「それじゃあ、お風呂いこっか」
「えっ、もう……?」
萌の誘いに、真里は戸惑った。
お風呂に行くということは、この行為を終えるということだ。せっかく処女を捧げたというのに、あまりにもあっさりし過ぎてる。真里は萌の態度に不満を持った。
「ん? なんか不満そうだね。なんか勘違いしてない?
血が出たから、一回洗おうって意味だよ。
流しっぱなしじゃ、できないでしょ?」
「あ、そういうことか」
(そういえば帰ってきてから、お風呂入ってなかったっけ……)
どうせ続きをするなら、綺麗な身体でしたい。
真里は同意すると、萌とのバスタイムを楽しむのであった。
※※※
それから三十分後。
お風呂から上がった二人は、髪を乾かしていた。
脱衣場でドライヤーの音がなっている。
「さっき乾かさずに始めちゃったから、少しパサついちゃったな」
「あぁ……ごめんね」
「真里のせいじゃないよ。
全部あの男が悪いんだから、気にしないで」
そんな萌に、真里は少し目線を落とす。
「萌……そのことなんだけどさ……」
「ん?」
「実は萌に誠くんのことを、
あまり悪く言ってもらいたくないんだよね……。
たしかにひどい振られ方されちゃったけど、
きっと誠くんも、ずっと悩んでたと思うんだ。
本当は男の人が好きなのに、
無理して私のことを好きになろうとしてくれて……。
だから私は、誠くんに幸せになって欲しいと思ってる。
本当に好きになれる人と一緒になって欲しい。
萌が忍くんを取られて、恨む気持ちは分かるんだけど……
私がそう考えてたら、萌は嫌かな……?」
あんなにひどい別れ方をされたのに、
まだ誠を庇おうとするなんて……。
しかしそのことに萌が不満を持つことはなかった。
「……全然、嫌じゃないよ。
むしろすごく真里らしい。
たしかにそうだよね。
もう終わったことなんだから、恨んだってしょうがない。
わかった! 誠くんのこと悪く言うの、もうやめる。
私には真里がいるんだもの。
明るく楽しくいかなくちゃ! だよね♪」
「ありがとう、萌」
真里はにっこり微笑み、続けて言った。
「それとね。実は私がこうして萌と付き合えたのも、
誠くんのおかげだったんじゃないかって思ってるんだ」
「と、言うと?」
「誠くんって、男の子だけど、見た目も中身も女の子で、
同性と付き合ってる感覚が強かったんだよね。
だから萌に色々されても、嫌じゃなかったのかも?」
「なるほどね。彼と付き合ったことで、
レズに抵抗がなくなったってわけだ」
そう考えると、誠が果たした役割は大きい。
彼は真里がレズを受け入れる礎(いしずえ)を築いてくれたことになる。
サンルームでの出来事だって、
同性に愛撫されたら、普通、もっと嫌がるはずだ。
それを真里は、すんなりと受けいれていた。
誠のおかげで嫌悪感がある程度、
払拭されていた、と言われれば納得である。
萌はそう考え、誠への気持ちを改めたのであった。
「それじゃあ続きしよっか?」
「うん♡」
二人はベッドに上がると、向かい合わせに座った。
「さ・て・と、それじゃあレズになりたての真里ちゃんを、もっと女好きに改造しちゃおうかな?♡」
「はぁはぁ……♡ してぇ♡ 改造して♡
女同士の気持ちよさ、もっと教えて♡」
「ふふふふ……知らないよ~?
真里が四六時中レズ妄想して、
レズ同人でオナニーする姫女子になっちゃっても?♡」
「萌が望むなら、どんな風になっても良いっ♡
私をもっと萌好みのレズ中毒、姫女子にしてぇ♡」
「もぉ……ホント、変態なんだから♡」
萌は真里にキスをすると、さっそく押し倒した。
横に並んで、耳元にキスをしながら胸を揉み始める。
萌の唇が耳元から首筋まで、音を立てながら這い回り、時折、舌を使って滑り落ちていく。
同時にたぷたぷと水風船を扱うように、おっぱいを揉みしだいていった。
真里は半目を開けながら、実に気持ちよさそうにしている。
「気持ちいいでしょ?」
「はぁ♡ はぁ♡ 気持ちぃぃ……♡」
真里は萌にキスを求めた。
太ももで萌の脚を挟みこみ、腰を振って陰部を擦り付けている。そうして愛液を塗る様は、まさにレズそのもの。
真里は女性特有の肌の柔らかさを、
ヴァギナで感じ取り、レズの気持ちよさを堪能していた。
「真里ったら、私の太ももでレズオナニー始めちゃうなんて……恥ずかしくないの?♡」
「だってぇ……♡ さっき挿れられてから、ずっとウズウズしてたんだもんっ……」
「こんなに、人の脚ビチョビチョにさせちゃって♡
本当に真里のあそこは、レズおまんこだなぁ♡」
そう言われて、真里の陰部はピクピクと反応する。
レズと呼ばれて背徳感が刺激され、更なる興奮材料となっているようだ。男から女へと、性対象が変わるこの瞬間でしか味わえない背徳感に、真里は夢中になっていた。
「あぁんっ…♡ そうなのっ♡
萌に処女を奪われて、すっかりレズまんこになっちゃったの♡ はぁはぁ、ぁんっ♡♡ すりすりすりすり♡♡
萌の太もも、おまんこ擦れて気持ちいぃンッ!♡♡」
自分で自分をレズと呼び興奮する女。まさに変態である。
「ほら、レズまんこ、すりすりするだけで良いの?
おっぱいを舐めたり、しゃぶったりして良いんだよ?♡
レズビアンの真里ちゃんは、女の子のおっぱいも好きでしょ?♡」
「うんっ♡ おっぱいも好きっ♡♡
はぁはぁはぁはぁ♡♡ 萌のおっぱい舐めさせて……♡」
荒い息を吐き、胸に唇を添えていく。
真里は乳房に触れると、舌を出して舐めながら、おっぱいを揉み始めた。
「れろーーん♡ レロレロレロレロ♡
あんむっちゅうぅぅ♡ あぁ萌のおっぱい美味し……♡」
以前サンルームで、仕方なしに舐めていた時とは違う。
本当に女が好きなレズビアンの舐め方だ。
(柔らかくて……触れてるだけで気持ちいい……♡
これが本当の女の子のおっぱいなんだ……♡)
改めて感じる本物の女性の身体に感動する。
それから真里は、萌のおっぱいを好きなように扱った。
舐めたり吸ったり揉んだり、それに満足すると、今度は自分のおっぱいを擦り付けて遊んだ。
萌と抱き締めあい、おっぱいをすり潰し合いながら、ディープキスをする。硬く勃起した乳首同士がこねくり合わされるのが特に気持ち良かった。
「あぁーん♡ もえー♡
乳首こすり合わせるの気持ちいいー♡」
「真里はほんと、淫乱だなぁ♡
一度堕ちると、どこまでも突っ走っちゃうんだから♡」
「萌がこうしたんでしょ。
責任とって、いっぱい気持ち良くしてよ」
「良いよ。じゃあ、次はここ♡
私のおまんこ、舐めてごらん♡
レズビアンの真里ちゃんなら、女の子のここ……舐めれるよね?♡」
萌は開脚すると、真里に陰部を舐めるよう指示した。
彼女の顔に両手を添え下半身へと誘導する。
真里は促されるまま、
萌の股間に跪(ひざまず)き顔を寄せた。
(あ……これが萌のおまんこ……♡)
愛おしい恋人の秘貝は、
口調の冷静さとは裏腹にしっとりと濡れていた。
真里にとって、同性の性器をこんなに間近で見るのは初めての体験。ノンケであれば、身の毛もよだつ瞬間であるが、
レズの真里には、興奮材料にしかならなかった。
(萌の匂いがする……この匂い好き……♡)
控えめに生い茂る花園に鼻先を添えて、クンクンと嗅ぐ。
女性特有の淫乱な香りが鼻腔を通り、真里は女芯をピクピクさせた。
「ねぇ真里、ノンケとレズの境界ってなんだかわかる?」
「……女の子が好きかどうかってこと?」
「うーん、それだけだと単なる百合になっちゃうな。
表現が柔らかすぎるね」
「なんだろう……?」
萌は腰を少し浮かせて、
股間を真里の鼻にくっ付けると言った。
「正解は、おまんこを喜んで舐めれるかってことだよ♡
今の真里なら、喜んで舐めれるでしょ?♡」
「うん……舐めれりゅ……♡ はぁはぁ……♡」
「それじゃあ、舐めてごらん♡
どんな形かじっくり見て、いっぱいペロペロして、
女の子の味を覚えるんだよっ♡」
「う……うんっ!♡♡」
催眠の記憶のない真里にとって、これが初クンニとなる。
真里は萌の股間を潤んだ目で見つめ、鼻息を荒くしていた。
(はぁはぁはぁ……
萌のおまんこ……美味しそう……柔らかそう♡)
真里は萌の太ももに手を添えると、
さっそく割れ目にキスをした。
ちゅ……♡
「くっ…………うぅぅっ!!♡♡」
萌が腰を震わせる。
彼女は、艶かしい表情で息を吐きつつも、
秘貝に口を添える真里の頭を撫でた。
「あーあ、ついに舐めちゃったね♡
レズクンニ体験しちゃって、また一線越えちゃった♡
おまんこ美味しい? レズビアンのまーりちゃん♡」
「あむぅ……レロレロ……ちゅぷ……はぁはぁ♡♡
おみゃんこ……おいひい……♡」
「男の子のちんこと、女の子のまんこ♡
どっちが好きかなぁ~~?♡」
「あむぅっ……ちゅぷちゅぷちゅぷ♡
おまんこのほーが、じゅっと、しゅきぃ♡♡♡」
真里は舐めても反応しない誠のペニスより、
ピクピクと反応する萌のおまんこの方が、断然愛おしいと感じた。
「私といない時は、
このおまんこを想像してオナニーするんだよ?♡」
「ちゅぱちゅぱ……うんっ♡」
旅行を終えたら、二人は家に帰ることとなる。
しばらく会えないことを考えると、
しっかりと記憶しておく必要があった。
(萌のおまんこの形と味を覚えなきゃ)
ぢゅるるる! れろれろれろれろ。
ぢゅるるるる! れろれろ ぢゅるるぅ!!
真面目な真里は、一生懸命萌の陰部を舐め回し、
その形、匂い、味、全てを覚えようとした。
(萌のおまんこ大好き……♡
ずっとこのまま舐め続けていたい♡)
それから数分、真里のレズクンニは続いた。
萌も太ももで真里の顔を挟んで腰を振り、レズの快感に酔いしれている。
「はぁ……はぁ……真里、気持ちいいよ♡
私も……真里のあそこ、舐めたくなってきちゃった♡」
「いいよ……♡ 舐め合いっこしよっ♡♡」
真里が仰向けになると、
萌はその上に騎乗して、彼女の下半身に顔を下ろした。
そうして69の姿勢になった二人は、互いの秘所を舐め続けた。
ちゅ……ちゅう……♡
レロレロレロレロ、んんっ♡ ちゅうぅ!♡
ヂュルルッ!♡ ぷぁ……♡ ごくん……ぺろぺろぺろ♡
女同士の肌の密着感と、喉を潤す恋人の愛液。
恥丘に感じる舌と唇の感触により、二人は大きな幸福感を得ていた。
互いに身体を求め合い、心から愛し合っている。
この幸せが続くなら、他に何もいらないと感じた。
萌は真里がさらに愛おしくなり、
舐めながら指を挿れ始めた。
「ぁ……ぁ……♡」
真里が小さく喘ぐ。慣れない膣への刺激で、
萌へのクンニが疎かになっている。
しかし萌は気にせず挿入を続けた。
指をしっかりと奥まで入れて、真里のクリトリスを舐め始める。中と外、同時に責められ、たまらず真里は声をあげた。
「ふぅあっ!!♡ それ……だめぇぇ♡」
「だめじゃないでしょ?♡ もっとして、でしょ?♡」
「やぁん!♡ ダメぇん!♡
すぐイッちゃうからダメなのぉ……♡
ジンジンして……気持ちよくて……♡♡
おかしくなっちゃうぅ……♡」
「ふーん、じゃあ、おかしくなっちゃえっ♪♡」
萌は少しだけ指のストロークを上げると、
真里のおまんこにしゃぶりついた。
ヂュルル! ヂュルルルルル!!♡
「んあぁーーーーーーーーー!!!♡♡♡」
ビクンッ! ビクンッビクンッ!♡
ぷしゅ……ぷしゅぅぅ!!♡♡
膣内外の刺激で真里は潮噴き絶頂をしてしまう。
しかし萌の猛攻は終わらない。
彼女は真里の秘貝に口をつけると、舌をねじ込んだ。
「ふぅえっ!? ふぇっ!?
も、もえ……今、イッた……私、今、イッたから……もうやめっ! ふぅん!!♡ あぁっん!♡ あぁぁんっ!♡」
「レロレロレロ……ぢゅるるるぅ……だーめ♡
真里は女の指と舌で、何度もイケちゃうレズビアンになるの♡ あんむぅ……ピチャペチャ……」
イッたばかりのヴァギナを吸われ、
真里はパニックになった。
身体をピクピクさせつつも腰を振り、
口からはヨダレを垂らして、アヘ顔一歩手前の状態だ。
(あ…あ…萌の舌が、私の中をヌメヌメ這い回って……
きんもぢいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!♡♡♡)
「また、イッちゃうううううううう!!!♡♡♡」
ビクビクビクビクビクッ!!!
真里は激しい痙攣を起こして、再び絶頂を迎えてしまった。
(はぁう、もう……だめぇぇぇ……♡♡)
ぐったりとする真里であったが、
それでも萌は股間から離れようとしなかった。
緩めのクンニに切り替え、じわじわと絶頂へと向かわせる。
真里は彼方を見つめたまま、忍び寄る絶頂を迎え入れるしかなかった。
(あぁぁぁ……あそこがすごく温かくてきもちいぃ……♡
なんだか……天国にいるみたい……♡
あ……ぁ……また……イク……イク……♡♡)
「イクぅぅっ!!♡♡」
ピクンッ♡ ピクンッ♡♡
終わらない真里の絶頂。
絶頂しては、また別の方法でイカされる。
そしてまたイッては、別の方法でイカされる。
いつしか真里の意識は、どこかへ飛んでいってしまった。
そうして30分が経過した頃、
ようやく満足した萌が声をかける。
「ごめん、真里があんまり可愛くて、
つい暴走しちゃった♡ 大丈夫だった?」
「う……うん……大丈夫♡
気持ちよかったよ♡ えへ♡ えへえへ♡」
まるで周りをお花畑に囲まれているように、
幸せそうな顔で笑う真里。
だらしなくヨダレを垂らし、未だに腰を振ってラリっている。
真里は許容量を超えた快感により、
すでにトランス状態に陥ってしまっていた。
「えっ? 本当に大丈夫……?」
ここでようやく萌は、真里の異変に気付く。
夢の世界に旅立ってしまった彼女を連れ戻そうと、
頬をペチペチと叩いてみたが効果はない。
このまま寝てくれれば、明日の朝には元に戻るだろうか?
萌がそのように考えていると、
真里が起き上がって抱きしめてきた。
「あ~ん♡ そんなことより続きシヨ♡
私、モット萌とレズしたい♡ ハァハァ♡ ハァハァ♡
モットキモチよくなろぉっ!!♡ ハァハァ♡ ハァハァ♡」
「真里……目が怖いよ……」
おかしくなってる人特有のギラギラした目つき。
自分で撒いた種とはいえ、
萌は真里の豹変っぷりに恐怖を感じ始めていた。
「ま、真里、とりあえず落ち着いて、ね?
するから……落ち着いたらするから……
だから、ちょっ、まっ! んむぅぅぅぅぅぅっ!!」
後退る萌を、真里は逃がさなかった。
ストッパーの外れてしまった彼女は、
萌にキスをすると、口内を蹂躙し始めた。
獲物を狙う目つきで、萌を堕とそうとしている。
「ンンンーーーーーーッ!!♡」
あまりにも積極的な真里の姿勢に、
半ばパニックになりかけている萌は、ついに叫び声をあげてしまった。
真里は素早くお互いの脚をクロスさせると、
膝を立てて、萌の上体を引き寄せた。
そしてそのままアソコ同士を密着させ、貝合わせを開始する。
「あぁっ!!」
触れ合う女の肉芽。
興奮して尖りきってしまった二つの突起は、
互いを突き合い、その鋭角さを増していった。
真里の恥丘が触れ、萌は興奮して声をあげる。
上下両方に受けるキスに、すっかり翻弄されてしまっていた。
「あぁぁっ!! 真里、だめっ!!♡♡
これ……気持ちよすぎてぇ♡♡ ハァンッ!♡
しんじゃうぅぅぅぅっ!!!♡♡」
「萌、かわいい♡♡ 死ぬほどキモチいいのぉ?♡♡
んっんっん……あっあっあ……♡♡
んちゅっ♡ ちゅうぅぅぅっ!♡ れろれろれろ……♡
萌のレズまんこ、柔らかくて気持ちいいよっ!♡♡♡
あ、そうだっ♡ おっぱいも合わせヨ♡」
真里は上体を密着させると、おっぱいを重ね合わせた。
先端で凝り固まる四つの突起が、お互いをすり潰しあう。
「ンンンッ!!♡♡ キモチイィ!!♡♡♡」
クチュクチュ、クチュクチュ……
パンパンパン!! パンパンパン!!
ぷっくらと膨らんだ女性器同士がぶつかって破裂音を鳴らしている。白肌の美女二人が、理性をかなぐり捨て、求めあう姿はまさに芸術であった。
「あぁぁっ!♡ もう限界っ!!♡ もう限界っ!!♡
イクッッ!!!イクッッ!!いっちゃうっ!!♡♡」
「あぁぁぁぁぁ……私も……もう……いく……♡♡
いく……はぁ……はぁ……!♡ いくっ……はぁはぁ……!♡
いくっ………………っ!!♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁっ!!♡♡」
「「イッックゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!♡♡♡♡」」
ビクビクビクビクビクビクビクビク!!!!!!
強く抱き締め合い、
激しく震えながら、真里と萌は絶頂を迎えた。
ハァハァ……ハァハァ……ハァハァ……ハァハァ……
激しい絶頂により、全ての気力と体力を使い果たした二人は、そのまま倒れ込んだ。
半目を開き、相手の姿を確認する。
そして細い腕を伸ばして、手を握り合った。
「萌……愛してるよ……♡」
「私も愛してるよ……真里♡」
最後の口付けを交わす。
ゆっくりと瞼が閉じられ、彼女達は眠りについた。
※※※
場所は変わって、ここはホテルの管制室。
多くの職員がパソコンの前に座り、
萌の部屋を監視していた。
壁に埋め込まれた巨大モニターには、
真里と萌が眠る姿が映し出されていた。
「小早川様……ついにやりましたね……」
小早川が座る椅子の横で、側近とおぼしき男が呟く。
小早川は黒皮の椅子に座り、モニターを眺めていた。
「ひとまず第一段階完了ってところかしら?
真里がマコトちゃんと別れる決断をしたのは良かったワネ」
「え……し、しかし、ここまで来れば、
すでに誠と真里の関係は終わりではないですか?」
成果に対し、目立った反応を見せない小早川に、
側近は困惑している。
すでに真里は誠を捨て、萌に心が移っている。
これ以上することが、何かあるのかといった様子だ。
「あの女を舐めちゃいけないワ……。
勝利を確信したところで、いつも逆転してきたのがあの女ヨ……。今度という今度は、マコトちゃんが別れを認めるまで、気を抜くつもりはないワ……」
これまで苦渋を呑まされること三回。
その後、催眠の呪縛を解き、脱獄寸前まで粘った人物。
それが一ノ瀬 真里だった。
今回は鮫島のフォローに助けられたが、
彼がいなかったなら、確実に負けていただろう。
小早川は、人生において一度会うかないかの好敵手として、真里を認めていた。
それは同時に、
彼が真里に一切の妥協を許さないことを意味していた。
小早川は、机に置いてある〖誠のスマホ〗を手に取ると言った。
「しかしチャットって便利ネー。
〖本人が話さなくても、話したことになる〗んだから。
こんなに有効なら、もっと早くに試してみるべきだったワ」
真里に送ったメッセージを見てほくそ笑む。
彼は、誠のスマホでチャットを送り、
真里に別れを告げさせていた。
催眠によって、記憶を消されている真里は、
すっかり騙されてしまったというわけだ。
「あとはマコトちゃんだけね……」
真里を堕とすことに成功した小早川は、
いよいよ最後の人物。
桐越 誠を堕とす準備に取り掛かり始めた。