浴室で誠は身体を洗っている。
手のひらに泡を作り、肌に滑らせていた。
「ん……♡」
胸やお尻に触れる度、ぐぐもった甘い声をあげる。
忍に受けた快感を、身体が今も求めていた。
(こんなこと考えちゃダメ……私は真里さんの彼氏なんだから)
真里の彼氏であろうとする心が、
同性を求める心を否定する。
ラブホテルに運ばれ、忍にレイプされた。
そのことを伝え、真里に慰めてもらうはずだった。
しかし、今はその真里と対立してしまっている。
彼女のスマホには、
自分から送られたメッセージが残されており、
レイプされたと言っても、信じてもらえない。
忍はどうやって自分をあの場所に運んだのだろうか?
なぜ自分は、浮気をしたことになっているのか?
自分に成り済ましたあのメッセージは一体……?
考えを巡(めぐ)らすが、答えなど出るはずもなかった。
結果論だが、先に忍を警察に突き出していれば、
レイプされた事実を証明できたかもしれない。
様々な疑問も、
警察が代わりに突き止めてくれたかもしれない。
誠は選択肢を間違えたことを後悔していた。
そうして何の心の整理もできないまま、身体を洗い終える。
「はぁ…………」
浴室から出て、脱衣場の鏡に目を向けると、
そこには髪の長い女性が映っていた。
男を経験して一層女性らしくなった自分の姿。
まるで男と愛し合うのが、本来の姿だと言わんばかりに、
普段の自分より、少し輝いて見えていた。
(違う……私は男の人より、真里さんの方が好きなんだ!)
頭を振り、余計な雑念を振り払う。
これから萌と対峙するのに、こんな気持ちではいけない。
誠は体を拭き、バスタオルを巻き付けると、寝室へと戻った。
※※※
真里と萌はバスローブを着て、ベッドに座っていた。
誠が戻ってきたのを見て、萌が言う。
「ここに座って」
ベッドの横、2mくらい先にある椅子を彼女は指差した。
「タオルもよこして」
「えっ……何も付けるものがなくなっちゃうよ……」
「言うこと聞くなら、居ても良いって言いましたよね?
それとも出ていってくれますか?」
「……」
誠は無言でタオルを差し出した。
萌に裸を晒すのは嫌だったが、なにより優先すべきは、
ここに留まり真里を説得することだ。
こんなことで揉めるわけにはいかない。
誠は言われた通り、椅子に座った。
「では動かないでくださいね」
そう言うと、萌は用意していた紐を取った。誠が身体を洗っている間に、フロントに用意してもらった紐だ。
「何をするつもりですか……?」
「動かないで」
身構える誠に、萌は再度制止を命じる。
「こんな身体してるけど、一応男だから拘束させてもらうよ。急に襲ってこないとも限らないしね」
「そんなことしません」
「真里のこと好きなんでしょ? だったら自由にさせとくわけにはいかないね。あなたがホモだと認めるなら、縛らなくても良いけど?」
「わかりました……」
納得のいかない顔をしつつも、誠は応じることにした。
彼が大人しくなったのを見て、萌が身体を縛り始める。
両手を背もたれの後ろに回して縛り付け、
立ち上がれないように、椅子の前脚に足を結びつけた。
最後にスリッパを使って、太ももの間から性器を露出させれば完成だ。
「これで良しっと」
彼女は作業を終えると、ベッドに戻り、振り返って言った。
「それじゃあ、これからすることをよく見ててね?
いくよ、真里」
萌のかけ声に真里は小さく頷く。萌は真里のバスローブを脱がせると、自らもそれを脱ぎ捨てた。
露になる美女二人の裸体。
ただならぬ雰囲気に、誠は心臓をハラハラさせる。
萌は誠がこちらを見ているか一瞥(いちべつ)すると、
真里の顎に手を添えてキスをした。
(そんな……!)
唇を奪われる真里を見て、誠はショックを受ける。
真里が他の女性とキスをするなど、
彼氏である誠からすれば、到底許せるものではなかった。
しかし、真里は嫌がる素振りも見せず、接吻を受けいれている。身体の力を抜いて、実に気持ち良さそうに、女同士でキスをしているのだ。
以前の真里を知る者からすれば、信じられない光景である。
彼女にレズっ気などなかったはずだ。
たしかに百合物も好んではいたが、彼女が読む同人誌の大半は、男同士の過激なエロを描いたもの。
それに彼女自身もハッキリとレズを否定していた。
なのに真里のこの反応は、一体どういうことだろう?
誠には、今、目の前で起こっている現実が信じられなかった。
そんな誠の困惑など気にもせず、
レズビアンに成り立ての二人は性愛行動を続けた。
真里は萌の腰に手を添えると、
舌同士を絡ませ合わせるディープキスに移行した。
萌の腕が真里の背中を包み込み、
真里もそれに応じて、萌の身体を抱きしめた。
そうしてキスを交わした後、
萌は真里の頭を撫でて、こう言った。
「女同士のキス、すごく気持ち良いね、真里♡」
あえて女同士と入れることで、真里の背徳感を刺激する。
ノンケからレズに転向したばかりの真里は、
元彼の前でレズ行為を受け入れることにひどく興奮していた。
(はぁ……♡ はぁ……♡
私……誠くんの前で、萌とセックスしてる……♡)
禁忌の行為と感じれば感じるほど、官能が高まっていく。
元彼に、レズに染まった自分を見せる快感。
真里は疚しさを感じつつも、
そのイケない泥沼に嵌まろうとしていた。
真里がレズ扱いされて喜ぶ変態と知っていた萌は、
彼女の官能を刺激するため、言葉責めを続けた。
「横になって。彼に真里がレズになったことを、しっかり分からせてあげよう?」
「う、うん……」
ゾクゾクとした興奮が真里の背筋に走る。
キス以上の行為を見せることで、
さらなる禁忌の深みに沈みこむ気がした。
誠にレズ認定されてしまったら、
自分は一体どれほど興奮してしまうだろうか?
キュウ♡っと子宮が絞めつけられ、熱い息を吐いた。
萌は真里を寝かせると、横に並んで乳房を揉み始めた。
壊れ物を扱うように優しく丁寧に愛撫し、時にそれを唇で愛した。
「ん……ぅぅ……くぅんっ♡」
小動物が甘えるような鳴き声を出す。
萌の舌先が乳首に触れるたびに、真里は甘い声を上げた。
それは誠が初めて耳にする、真里の嬌声であった。
(真里さん……本当に気持ちいいんだ……)
誠は真里にこんな声を上げさせたことはない。
二人のセックスは、真里が攻めるのがほとんどで、
誠は彼女の胸をまともに揉んだことすらなかった。
そんな真里の胸を、萌は好きなように扱っている。
しょんぼりと肩を落とす誠を無視して、
二人のレズ行為は続く。
真里は、萌が舐めやすいよう胸を差し出すと、
お腹の奥から息を吐き、レズの快感を堪能した。
「はぁ、はぁ……気持ち……ぃぃ……♡
もっとして……萌♡」
色白の肌がほんのりと紅く染まり、気持ちよさで苦悩の表情を浮かべている。
これまでの真里にはない、どこか淫靡で大人びた雰囲気に、
誠は彼女がどこか遠くの世界に飛び立ってしまったかのように思えた。
「もっと良くしてあげる♡」
萌は胸を攻めながらも、
お腹、太ももとフェザータッチを繰り返していった。
真里の身体がより高い官能の熱を帯びる。
萌の指が近くを通るたびに、ピクピクと反応する淫核。
女性にとって大事な部分が潤い始め、真里は堪らず愛撫を求めた。
「お願い……萌、触って……♡」
官能が高まるにつれ、徐々に気にならなくなってくる誠の存在。あんなに愛していた人なのに……今はその気にならなくなっていく感覚が逆に気持ち良かった。
徐々に徐々に、後戻りできなくなっていく。
誠に見られながら変わっていく自分に、
真里は一種の陶酔感を得ていた。
そこで萌の指がクリトリスに触れる。
「ンンッ……!♡」
「こんなに濡らしちゃって……真里は本当に可愛いな♡」
ピクンッ♡ ピクンッ♡
恋人に可愛いと言われ、レズ色に染まった突起は、より敏感に反応した。硬く硬く尖り、萌の指に撫でられ実に嬉しそうだ。
萌はそんなクリットを、つねろうとするのだが、ぬるぬるになったそこは、ツルッと滑り抜けてしまう。
そうして真里のクリトリスと萌の指の、
愛の鍔迫り合いは続いた。
「ひぁぅ……もえぇ……クリちゃん、しょんなに、いじめにゃいでぇ……♡」
「だってぇ♡ 真里のクリちゃん、かわいいんだもの……♡」
真里は蕩けた顔で、萌のクリ愛撫を受け入れている。
そんなにいじめられるのが嫌なら、股を閉じればいいのに。
真里は足をパカッと広げて、
もっといじめて♡と言わんばかりの反応である。
(あんなに乱れている真里さん、初めて見た……)
呂律が回らないほど、快楽に溺れる彼女に、誠は寂しさを覚えた。たとえ挿れられなくても、ああして触ってあげれば、彼女はあんなにも喜んでくれたのだ。
誠が後悔している間にも、
真里の気持ちは、どんどん離れていく。
彼女の淫唇は萌のクリ責めで、
うねり、伸縮を繰り返していた。
(あぁ……欲しい……♡ 欲しいの……♡
萌の指……おまんこに挿れて欲しい……♡)
真里は渇望した。
萌の指が中に侵入し、掻き回される感覚を。
真里は自ら腰を振ると、萌の指に突起を擦り付けた。
「自分からスリスリしちゃって、そんなに私の指が欲しいの?♡」
「ハァハァ……うん……ほしぃ……♡
わたしのおまんこ……もえのゆびがほしくて……しかたないの♡♡」
はしたなくおねだりをする真里を見て、
誠はつい目を背けてしまう。
彼女が求めている相手は、自分ではなく萌。
そうハッキリと認識してしまったのだ。
そんな誠の様子を見て、萌は一計を講じることにした。
「おねがい……♡ わたしのレズおまんこ……はぁ♡
もえの指で、くちゅくちゅして……♡」
「ふふ、いいよ♡ じゃあ私の股の間に座って♡ そしたら好きなだけ挿れてあげるから♡」
真里は快感に身悶えしながら、くねくねと起き上がると、
萌と向き合って腰を下ろそうとした。
「あー違う違う。そうじゃなくて背中を向けて座って」
「ふぇ? こ……こお?」
真里は疑問に思いながら、
背中を向けて、萌の股間にお尻を下ろした。
背中から萌が抱きしめる形となる。
「もえ……こ、これって……」
その姿勢になり、初めて真里は萌の狙いに気が付いた。
萌は誠のいる方に真里の身体を向けると、彼女の割れ目に指を添えた。誠からは、真里の陰部がはっきりと見える。
「真里のあられのない姿をじっくりと目に焼き付けるんだよ?」
今から真里を逝かせる。
こうして目に見える形で挿れることで、
どっちが真里の恋人か、しっかりとわからせてやるのだ。
意地を張って別れを拒んでいる誠だが、目の前で何度も真里を逝かせてやれば、心が折れて、泣きながら別れを認めるだろう。
そのためにも、徹底的にいじめ抜いてやる必要があった。
だが、誠は目を閉じて下を向いていた。
二人の性行為を見るのが辛いようだ。
「おや? マコトちゃん、ようやく出てってくれるつもりになったのかな? 私の言うこと聞けないってことは、そういうことだよね?」
「こんなの……見れるわけないよ……」
「じゃあ拘束解いてあげるから、すぐに出てって」
「それはヤダ……見るから……それだけはやめてぇ……」
どんなに辛くても、この部屋から出てはいけない。
誠は目に涙を溜めながらも、二人のことを見つめた。
そんな彼を見て、真里は少し冷静になる。
苦しい言い逃れをしている彼だが、ここまでする必要があったのだろうかと疑問に思い始めていた。
真里の表情の変化に気付き、萌が一言入れる。
「辛いだろうけど我慢して。彼が男の人が好きなら、そっちに行かせてあげるのが一番なんだよ。
真里だって女の私にされた方が気持ちいいでしょ?
彼だって一緒。男の人と結ばれた方が幸せなんだよ。
今はまだ、そのことが分からないだけなの。
いい? 彼のためにも心を鬼にして」
「う……うん」
誠が本当に好きなのは男性。彼が付き合ってくれたのは、自分がしつこくしてしまったから。チャットの内容を誠の本心だと思い込んでいる真里は、萌の言葉に頷いた。
「じゃあいくよ? 思いっきり叫んじゃって良いからね♡」
萌は真里の気持ちが固まると、彼女の膣に指を挿入した。
「ふあぁぁぁっ!!♡♡」
あまりの気持ち良さに、真里は背中を反らせる。
それにより真里の中に芽生えた僅かな迷いは、一気に消し飛んでしまった。
萌は真里を支えると、
指をジュポジュポと出し入れし始めた。
クッチュクッチュ♡ ピッチャピッチャ♡
ジュッポジュッポ♡ ジュッポジュッポ♡
クッチュクッチュ♡ ピッチャピッチャ♡
「ふぁっ♡ あっ♡ あっ♡ ふぁっ♡」
レズの分泌液によって濡れた彼女の花園からは、
厭らしい抽送音(ちゅうそうおん)が鳴っていた。
誠の視線を受けることによって、
さらに興奮を高める真里の女性器。
このレズ色に染まった姿を見て欲しい。
もっと自分をレズビアンだと認識して欲しい。
そんな変態チックな被虐意識が、
クリトリスをぴーんと硬くさせていた。
「ぁ……ぁ……そんな……」
それを見て、誠は大きな衝撃を受ける。
彼は真里の膣に差し込まれた萌の指に注目していた。
「マコトちゃん、今、どんな気持ち?」
勝ち誇った顔で、萌は問いかける。
これこそが、萌が誠に見せたかったもの。
真里が自分に処女を捧げたという事実であった。
「マコトちゃんは、真里のおまんこに挿れたことあるのかな? ふふふ……ふふふふ……」
「う……ぁ……ぁ……真里さん……どうして……」
誠は自らの目を疑った。あれほど純真だった彼女が、
いとも簡単に処女を捧げてしまっている。
安定して勃起できるようになったら、挿入する約束だった。
彼女もそれを心待ちにしていたはず。
それなのになぜ……。
誠には真里の行動が信じられなかった。
そうして呆然としている誠に、
萌は不敵な笑みを浮かべながら説明を始めた。
「昨日ね、真里の処女、もらっちゃったんだ♡
もちろん無理やりにじゃないよ?
真里が自分から私にくれたの。女の子にとって一番大事なものをね。それだけ真里は私のことを愛してくれてるってことなの。わかった?」
「そんなの……ウソ……」
「くふふっ、ウソじゃないって。見ればわかるでしょ?
真里ってば、私に処女あげれて良かった♡って言ってたよ。
ねー真里……マコトちゃんに教えてあげて……♡
真里が私に処女を捧げちゃったこと♡」
「んっ♡ んんっ♡♡ あぁぁぁっ!♡
そ……そうなのぉっ♡ わたし……はぁはぁ♡
もえにぃっ!♡ あ……は……♡
はじめてを……ンンンンッ♡♡
あげ……ちゃ……たのぉ♡ あっ!あーーーーん!♡」
萌の指で喘ぎながら答える。
誠が見ていることなどお構いなく……。
いや、むしろ見ているからこそ、興奮しているといったところか。
処女を萌に捧げた罪悪感も伴い、彼女はレズマゾとしては、最高の被虐的快感の境地に達していた。
そんな真里を萌は蕩けた顔で見つめている。
「真里、そろそろ一度イっちゃおうか?
マコトちゃんにも真里のイキ顔見せてあげよ♡」
「はぁぁっ♡ ひょ……ひょんなぁっ!♡♡
ンンッ!♡ ふぁ……ッ♡」
まだ一度も見せたことのない己のイキ顔。
女にイカされる自分の姿を見せることに、
真里は強烈な背徳感を覚えた。
萌は姿勢を変え、真里に向き合うように座り直すと、
挿入する手に、自らの股間を添えて腰を振り始めた。
萌が男性器で真里を突いているかのような体勢だ。
ヌチャンッ、ネチャンッ!♡
ぬぷ、くちゅ、ずりゅ! ずりゅ! ぐにゅん!♡
「もえっ!♡ すごいこれ……っ!♡ あ、あぁんっ♡ すきっ!♡ すきっ!♡ 大好きぃいい!♡♡」
この瞬間。真里は完全に誠の存在を忘れた。
愛し合う恋人同士の体位、正常位。
萌の位置は、本来は誠がいるべき場所のはずだった。
萌はそこから真里にキスをすると、より激しく腰を振った。
パンパンパンッ! くちゅっくちゅっ!♡
あむ……ちゅぅ♡んちゅ♡れろれろ、ちゅるる♡ぷぁ♡
もはや誠は、完全に蚊帳の外。
二人のレズビアンは、
自分たちだけとなった世界で愛し合い始めた。
「あぁぁぁっ!♡ もえ、しゅきぃ♡ しゅきぃ♡
すごい、すきなのぉぉぉぉっ!!♡」
「わたしも好きだよっ!♡ 真里、はぁはぁ♡♡
だいすきだよっ!♡ まりぃぃぃっ!!♡♡」
「ひもちいぃぃぃ♡♡ あぁ……しゅごい……♡♡
もえと、ひとつになったきがしゅるぅぅぅ!!♡♡」
「ひとつだよっ♡ んちゅ♡ れろれろれろ♡
もうはなれないからねっ!!♡♡」
「うんっ!♡ うんっ!♡ あむぅ……ちゅぷ♡
んちゅゅ♡ れろぉ♡ はなれにゃいでぇ!♡♡」
「はなれないよっ♡ ほーらいきなっ!♡
イって!♡ イって!♡ イキまくって!♡
イキまくりなっ!!!!♡♡」
「ふぁぁっ!♡ いひぃぃっ!♡
んぐっ!♡ あうぅんっ!♡ いきゅぅ!!♡♡
もえのゆびでいっひゃうぅ!♡ あひゃあ……♡♡」
クッチュ!クッチュ!クッチュ!クッチュ!
パンパン!パンパン!パンパン!パンパン!
「ふぁぁぁっ!♡ ふぁっ!♡ あふぁっ!♡
もえっ!♡ しゅきぃ!!♡ しゅきぃっ!!♡♡
しゅきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!♡♡」
「イケイケイケイケイケイケッ!!♡♡
イッちゃえぇぇぇぇぇぇぇ!!!♡♡」
「あっ!♡ あっ!♡ も……えっ♡ しゅ……き♡
い…………く…………く…………く………♡
いっ……………くうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!♡♡♡」
ぎゅっ……!♡
ガクガクガクガクガクガク、ガタガタガタガタ!!!
ビクンッビクンッビクンッ!!♡♡ビクビクンッ!!♡
ぴくん……ぴくん……♡ ぴくん……ぴくん……♡
「はぁーーー♡ はぁーーー♡ はぁーーー♡」
絶頂時の快感が強すぎたせいか、真里は放心状態だ。
口を開けて、口角からだらしなく涎を垂らしている。
可憐な花は、淫らに咲き乱れ、
ヌラリとした潤いを妖しく濡れ光らせていた。
真里が達したのを見て、萌は振り向いて言う。
「はぁーーはぁーーはぁ……ふぅ……ふぅ……♡
ごく……わ、私たちが、はぁはぁ……
どれだけ、愛し合ってるか……わかった?」
誠は何とも寂しそうな顔をしていた。
萌の質問には答えなかったが、
彼は自分に足りなかったものを十分理解したようだ。
萌はふらふらと立ち上がると誠の横に立った。
そして息を整えて、
顔を覗き込みながら、彼が気にしていることを口にした。
「あなたは、真里とこんなに激しく愛し合ったことある?」
萌は真里から誠との性生活について聞いている。
すでに答えは知っているようだ。
プルプルと震える誠に、彼女の口撃は続く。
「そのちんぽ。全然勃ってないよね?
真里があんなに感じているのに、どうして萎えてるの?」
侮蔑に満ちた目。
萌はゴミでも見るかのように誠のペニクリを見つめていた。
萌の言葉に、誠の心は深く傷つく。
これまで真里が献身的に接してくれたおかげで、そこまで気に病むことはなかったが、改めて言われると辛いものがあった。
「もえ……誠くんは……そういう体質なの……はぁはぁはぁ……勃ちにくいだけなの……」
二人の会話を聞いた真里が、息もたえだえになりながら言った。身体のことで、人を非難するのは反対のようだ。
「本当にそうかな?
マコトちゃんはアナルでは勃起するんだったよね?」
「う、うん……」
「じゃあ体質の問題じゃないよ。たしか真里、ディルド持ってたよね?」
真里は頷くと、自分の荷物を見つめた。
萌は真里に許可を取ると、彼女の荷物入れから、
ディルドもとい性剣エクスカリバー(ペニスバンド)を取り出した。
「これ借りるね。今から本当に体質で勃たないか確かめてあげる」
萌はベルトの部分から本体を取り外すと、
誠にそれを見せつけた。
「あなたがホモでないなら、これで勃起したりしないよね?」
「そ、それは……」
性剣を片手に問う萌に、誠は怯えていた。
催眠で記憶を消されていた時と違って、
今の誠は、男根の気持ちよさを知っている。
こんな状態でアナルを刺されては、勃起しない自信がなかった。
「言っとくけど、これは真里のチンポじゃないよ。
真里は女だから、チンポなんか付いているわけないよね?
真里のチンポだから勃起しましたなんて、
下手な言い訳しないでよ。
良い? これは男のちんぽなの。
かなり小さいけど、忍のちんぽと思ってくれて良いよ。
今からこれを、あなたのケツまんこに挿れてあげる。
それで勃起したら、ホモ確定ね?」
「や……やだ……」
ピクピク……ピクピク……
拒んでいるが、忍のちんちんと言われ、
誠のペニクリは、すぐさま勃起してしまった。
「あ……」
それを見て、萌は目を丸くして驚く。
挿れるまでもない。
萌は誠がホモであることを、すでに証明してしまっていた。
「真里、見てみなよ」
「誠くん……」
真里はちょっぴり寂しそうに誠のペニクリを見つめていた。
あれほど勃たせようと、日々奮闘していたペニクリが、
忍のちんぽと言われただけで勃起してしまっている。
その勃起具合は、自分としていた時と全然違う。
見るからに喜んでいるような挙動。
勃ち具合もお腹に付きそうなくらい反りあがっており、
ピクピクと上下に揺れていた。
誠は忍に犯されたことで、ホモの喜びを知り、
このように勃起するようになってしまったのだ。
(やっぱり私じゃダメだったんだ……。
誠くんが望んでいたのは、本物のおちんぽ……。
私じゃ、合わなくてもしょうがないよね……)
真里はペニクリの挙動を見て、
誠が本質的にホモであることを悟った。
「こんな男の模造品に勃起するなんて、ホモ以外考えられないでしょ。本当はわかってるんでしょ?
真里のこと、性的な目で見れないって。正直に答えなさい」
図星を突かれ、誠は視線を落とす。誠は忍にレイプされたことで、男性の方が性的に好きだと理解してしまっていた。
「私は……たしかに真里さんで興奮できません……。
でも私が好きなのは、本当に真里さんなんです」
なおも真里のことを好きと公言する誠に、萌は苛ついた。
「あんなチャット送った分際で、
真里のこと好きだなんて言わないでくれる?」
「私が送ったんじゃありません……」
「また忍が送ったって言うつもり?
見苦しい言い訳もいい加減にしなよ……。
なんであなたは、そんなに真里にこだわるの?
男が好きなら、素直に男の方にいけば良いじゃない?
なにが真里が好きだよ?
真里を満足させてあげられない癖に。
真里の女性としての魅力をわかってあげられない癖に……」
誠は最低な男だ。
自分の彼氏を寝取り、真里を傷つけた。
だが真里は、今でもこの男を気にしている。
そうでなければ、ところどころで庇ったりしない。
もちろん真里の自分への愛情は本物だ。
しかし、どこかに陰りがある。
自分だからこそ分かる小さな陰り。
それは自らの中に潜む、
忍への想いと同じものと言っていいだろう。
どんなに裏切られても、
根本的な部分では、まだ信じたいと思ってしまっている。
萌はどうしてもそれを取り除きたかった。
「もういい加減……真里を解放してあげてよ……
あなたが別れを認めない限り、真里はいつまでも、
心にわだかまりを持って生きていかなきゃいけない……
彼女はそういう性格なの……。
どこまでも、どこまでも、バカみたいに……
ホント、バカみたいに一途な性格なんだよっ!
私は真里と幸せになりたい。
彼女のことを幸せにしてあげたいの……
だからもうこれ以上、私たちの幸せを邪魔しないで!!」
萌は涙を溜めて訴えた。
肩を震わせ、荒く息を吐いている。
そんな中、真里が口を開いた。
「もういいよ萌……それ以上、誠くんのことを責めないで……あとは私が言うから……こっち来て……」
「真里……」
萌がベッドに戻ると、真里は話し始めた。
「誠くん、これまで見ていただいた通り、
私は萌とこういう関係になりました……。
私は萌にどこを触られても幸せな気持ちになってしまいます。
誠くんとのエッチも楽しかったですけど、
萌とのエッチは、心の底からつながってる感じがして……
いつまでも抱き合っていたいと思えるんです。
でもそれは誠くんが悪いんじゃなくて、
私が女の子と……萌と相性が良いからなんです。
そしてそれは誠くんも一緒。
元々、誠くんは男性に興味がありましたけど、
それを私が無理やり振り向かせてしまいました。
だからエッチの相性が悪くても当然……。
今までは気付きませんでしたが、
萌とエッチして、それがわかりました。
だから誠くんも無理しないで、男の人と……
本来、好きになれる人と一緒になってください……」
「真里さん……」
誠はそれを聞いて忍とのセックスを思い出していた。
レイプという形であったが、
真里にされるのとは明確に違う、底無しの気持ち良さがあった。もしそれを好きな人と感じ合えたら……。
誠は頭を下げて、ため息をつく。
自分ではそれを真里に与えてあげることはできない。
でも萌だったら……彼女のことを本気で愛している萌であれば、それを与えてあげることができる。
本当に真里にふさわしい恋人は、萌なのでは?
誠の頭にそういう考えが生まれた。
「見て、誠くん」
真里に呼びかけられ、誠は顔を上げる。
真里は誠がこちらを向いたのを確認すると、萌にキスをした。
萌もそれに応じて、真里のことを抱き締めた。
そのままディープキスを交わす二人。
とても愛情の籠ったキスであった。
そしてようやく唇が離れると真里は言った。
「私はもう……萌の方が好きになってしまいました。
彼女のことを愛してます。だから私と別れてください……」
真里の気持ちを直接聞き、絶望する誠。
もうここまで来てしまっては、状況を覆すことはできない。
それまでの彼女との思い出が走馬灯のように甦る。
勇気を振り絞って告白してくれた彼女。
毎日部室でホームページを作り、帰りは一緒にご飯を食べた。
雪山では遭難したけど、
それも絆を深める意味では、良い思い出となった。
そして夏の納涼祭での告白。
その後、身体の相性が合わなかったりと、
色々と弊害はあったけれど、
それでも彼女は自分を受け入れてくれた。
自分が男でも女でも構わないと言ってくれた。
(それなのにどうして……
たしかに相性は悪かったかもしれないけど、
二人で乗り越えていこうって言ってたじゃないか……)
誠は俯き涙を流す。
真里はそんな彼のことが見ていられなくなり、目を背けた。しかし、啜(すす)り泣く誠の声は聞こえてくる。
萌は立ち上がると、誠の元へ行き、縄の拘束を解いた。
「真里の気持ち、聞いたでしょ?
あとはあなたの好きなようにして」
真里が別れを告げたなら、用はない。
萌は踵(きびす)を返すとベッドに戻った。
誠が真里の視界に入らぬよう、二人の直線上に座る。
「お疲れ、真里。ようやく言えたね」
萌は真里を押し倒しキスをした。
そのまま二人は、女同士の愛欲の沼に沈み込んでいった。