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霧の寝台

ガチ×ノンケ専門の官能小説 主なジャンル:GL BL NTR 催眠 調教 監禁 男の娘 女装

Part.109 【 やり直し◇◆ 】

「んっ……」

「…………あ、あれ?」


観覧車の席に着き、真里と萌は目を覚ました。

以前と同じゴンドラの中。時間帯も同じである。
窓の外には、リゾートの街並みが広がっていた。
しばし呆然とした後、口を開く。


「あっ……そうだ。写真見るんだったね」

「ん……? あ、そうそう、これシークレットフォルダと言って、特殊な操作しないと開けない仕組みになってるんだ」

「へーそんなのがあるんだ」


会話をしつつ、二人は違和感を感じていた。
着てる服、外の景色、ゴンドラ内の空気に至るまで、
微妙に何か違う気がするのだ。

しかしそれが何かはわからない。

頭の中で首を傾げながらも、シークレットフォルダ内の画像を見始める二人。もちろん以前、催眠が解けるきっかけとなった写真は、全て削除済みだ。


(うわ……やばい……激エロな画像しかないじゃん。
まさしくBLの宝庫って感じ♪)


真里は画面に映る萌のコレクションの数々に、興奮して鼻息を荒くしていた。しかし対照的に萌は、どこか冷めた目で見ている。


(私……なんでこんなの集めてたんだろう?
全然良さが分からなくなっている……)


以前であれば、隣にいる真里同様、
嬉々(きき)として見つめていたはずだ。

しかし今の萌にとって、BLは何の価値もないもの。
むしろ嫌悪感を感じさせるものへと変わっていた。


「このままスマホ貸すから、好きなの見て良いよ」

「えー萌も一緒に見ようよー。
このメスイキしてるテトなんか最高♪」

「私は見慣れてるからいい。今は景色見たいから後でね」

「むーわかった。
じゃあ好きなだけ見せてもらうね!」


真里は画像をスクロールしながら、
「ウヒヒヒヒヒ……」と気味の悪い笑い声をあげている。
すっかりカルテトワールドにのめり込んでいる様子だ。

萌はそんな真里を横目に見ると、
軽いため息を吐き、外の景色を眺め始めた。


※※※


二人は観覧車を降りた後、
無重力空間を体験できるというグラビティタワーへと来ていた。

ここは遊園地の人気スポットで、世界でも3箇所しか存在しないと言われているほど、珍しいアトラクションであった。


「やっと入れたー。
ずっと立ちっぱなしで足が痛くなっちゃった」


そう言い、真里は足のふくらはぎを揉む。
それまでの待ち時間を表すように、彼女の後ろには、隣のアトラクションまで続く行列が並んでいた。


「ご招待チケットがあったから、この程度で済んだけど、
普通に並んだら、数時間は待たされるらしいよ?」

「えーそんなにー?」

「真里だったら、途中リタイヤしちゃってたかもね?」

「並ぶ前からギブアップしそう……」


二人は入り口で荷物を預けると、
係員に案内され、その先にある個室へと入った。

3メートル四方の部屋。
中には何もなく、換気口があるだけだった。
無重力空間になると、物が浮かんで危ないので何も置いていないのだろう。


「ここも個室なんだ。
まさか萌と二人きりで入れるとは思わなかったな」

「他のお客さんとトラブルになるからじゃない?」

「なるほど、たしかに浮いてたら危ないもんね」


ピーピーピー♪ ガチャン……


「それでは間もなくスタートいたします。
不思議な無重力空間をお楽しみください♪」


係員のアナウンスが流れ、ゆっくりと身体が浮き始める。


「わぁーすごい!」

「おぉー!」


これまでに体験したことのない感覚。

真里は宙を泳ぐような動作をし、
萌は天井と地面を行ったり来たりして楽しんだ。

そうして慣れてきた頃、
おもむろに萌が真里の背中に回り込んだ。
真里の身体を抱きしめて、耳元で囁く。


「ねぇ、真里……こんな無重力空間でエッチしたら、どうなるんだろうね……?♡」

「ちょっ……なにをいきなり……」


誘われ顔を赤らめる。
萌は右手で真里の胸を、左手で股間を触り始めた。


「んっ……♡ ちょっと萌、こんなところでやめて……」

「そう……? やめてって割には嬉そうな顔してるね♡」


言葉とは裏腹に、真里は期待に満ちた顔をしていた。
身体が萌から受ける刺激を思い出し、自然とそうなってしまったのだ。


「誰かが見てるかもしれないよ?」


真里は部屋の隅にある小型カメラを気にしていた。
万が一のトラブルのため、設置されているカメラだ。


「別にいいじゃん、真里のエッチな姿、見てもらおうよ?」

「はぁっ!? ちょっと、なに言って……あぅん♡」


言い終わらぬうちに、
萌は真里の下着に手を突っ込んでしまった。
小悪魔的な笑みを浮かべ、
真里のクリトリスに刺激を与え始める。


「ふぅんっ!♡  やめ……こんな♡ とこで……♡
はぁはぁ……だめぇ♡♡」

「だめって言いながら、しっかり勃起してるじゃん♡
もしかして真里は見られて感じるタイプだったのかな?♡」


萌の指先で硬く凝り固まってしまったクリトリス。

真里の身体は、萌に触られて、
素直に悦びを示してしまっていた。


「このままじゃ濡れちゃうから、ほんとやめて……♡」

「もう十分濡れてるよ♡
ホント真里は可愛いなー♡ ちゅ♡」


首筋と耳元に、交互にキスをする。


「あぁっ!!♡ んんっ!♡♡」


何をされても感じてしまう。
真里はすっかり萌の愛撫に翻弄されてしまっていた。

萌は一旦、真里を離すと、彼女の身体を回転させた。
二人は向き合う形となる。


「真里、すっごいエロい顔してるよ?♡」

「はぁはぁ♡ 萌が変なことするからでしょ……」

「ふふふ、そうだね。キスしよっか♡」

「……うん」


ワンテンポ置いて頷く。

今は付き合っている身。誠への罪悪感はあるが、
ここであからさまに拒むわけにはいかなかった。

二人は口付けを交わし、ゆっくりと回転していった。

それから数分が経ち、再びアナウンスが鳴る。


「まもなく終了となります。
危険ですので、黄色い面の壁に足をつけてお待ち下さい」


二人はキスをやめ、指示通り行動した。


「終わっちゃったね。無重力空間どうだった?」

「うん……良かった……♡」


静かな声で、恥ずかしそうに答える真里。

消極的に始めたキスであったが、
萌とのキスはやっぱり良かったようだ。



※※※



その後も二人は様々なアトラクションで遊んだ。

奇想天外な立体迷路や、マルオワールドのブロック崩し、迫り来るゾンビを退治するリアルサバゲーなど、
気を許せる恋人と過ごす一日は、実に有意義なものであった。


「あーずいぶん遊んだね。じゃあそろそろ帰ろっか?」

「うん、そうだね」


赤みが差し始めた空の下、二人は並んでホテルへと向かう。
全身を使って遊ぶアトラクションが多かったせいか、
だいぶお疲れの様子である。


(そういえば、誠くんから返事来てないな。
トイレに行って、もう一回連絡してみようかな?)


昨日から何度も連絡していたが、誠からの返事はなかった。

すぐにでも連絡をくれていたら、
萌と一夜を過ごすことにもならなかったのに。

真里は誠の対応に少し不満を持った。


(とにかく今のままじゃ、誠くんに悪すぎる。
早く事情を説明できれば良いんだけど……)


真里はこれまでのことを話し、
萌との関係を一時的に認めてもらうつもりであった。

彼氏に浮気を認めてもらうという、
一般的には、到底許されないお願いをすることになるのだが、この時の真里は、事情を話せば、誠ならきっと理解を示してくれると思っていた。


「萌、ちょっとトイレ行ってくるね」

「…………」


声を掛けたが、萌は一切反応しなかった。


「どうしたの……?」


萌の視線を追い、遠くにあるベンチを見ると、
仲良く座る誠と忍がいた。


(あっ……誠くんと忍くん。二人も来てたんだ。
あの雰囲気だと、うまくいったのかな?)


誠には、萌と忍の喧嘩の原因を調査してもらっている。

彼の表情から察するに、
仲直りの材料を何か掴むことができたようだ。

そうであれば、すぐにでも二人の元へ行き、
問題を解決すべきである。

真里は萌を連れていこうと、声をかけようとしたが、
そこで彼女の様子がおかしいことに気が付いた。


(萌……どうして誠くんを睨み付けてるの?)


忍だけではない、萌は誠にも憎悪を向けていた。


(あっ! まさか!)


そこで真里は思い付く。萌は忍が誠と浮気していると、
勘違いしたのではないだろうか?

萌は誠を女だと思い込んでいる。

二人が仲良くしてるのを見て、
嫉妬していたとしてもおかしくはない。

確信はなかったが、それならそれで良い。
誠が男であることを明かせば済む問題だ。

真里は、ひとまず誤解を解こうとした。


「萌、誤解しないで、
マコトちゃんと忍くんは、そういう関係じゃないの」


萌は目を細めて二人を指差す。


「あれを見てもそう言える?」

「えっ?」


言われて二人の方を見ると、
そこには熱烈なキスを交わす誠と忍の姿があった。


(ウホッ♡ なんという美しいホモ♡
じゃなかったっ! 誠くん、なんてことをーーー!)


尊くはあるのだが、タイミングとしては最悪だ。

せっかく萌と忍の仲を修復できそうなのに、
なんてことをしてくれるのか。
これでは火に油を注ぐようなものではないか。


「行こう、真里。これ以上ここにいたくない」


萌はそう言い放つ。
彼女の瞼はうっすらと濡れており、泣いているのがわかった。それを見て、真里はここから離れることを決める。

今は萌のケアするのが先決だ。
誠については、彼女が冷静になってから話せば良い。

真里は立ち去る際に、改めて誠を見た。
彼は忍に対し、なぜか恋人のように接していた。


(誠くん……一体なにがあったの?)


真里は言いようも知れぬ不安を抱えたまま、その場を後にした。
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