち良さを感じ始めていた。
以前の直美だったら、その変化に気が付いただろうが、恭子に触れられることで毎回同じ反応をしてしまうため、それがさも当たり前のことのように感じてしまっていた。
「どう直美? 気持ち良い…?」
「んっ……気持ち…いいよ…」
少し上ずった声色。
恭子は気付かないふりをしながらも、そのまま揉む範囲を広げていく。
第三者から見れば、今の二人の光景は、仲の良い女同士が、とても肩揉みをしているだけのようには見えないだろう。
それはどう見ても、女性同性愛者同士の前戯であった。
「ぁっ……はぁ……」
今まで長い時間をかけて身体を開発してきたためか、
ここにきて、直美の身体は受ける刺激を素直に感じるようになっていた。
顔を紅潮させ、身を委ねる様は、まるで恋人に甘えているようにも見えた。
(すごい……少し肩を揉んだだけでこんな反応するようになっちゃったんだ…)
直美の心は、ほぼレズ色に染まりつつある。
今朝、直美から受けたキス。
恭子は、なぜ直美がそのような行為に及んだのか、明確な理由はわからなかったが、直美が前以上の気持ちを寄せてくれているのは、はっきりとわかった。
女性同士のセックスをあれだけ激しく行っても覚醒しなかった以上、
身体はもう完全に女同士の性愛を受け入れたと言っても良い。
あとは、今朝直美が恭子にしたように、何度も自発的にレズ行為をさせていけば、心もレズビアン一色に染まっていくだろう……
(だとしたら、あとは……)
恭子は何かを思いついたようだったが、
まだ勉強を開始して2時間しか経っていなかったこともあり、一旦それを心にしまい、勉強を再開することにした。
※※※
「はい、正解よ。ほぼ合格点と言っても良いわ」
「え~! ? ほんと! ?」
「えぇ、本当よ。ほら○○点。これなら○×大学にギリギリ届くレベルね」
「うそっ信じらんない! そんなに! ?」
時刻は夕方に差しかかろうとしていた。
これまでの勉強の成果と、直美のやる気が上がったおかげで、去年の○×大学の過去問で、直美は今までもっとも高い点数を出していた。
「催眠にばかり頼らず、自分で理解しようとしたおかげね。
いくら催眠術が優秀でも、やる気のある人とない人では全然効果が違うわ。
頭の中の情報を引き出すスピードがアップした感じかしら?」
「そうそう! 覚えた記憶がないものでも、必要な時にすぐ駆けつけてくれる感じだったよ。前はそんなんじゃなかったのに、変われば変わるもんなんだね!」
直美は今まで催眠で記憶したものでも、思いだすのに時間がかかってしまっていた。本番は限られた時間の中で結果を出さなければならない。
恭子も直美の弱点に気が付いてはいたが、記憶の引き出し行為を反復させて、慣れさせるので精一杯だった。
一番の解決策はやる気を出させることだったのだ。
思いもよらない形で血路を見出すことができ、直美の大学合格への道は大きく前進することとなった。
「とりあえず成果が出たところで一旦終りにしましょ。あんまり詰め込み過ぎても逆に効率悪くなってしまうしね」
「うん、そうだね。お疲れ様、キョウちゃん」
無理だと思っていた難関大学が、自分の手の届くところまで来ている。
夢のような思いと共に、恭子へ対する尊敬と感謝の念を一際強く持った直美であった。
「今日は帰ってからも勉強するわよね?」
「もちろん! 一人でもちゃんと勉強するよ!」
「ふふ、頼もしいわね。そんな頼もしい直美に餞別をあげるわ」
「餞別?」
「直美の頭の疲れが早く回復するように暗示をかけてあげる。そうすれば帰ってからも効率よく勉強できるでしょ?」
「でも、キョウちゃんも昨日今日と、勉強、催眠の連続で疲れちゃったんじゃない…?」
直美が心配そうな目で見つめる。
恭子の気持ちは嬉しかったが、これ以上無理をさせたくないと直美は感じていた。
「大丈夫! 私にとって催眠は休憩みたいなもんよ。
直美が催眠をかけられるのが楽しいように、私も催眠かけるのは楽しいのよ?
ここでかけなきゃ、直美が帰った後、気分がすっきりしなくて、私の勉強の効率も落ちちゃうかも…?」
恭子の本音だった。
実際、催眠中の直美との触れ合いは恭子の心を癒していた。
恭子にとって催眠は、疲れる作業などではなく、むしろ心を癒す人生のオアシスのようなものであった。
「え~、そういうもんなんだ。じゃあかけてもらおうかな?」
「ありがと、じゃあベッドに横になって」
そう言い、直美をベッドへと誘導する恭子。
(これが最後の催眠よ……これで直美の心は完全に私のもの……)
天使の笑顔の裏に隠された邪な心。
直美の心を女同士の性愛の虜にするための儀式は、最後の仕上げに入ろうとしていた……
※※※
「長い長い階段を降りて、あなたはふかーい、ふかーい心の奥底に辿りつきました」
恭子は、いつもの通り催眠状態の直美を眺めていた。
昨日から今日にかけて、直美の女同士へのセックスの抵抗感は、ほぼ全て消し去ることができた。
直美は女同士の正常な交わりであれば、何をしても覚醒することはないだろう。
もしそれでも覚醒するとするならば、
それはもう同性愛とはかけ離れた、痛みや不衛生な行為によるものだ。
恭子はもちろん、そういったアブノーマルなプレイには興味はなく、
単純に直美と恋人同士になりたいだけであった。
「さぁ直美。目覚めましょ……ここはあなたの部屋の中。他には誰もいないわ……
私の声はあなたの心に響くけれど、あなたはそれを音として感じ取ることができません。
私の声はあなたの心の声。心の赴くまま行動していきましょうね……」
ゆっくりと目を開ける直美。
「あれ……? いつの間に家に戻ってきたんだろう……?」
(あなたは、恭子の家から帰宅した後、自分の部屋で横になっていました。
勉強を頑張ったおかげで、いつもよりも疲れてはいますが、気分はすっきりしています)
「あぁ、そうだっけ……さっきキョウちゃんの家から帰ってきたんだった」
(あなたは恭子の家であったことを思い出します。
強く思いだすのは、もちろんお風呂場での出来事……
あなたは無意識のうちに心の中で思ったことを口に出してしまいます。
でもあなたは、無意識の心の声を音として感じ取ることができません)
しばらくボーっとしたままの直美は、ゆっくりと口を開き始めた。
「キョウちゃんの裸、すごく綺麗だったな……
すべすべしててキメが細かくて……やっぱりシルクで洗うと、あぁなるんだろうな……今度キョウちゃんとクストコ行った時にでも探してみようかな……?」
(あなたは次にシルクのタオルで身体を洗った後のことを思い出します……)
「それに……最初、びっくりしちゃったけど……
キョウちゃんの手で洗ってもらって、すごく気持ち良かったな……
もしあの手で、もっといろんなところを触られてたら……どうなっちゃってたんだろう? ぁ……ハァ……」
そういうと直美は熱い息を漏らしてしまった。
「ダメダメ、そんなこと考えちゃダメ……キョウちゃんは、あたしの親友。
そんな厭らしいこと考えちゃダメなの……」
(そう思いつつも、あなたは恭子が自分の身体を手で洗う想像を止めることができません)
「……考えちゃダメなのに……ハァ…ハァ……ん、んんんっ……
もしキョウちゃんが、あたしのあそこを触ってくれたらどんなに気持ちいぃだろう……ぁ…ハァ…そんなこと……考えちゃ、ダメっ!」
心の中で葛藤を起こす直美。
いつもはここで妄想を止めることができていたのだろう。
しかし、今は恭子に催眠をかけられ支配されている状態。
直美は自分の妄想をかき消すことができなかった。
(あなたは、だんだん自分の性器を触りたくなってきます……
『もし恭子に触られたら?』そう考えるだけで、あなたはもっと気持ちよくなってきてしまいます……)
「はぁ……はぁ……ダメ……また濡れてきちゃった……
キョウちゃんのこと考えると濡れてきちゃう……こんなことダメなのに……」
(あなたはダメと思えば思うほど、逆に気持ち良くなってしまいます……
そしてもっとアソコ触りたくなってくる……触るとすごく気持ちいい……
恭子に敏感なところを触って欲しくて欲しくて仕方がありません)
「んんっ……もし、キョウちゃんの指が……あたしのクリに触れたら……
あぁぁっ……ダメなのぉ……
キョウちゃんはあたしの大事な親友。でも……触って欲しいよ……」
身体は興奮して小刻みに震えている。直美の指が、徐々に下半身に伸びていく。
しかし、すんでの所で動きが止まる。
「だめ……触っちゃ……ダメ……
そんなことしたら普通じゃ……なくなっちゃう……
キョウちゃんのこと、親友として見れなくなっちゃう……」
我慢強く自制を続ける直美を見て、恭子はやり方を少し変えることにした。
(あなたは今、身体に触れられても何も感じません。触れられていることにすら気付きません…)
そう言うと恭子は、直美の手を優しく掴み、スカートの中へと誘導していった。
「えっ……? なんてなんで? 手が……勝手に……」
(手が勝手に動くなんてことはあり得ません。あくまであなたが自らの意思で動かしているのです)
「ダメダメダメダメっ! 止まって! あたし止まって!!」
手が性器に近づけば近づくほど、直美の焦りの色が強くなっていく。
それと共に手に込める力も強くなっていった。
恭子は、直美の手をショーツの中に入れる難しさを感じると、追加の暗示で対処することにした。
(あなたは徐々に手の力が抜けていきます)
その言葉が直美に伝わると、次第に直美の手の力は抜けていき、恭子の力でも楽に動かせるようになってきた。
そうしてついに恭子は掴んでいる直美の手を、ショーツの中に差し込んだ。
「えっ! ウソ……中に手入れちゃった……早く抜かなきゃ!」
しかし、手の力が抜けるように暗示をかけられている直美は、恭子の手の拘束から逃れることはできなかった。
恭子は直美のクリトリスの位置をもう片方の手で確認すると、直美の手の人差し指をキュッと擦り付けた。
「ひゃんっ!!」
その瞬間、直美の身体がビクっと震える。
「ハァ……ハァ……どうしよう……触っちゃった……」
困惑する直美。人差し指をクリに接触させてはいるが、まだ自らの意思で動かそうとは思っていないようだ。
(あなたは、擦りたくなる。擦れば擦るほど、気持ちよくなってしまいます)
そういうと恭子は、直美の指で陰核付近を擦り続けた。
「ぁん! やぁんっ……」
硬く触ることを拒んでいた直美の指も、
何度も擦り続けるうち、次第に動きが滑らかになっていった。
恭子が直美の突起に触れてみると、そこは硬く勃起し陰口から溢れ出る愛液で滑り易くなっていた。
「んっ……ふぅ……いぃ……キモチイイよぉ……」
直美の声が甘く緩んできたのを確認して、恭子は直美の手を解放してあげることにした。
案の定、手が離れても、直美は指の動きを止めず、自らの意思でいじり続けていた。
「……ああぁっ! んっ! んっ!
キョウちゃんの指が……あぁぁ……あたしの敏感なとこ……ふぅぅんっ!」
直美は体勢を変えひたすら甘い声をあげている。
目を閉じて、両手を使って思うままに自分の陰部を触り続けている。
(ねぇ、布が邪魔よね? 脱いだらもっと楽に触れるわよ?)
直美はそれを聞くと、一旦手の動きを止め、スカートとショーツを脱いでしまった。
「もうダメ……我慢できない……
キョウちゃんごめんね……今日だけキョウちゃんのこと考えさせて……」
“今日だけ”
直美が精一杯考え出した言い訳の言葉だった。
恭子はそれを聞くと微笑み。その言い訳を利用することにした。
(そう、今日だけだから思いっきりしても大丈夫よ。
今日だけ直美は恭子のことを考えてオナニーするの……
今日だけ直美はえっちなレズビアンになっちゃっていいのよ……)
「うん……今日だけだから……
あともうしないから……今日だけ思いっきりするの……」
そう言い、直美は両手で自らの股間をまさぐり始めた。
「あぁっ! キョウちゃん!! 気持ちいい! そこっ……あぁっ!」
片方の手でクリを触り、もう片方の手でヒダを触る。
どちらも力を込めず、優しくソフトに触っていく、心なしか恭子が普段、直美を触っている時の動きに似ている。
そんな直美の乱れる姿を見て、恭子も段々我慢できなくなってしまった。
(はぁ…はぁ……あなたは、これから外からの刺激を感じ取れるようになります。
でも、あなたはそれを自分が興奮して得ている刺激だと思いこみます……
さぁ、邪魔な衣服は全部脱ぎましょう……脱ぐともっと気持ち良くなれるわよ……)
興奮している直美はいてもたってもいられなくなり、
シャツに手をかけ急いでボタンを外すと、上半身に着ているものを全て脱ぎ捨ててしまった。
そして自分の部屋で一人だと思い込んでいることもあり、ベッドの上に座ると前かがみになり遠慮なくオナニーを始めた。
「んんんっ気持ちいいっ! キョウちゃん、キョウちゃん!! あっあっあ! キョウちゃん、好きぃ!!」
恭子は激しくオナニーに浸る直美を眺めながら、
自らも着ている服を脱いでいき、直美と同じように生まれたままの姿になった。
誠に使う予定だったローションをベッドの裏から取り出して自らの手につけると、
背中を丸めてクリトリスをいじくる直美の背中に、自らの胸を押し付け優しく呟いた。
(お風呂場で恭子におっぱいを洗ってもらったことを思い出して……すると本当にあの時の感覚が蘇ってくるわよ)
ひたすら股間を責める直美を援護するように、恭子は空いている直美の胸を責め始めた。
潤滑剤としてローションを直美の胸に塗りつける。
お風呂場の時の泡よりも滑りやすいローションによって、より強い刺激が直美の身体を走った。
「んんっ! 想像してるだけなのに……おっぱい気持ちいいっ! キョウちゃん、もっと♡ もっとしてぇ~♡」
恭子の存在を知覚できない直美は、妄想の中で胸を揉まれていると誤認している。
想像上の恭子を思い浮かべ、猫が甘える時のような声を出していた。
(あらあら、いいの~? 女の子相手にそんな声出しちゃって……普通そういう声は男の人に聞かせるものよ?)
恭子は直美が自分のことを妄想して乱れてくれるのが嬉しくて、
直美の胸を両手で揉みながら耳元で囁いた。
「いいの……今日だけあたしはレズビアンだからいいの……
女の子好きで、キョウちゃんのことが、大大、大好きなの!
男の人のことなんてどうでもいいっ! もう女の人としかエッチしない!」
(そうなの、じゃあそんなレズビアンな直美ちゃんには、女の子の香りいっぱい嗅がせてあげる……)
恭子は一旦離れ、直美を仰向けに寝かせ顔の上にまたがると、そのまま自分の股間を直美の顔にくっつけた。
(ほら、レズビアンの直美ちゃんの大好きな女の子のオマンコよ? 女の子の香りをいっぱい楽しんでね)
「あぁ……女の子のオマンコぉ……んっんんんっ、すごぉい良い匂い……」
直美のヴァギナをいじる手の動きが早まる。
想像で匂いがするというのはおかしな話だが、今の直美にはそういったことは気にはならなかった。
(女の子のオマンコの匂いを嗅ぎながらオナニーするとすごい気持ちいいでしょ?
オナニーするだけでも気持ちいいのに、もし本当に女の子とエッチしちゃったら、どれだけ気持ちいいかしらね…?)
「したい……エッチしたい……キョウちゃんとエッチしたい……ぁぁんっ!」
(エッチできるわよ……そのうちね。今はオナニーで我慢しましょうね?
オナニーすればいつでも今みたいな気持ちでエッチできるわ)
恍惚とした表情を浮かべる直美。
あまりのオナニーの気持ち良さに、陶酔しきっている様子だ。
(今度は自分でおっぱいをいじりながら、
恭子にアソコを舐められている想像しましょうね)
直美の両手が股間から胸へと移動する。
恭子は直美の両足を開かせると、オナニーによりびしょびしょに濡れたそこに顔を近づけ、ビンビンに勃起したクリトリスを口に含んだ。
そして……
「ぁぁっ! キョウちゃんがあたしのクリ……ペロペロしてるぅん……
ダメぇ! キモチ良すぎるよ……
もう……もうイク……気持ち良すぎて……いっちゃうっ……!」
(んっ……いいわ……イっちゃいなさい……
女の子同士のエッチを想像して、オナニーで思いっきりイっちゃいなさい)
「ハァハァハァハァ……! キョウちゃん……キョウちゃん好きっ! キョウちゃん大好きっ!」
次の瞬間、直美は大きく痙攣し、
まるで高圧の電流を一気にかけられたかのように跳びはねた。
「あああああああああああああああああああぁぁぁぁ!!!」
大きな悲鳴を上げて直美は絶頂した。
心の声を漏らすようになっていたため、その声は部屋中に鳴り響いた。
※※※
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……すごい……気持ち……良かった……」
恭子は腰を上げ直美の隣に寝転がると、そのまま直美を抱きしめた。
(直美……もし本当に女の子同士でエッチしたら、こんな風に抱き合って眠れるのよ?
レズビアンで女の子が大好きな直美ちゃんには堪らないシチュエーションよね?)
直美の唇にキスをする。
「はぁ……キョウちゃん……ちゅっ……ちゅ……好きっ…好き~♡」
(女の子同士のキスも気持ちいいわよね?
こんなに気持ちいいこと、本当に一回限りでいいの?)
「ん……一回限り……」
直美はどこか残念そうな、寂しそうな顔をする。
(別に誰かに見られているわけでもないし、黙っておけば何度しても良いんじゃない?
誰にも言わなきゃ良いだけ……
たったそれだけで同じ気持ち良さを、何度でも味わうことができるわ……)
少し迷ったような顔をしているが、恭子の言葉に促されるように声を出す。
「別に……今日一回限りじゃ……なくったって……いいかな?」
(自分の気持ちに正直になって、直美。
今は受験シーズンなんだし、ストレスを溜めるのはよくないわ。
むしろ良いストレス解消法を見つけられてラッキーじゃない?
調子が良くなるんだったら、毎日したって構わないわよね?)
「ストレス溜めるのは良くないし……
誰にも迷惑かけないし……別に……いいよね?」
(バレなきゃ大丈夫。夜だけ、夜寝る前だけ。
エッチなレズビアンの直美ちゃんに変身すればいいのよ……
これは一種の遊び……本気じゃないから全然大丈夫よ……)
「夜だけ……誰にも言わなきゃいいだけだもんね……
遊びでするだけだし…本当にレズビアンになっちゃうわけじゃないしね……」
(じゃあこれからもしたくなったら、またオナニーしましょうね。
もちろんする時は女の子同士のエッチを想像して……
すると最高に気持ちいいわよ……ストレス対策もバッチリね! )
「こんなに気持ちいい遊び、一回限りじゃ勿体ないもんね。
キョウちゃんには悪いけど……バレなきゃ大丈夫。また好きな時にしよっと♪」
恭子はそこまで聞くと目的を達成したとして催眠術を終えることにした。
※※※
恭子の家の玄関。
身支度を終え、靴を履き、別れの挨拶をする直美。
「それじゃあ、今日、昨日とありがとね~!
おかげですごい勉強できるようになっちゃった!」
「この調子なら大丈夫よ。
でも出来るようになったからって気を抜いたらダメよ?」
「う~ん、気をつける! でも、あたし調子乗っちゃうから少し怖いかもー」
「直美ならあり得るわね……じゃあ、念には念をいれて、週末はうちに来たら? いつでも活を入れてあげるわよ?」
「えっ! ? いいの?」
「もちろん、いいわよ。私達、親友でしょ?」
「……うん! ありがとう、キョウちゃん!」
直美は、恭子の親友という言葉に一瞬声を詰まらせたが、いつもの調子で答えた。
それは恭子と親友という関係に違和感を抱き始める前兆であったが、
その時の直美が気付くことはなかった。
※※※
その日の夜、直美は悶々としていた。
いつものように入浴をし、パジャマに着替えてベッドに入ったが、自分の気分がどこかおかしいことに気づいた。
なぜか、目を閉じると恭子の顔が浮かぶのだ。
そしてその恭子は、昨日一緒に入浴した時と同じ下着姿だった。
直美は寝返りを打つ。
(なんでキョウちゃんの下着姿なんて考えてるんだろ?)
もう一度目を閉じるが、恭子の姿は浮かんだままだった。
それどころか、想像の中の恭子は下着を脱ぎ始めていた。
直美は自分の異変に気づいていた。
なぜだか、股間が熱くなってきたのだ。
自分の血液が、下半身と、脳に集まってくるのがわかる。
いつの間にか直美は口で呼吸をし、自分の胸を触っていた。
(はぁ……はぁ……キョウちゃん……)
そのまま、直美は恭子との淫らな行為を想像してオナニーを始めてしまった。
(あぁんっ!! )
それから一時間後、直美は絶頂した。
直美にとっては、初めての女同士を想像しての自慰行為。
初めての想像は裸でお互いの胸を軽く触り合う程度のものだった。
(はぁ……はぁ……あたし、とんでもないことしちゃった……
まさかキョウちゃんのこと想像して……しちゃうなんて……)
※※※
その一週間後……
(ぁぁ……そこ……洗って……)
直美は恭子とのお風呂場での出来事を思い出してオナニーをしていた。
恭子の手で敏感なところを洗ってもらい、自らもそのしなやかな手に秘部を擦りつけることをイメージして、その日も絶頂した。
(またしちゃった……こんなことダメなのに、気持ちよくてつい……)
※※※
その後、直美は平日の夜には必ず自慰行為をするようになっていた。
もちろん親友との甘い交わりを想像して……
直美がそうした自慰行為に抵抗を持たなくなるまで、そう時間はかからなかった。
(ぁぁん……キョウちゃん……そこ……
あたしのおっぱいもっと舐めてぇ♡ クリちゃんもペロペロしてぇ♡)
今日は、恭子に陰部を舐めてもらう想像をしてオナニーに耽る直美。
恭子の暗示が日を追う毎に、効果を発揮していったのか、既に遠慮がなくなってしまっていた。
(気持ち良くてやめられない……でもこれも受験の為、普段集中するためにも、ここで欲求を解消しなくちゃ! )
※※※
それからというもの、恭子が手を出さなくても、直美は自らレズビアンへの道をつき進んでいった。
志望校への試験が開始される頃には、直美の性愛対象は完全に女性のみとなっていた。
時折見せる直美の怪しい目。
恭子は直美の気持ちに気付いてはいたが、高校を卒業するまでは現状維持でいこうと決めていた。
(残す不安は……)
恭子は別れたばかりの直美の元彼、桐越誠へ意識を向ける。
直美との関係を脅かす存在は一欠けらも残さない。
恭子の次なる計画が始まろうとしていた……