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霧の寝台

ガチ×ノンケ専門の官能小説 主なジャンル:GL BL NTR 催眠 調教 監禁 男の娘 女装

Part.95 【 親友◇ 】

次の日の朝。

ホテルで簡単な食事を終えた真里と萌は、
部屋に戻り、一枚のチラシを見ていた。

カラー印刷された薄い光沢紙には、
水着を着た女性が日焼けを楽しむ姿が写っている。


「萌、プール付きサンルームだって!」

「ほほー宿泊チケット利用者無料か。
ウチラのことじゃん。ちょっと行ってみよっか?」

「もちろん、行く行く!!」


チラシには、このホテルの30階にある屋内プール付きサンルームを無料開放するといった内容が書かれてあった。
宿泊費、飛行機代に続いて、こんなサービスまで無料で付いてくるとは……正直、驚きである。

それからホテルにサンルームの利用を申し出た二人は、
女性スタッフに案内され、サンルームへと移動する。


「こちらのお部屋です。ここは完全個室制で他のお客様の目を気にせず、ゆったりと過ごせるスペースとなっております。
中にある飲み物と果物の盛り合わせは、すべてサービスですので、ご自由にお召し上がりください」


スタッフから鍵を受け取った二人はさっそく中へと入った。


「うわ……想像してたよりずっと広いね……」

「めちゃくちゃ豪華じゃん……
てか、完全個室制だったんだ……凄すぎ……」


大理石と金で装飾された立派なフローリング、中には長さ5mほどのプールがあり、高さ4mほどのガラス壁が続いていた。

備え付けのテーブルの上には、フルーツジュースと新鮮な果物の盛り合せが置いてあり、ビーチベッドの脇の棚には、特製サンオイルが置かれてあった。


「萌、100%マンゴージュースだって、なんか高級そうなパッケージだね」

「これ知ってる! ミチェランで☆5を取った店のジュースだよ。たしか一本1万円くらいしたはず」

「いちまんえんっ!?」

「ちょっとやり過ぎだよね……
商店街の抽選会で、こんなすごいの当たるかな普通……」

「ホントそうだよね……」


商店街の景品など、良くてもせいぜい5万円程度である。

こんな高級ホテルに9日間も泊まり、全て無料であることを考えると、その価値は100万円以上はするように感じられた。



ポンっ!

椅子に座り、フルーツジュースの栓を抜く。

グラスに注ぎ、口に含むと、
濃厚なマンゴーの香りが全体に広がった。


「「おーいしーー♪」」


あまりの美味しさに真里は足をバタつかせている。


(これ誠くんにも飲ませてあげたいな。
後で二人でもう一度来てみよっと♪)


誠は朝から忍の部屋に行っているため、一緒には来れなかった。萌との間で何があったか忍に教えてもらうため、出向いてもらっていたのだ。


(でもなんか昨日も同じことを頼んだような気がする……)


なぜか昨日の記憶が混濁している。

思い出そうとしても、断続的なものになってしまい、
ハッキリとは思い出せなかった。

だが真里がその事に執着することはない。
気にしないように暗示を掛けられているのだ。


それから二人はプールで軽く遊ぶと、
さっそくサンオイルを使って身体を焼くことにした。


「あまりスーパーとかで見かけないサンオイルだね。
小早川製薬って書いてあるよ」


サンオイルの瓶をマジマジと見つめ真里が言う。


「そういえばこの島って小早川って付いてる会社多いよね。
このホテルも小早川だし、小早川製薬、フルーツパーラー小早川、ボクシングジム『KOBAYAKAWA』、小早川電機、
みんな小早川が付いてるね」


萌の話を聞き、真里はふと思い出す。
そう言えば、最近恭子と取引のある相手も小早川だったと。

もしかしたらその系列の会社なのかもしれないと、彼女は考えた。


「じゃあ、そろそろオイル塗ろっか?
ほら、真里。塗ってあげるから横になって」


萌はビーチベッドを指差し、うつ伏せで寝るように言った。


「ありがとう、塗り終わったら、次私が塗ってあげるね」


瓶の蓋を開け、サンオイルを真里の背中に垂らす。
萌は両手を使って、それを背中全体に伸ばしていった。

なんの変哲のないサンオイル。

実はこれは、小早川製薬が開発した強力な媚薬入りのサンオイルであった。

塗れば、どんな相手にも欲情させてしまう催淫効果を持つ媚薬で、これまで数々のノンケを同性愛者へと変えていった悪魔の薬であった。


(はぁ……真里の肌、すごいスベスベしてる。触れてるだけで気持ちいい……)


前日の夜、萌は美男子同士の性行為には見向きもせず、
ひたすら真里への愛撫に専念していた。

真里が自慰をしていたので、やりやすかったのもあるが、
彼女は素の状態で、そういう行為に及んでしまっていた。

今はそれに加え、媚薬の効果もある。
萌がハメを外すのは時間の問題であった。


(あれ、だんだん身体が熱くなってきた……なんでだろう?)


真里の頭に廻る素朴な疑問。

媚薬の効果が表れ、
徐々に彼女の身体を蝕(むしば)み始めているのだ。


「んっ……♡…………ぁっ…………♡」


たまらず声を漏らす。


「真里、何か言った?」

「んっ? な、なんでもないよ……気にしないで」

「そか、わかった」


萌の問いに、慌てて取り繕う。
まさか感じているなどと、親友に思われたくない。

こんなので感じてしまったら、
またレズだと疑われてしまうでないか。


(そういえば最近、誠くんとエッチしてなかったな……
だから感じやすくなってるのかな?)


頻繁にしていた誠との性行為も、
この島に来てからは一度もしていなかった。

本来であれば疑問に思わなければならないことだが、
それすらも催眠によって気にならないようにされていた。

そもそも二人の行為は、
真里がペニバンを使って誠を犯すことが多く、
誠の方から真里を責めることはなかった。

それにより、責められ慣れていない真里の身体は、
萌の愛撫を、より敏感に受け入れるようになっていたのだ。


「ねぇ、真里。思ったんだけどさ」

「な、なに……?」

「ここウチラしかいないし、水着脱いでも良くない?」

「えっ……?」

「正直、塗りにくいんだよね。
このまま焼いても水着の跡が残っちゃうしさ。
お風呂入る感覚で脱いでみたらどう?」

「うーん……どうしよ?」

「とりあえず、私は脱ぐね。水着にオイル付くの嫌だし、
どうせここには真里しかいないしね」

「わかった。じゃあ私も脱ぐよ」


真里は立ち上がると、水着の上下を脱ぎ始めた。

そこで気が付く。


(あっ……やば…………)


パンツの内側に糸が引いてしまっている。
オイルを塗られる気持ちよさで、濡れてしまっていたのだ。


(ウソ…………私、ここまで感じてたの……?)


同性にオイルを塗られただけで、
ここまで濡らしてしまったら、レズそのものではないか。

さすがに言い訳できないと思い、
慌ててパンツを畳んでポーチにしまった。

そんな真里を見て、萌がニヤリと笑っていることに、
その時、彼女が気が付くことはなかった。



※※※



「じゃあ続きいくよ?」

「うん……お願い……」


正直、もうオイルは塗られたくなかった。

自分が性的に感じてることに気づいた真里は、
萌にそれがバレてしまうのではないかと心配していた。

萌の手が背中に触れる。

心なしか、先ほどよりも触り方が厭らしくなっているような気がした。意識するから、そう感じてしまうのだろうか?

肩、腰、オイルを塗る範囲は徐々に広がっていく。


「はぁ………………♡ はぁ………………♡」


呼吸をゆっくりと行い、快感をまぎらわす。

だが萌の手がお尻に触れた瞬間。
真里はふたたび声を上げてしまった。


「んんっ……!♡」

「どうしたの、真里? 変な声出しちゃって……?」

「ん、ご、ごめん、なんでもないよ」

「まさか、感じたりしてないよね?」

「ま、ままま、まさか。そんなわけないじゃん!」

「そうだよねー真里、ノーマルだもんねー」


これ以上、変な声を出してはいけない。
真里はぐっと口を閉じて、声を出さないように我慢した。

しかし萌は、
そんな真里をからかうように厭らしい愛撫を続けていく。

お互い全裸のまま。片方は火照った身体を小刻みに震わせている。まるでレズAVのような光景だ。

萌の両手が真里の白く形の良いお尻を愛撫する。

たっぷりの媚薬がその豊満な谷間から流れ落ち、すでに濡れぼそった真里の秘部に付着する。

真里のピクピクとうねる下の唇は、その悪魔の薬を口に含み、愛液と混ぜ合わせていく。

くちゅくちゅと交ざり合い、逆流した薬の効果は、真里の体内へと侵入し、さらに彼女を狂おしいほどの快感の波へとさらってしまうのだ。

そうして足のつま先までオイルを塗り終えたところで、
萌は言った。


「はい、後ろ完了だよ。仰向けになって」

「えっ……前もするの?」

「当たり前じゃん。
後ろだけして、前、塗らない人なんていないでしょ……
もしかしてレズビアンの真里ちゃんは、
私にオイル塗られて感じちゃうから、
これ以上塗られたくないとか?
それなら無理にとは言わないけど?♡」


ニヤニヤと笑って、からかう萌。
真里の反応から感じていることは丸分かりだった。


「ち……ちがーう、私、レズじゃないし……
ただ裸だから、どうなんだろうなって思っただけだよ」

「別にノーマルだったら良いんじゃない?
私達、女同士だし、真里もオイル塗られて変な気分になんてならないだろしね」

「だ、大丈夫……」

「じゃあ、仰向けになって」

「わかった……」


渋々仰向けになる。
親友に裸体を晒していることを、なぜか恥ずかしく感じた。


(うぅ~~すごい恥ずかしい…………
誠くんに見せるよりも恥ずかしいんだけど…………)


温泉で直美に見せた時は、ここまで意識しなかったはずだ。
催眠によって刺激された真里のレズっ気は、着実に彼女の嗜好を変化させていた。


「じゃあ塗るよ。変な声出さないでね」

「出ないから大丈夫……」


サンオイルが胸に垂らされる。
萌の手のひらが乳房に触れ、ゆっくりとそれを広げた。


「はぁ……♡ はぁ……♡ はぁ……♡」

(あぁーだめぇぇぇ……萌の手、すっごい気持ちいぃ……
なんで、こんなに気持ちいいのぉ……)


これは明らかにセックスの時の快感。

その気持ち良さは、誠の愛撫に比べて、はるかに上だった。
実の彼氏よりも感じることに真里は困惑していた。

そこで萌の指が乳首に引っ掛かる。


「んんっ!♡」

ビクビクっ!

「…………まーり?」

「あっ! 違う……今のは……」

「へぇー乳首こんなにしててもそう言う?」

「えっ?」


萌に言われ確認する。


(ひゃーー!!○%×$☆♭#▲!※)


ぷっくらと膨らんだ真里の乳首。
胸の先端でそれはハッキリ分かるように勃起していた。

あまりの恥ずかしさに赤面してしまう。


「あ……こ、これは……その……」

「もう気にしなくて良いよ。声も出したければ、出して良いから。我慢してるの丸分かりだよ?」


萌は、しょうがないなーと言った感じ真里を見ている。

その目はすでにノンケの女性に向ける目ではなかった。
明らかに真里をレズビアンとして見なしている。

そんな目だった。


「大丈夫、真里がこういうのが好きでも、気持ち悪いなんて思わないから安心して。
真里にレズっ気があって、女の子の手に発情しちゃう女の子でも、私は真里のこと好きだよ」

「ち、ちっがーう……」

「はぁ……強情だね。これでもそう言える?」


萌はそう言うと、
真里の勃起した乳首を口に含み、舐め始めた。


「あぅぅんっ!!♡ んんんっ!!♡」


同性の萌に乳首を舐められ、真里は可愛らしい悲鳴をあげる。
誠にも聞かせたことのない卑猥な喘ぎ声だ。

舐められた突起は、これ以上ないほどピンと張ってしまっていた。


「ほら、そんなに可愛い声出して、これでも感じてないって言えるの?」

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ♡」


荒い息を吐いて快感に震える。心臓が激しく鼓動する。
真里の陰部からは、愛液がトクトクと溢れ始めていた。


「萌……なんでそんなとこ……舐めるの……?」


まるでいじめられたと言わんばかりの顔をして真里が尋ねる。
仔犬のようなシュンとした表情。
そんな彼女の表情に、萌の加虐欲が刺激される。


「んー? 真里があんまり否定するもんだから、ちょっとからかってみたの。
すごいレズっぽかったでしょ?
でも真里さーやっぱりレズっ気あるんだよ。
気持ちよかったんでしょ? もうバレてるんだから正直に認めなよ」


呆れたように萌は言う。
そんな彼女の態度に、これ以上否定しても、よけい呆れさせるだけだと判断した真里は、正直に答えることにした。


「うぅ……気持ち良かった……」


誠にはこんなに厭らしい触り方はできない。
性格的に言って、萌はこういった女体の触り方に向いていたのだ。


「そっか♡ じゃあ続きしてあげるね♡」


萌はにっこりと微笑むと、オイルをたっぷりと手のひらに乗せ、真里の股間を愛撫し始めた。


「えっ? ……萌!? ああぁんっ!!♡」

「こんなに反応しちゃって……んっ♡
もぅ……ほんと、真里は女好きなんだから……いけない子……♡」

「……ダメぇ…ぇ…♡」


真里からは見えないが、
萌の女性器もすっかり潤ってしまっていた。

真里の反応ひとつひとつに、萌のクリトリスがピクピク震える。すっかり同性に興奮するようになってしまった萌の心と身体は、真里をより淫らな姿に変えようと動き出してしまった。


「だいぶ溜まってるみたいだし一度イっちゃったら?」

「イク……なんて……そんなこ……と……ふあぁぁんっ!♡」

「私としては一度イってもらった方が良いなー。
真里が喘ぎすぎて、このままじゃオイル塗れないしね♡」


なおも執拗に真里の女性器を撫で回す。

真里は足を閉じて抵抗するが、オイルが潤滑剤となり、
股間への侵入を容易に許してしまう。

腰をくねらせ、快感に身悶えする真里を見て、
萌は我慢ができなくなり、彼女にキスをした。


「あむんっ……んんっ…………♡」

ちゅ…………ちゅぷ…………ちゅぷ…………


真里の柔らかい唇の感触をしっかりと感じとる。
抵抗は少なく、真里がこのキスを受け入れていることが分かった。


「ふふふっ……♡ 抵抗しないんだね、真里♡」


真里は抵抗できなかった。
媚薬の効果もたしかにあったが、
受け手としての性行為を身体が求めてしまっていたのだ。

普段、誠とのエッチで真里は攻めに回っていたが、
それは誠がドMだったからそうなったのであって、
真里は本来、受け手であったのだ。


(あぁん♡ 萌とのキス気持ちいぃぃぃぃぃ♡
なんでぇ? なんでこんな気持ちいぃの……?
誠くんとのキスより良いなんて……
そんな……こと……んっ♡ ありえないぃぃぃ♡)


すっかり翻弄される真里の心。
調子が上がってきた萌は、秘貝への愛撫に集中した。

同じ性別同士、
どこをどう触ると気持ちがいいか分かっている。

萌の愛撫は、そうした感じる部分を的確に刺激していった。


「あんっ♡ あんっ♡ あんっ♡
それ……ダメぇっ……♡ イキそうだからっ、もうやめっ……」


再び真里の唇をキスで塞ぐ。

緩く、優しく、滑らかに、
真里の性感はどんどん高まっていく。

親友との禁じられた行為に、真里の背徳感はどんどん高まっていく。

そしてついに真里は限界を迎え……


「んんんっ!♡ んーー!♡ んんーー!♡
んんんん!♡♡ んふーーーーっ!♡♡♡♡♡」

ビクビクビクビクッ!♡ ビクビクビクビクッ!♡


絶頂に達してしまった。

真里はあまりにも深くイッてしまったためか、
断続的に込み上げる快感に、軽い痙攣を起こしてしまっていた。

萌はそんな真里を優しく抱き締める。

もはや女同士だからという感覚は彼女にはなかった。
むしろ女同士だからこそ、ここまで一体になれる。
彼女の性への価値観はすでに逆転してしまっていた。


(真里が欲しい……もっと貴女と愛し合いたい……)


半開きになった真里の口に舌を差し込む。
舌と舌を絡め合わせた甘いディープキスだ。


(あぁ……萌……すごぃ……♡
こんなに積極的に……あぁん……気持ちいぃ……♡)


こういったディープキスにおいて、完全に受け手に回るのは、真里にとって初めての経験。
真里の意識は女同士の快楽の世界に溶け込んでいった。


「ちゅう……真里……私とのキス、どうだった……? 」

「はぁはぁ……すごい……良かったぁ……♡」


萌の責めにすっかり翻弄されてしまっていた真里は、
その問いに、つい本音で答えてしまった。

真里の返事に萌は改まった顔をすると、すがるような想いで尋ねた。


「真里、大好きだよ。こうなったら一緒になろう……?
私、真里とだったらレズになっても良い。
もう男はこりごり…………二人で付き合おうよ。ね?」


最愛の人の裏切り。
そのぽっかりと空いた穴を埋めてくれたのが真里だった。

真里の優しさにいつも包まれていたいと思った。
彼女といつまでもこうして心を通い合わせたいと思った。

萌にとって真里は、既に親友以上の存在となっていたのだ。


「それは……ダメ……私には……誠くんが…………」


だが真里は断った。いくら身体が萌を受け入れようとも、彼女の心には常に誠がいた。
分かりきっていた答えに、萌は目を伏せて寂しそうな顔をする。


「そっか…………そうだよね…………」


真里がどれほど誠を愛しているか分かっている。
その恋路を応援する立場にいたのだから。

だがそれでも萌は、真里を手にいれたいと思った。

真里の反応を見る限り、彼女が自分との性行為に大きな快感を得ていることは分かった。
もっと大きな快感を与えて、彼女が自分から求めるようになれば、もしかしたら……
萌は心に蓋をして、真里を女同士の快楽の虜にすることを決めた。


「ごめん、真里……私にはあなたを諦めることができない……私にはあなたが必要なの……」

「えっ……萌……?」


見たことのないような萌の表情。
悲哀を纏ってはいるが、彼女の顔には決意がみなぎっていた。

まさか親友が、そうまでして自分を欲しているだなんて……

だが逃げようにも、力が抜けて身体が動かない。
萌が徐々に迫ってくる。


「萌……ダメ……そんなことしちゃ……やめて……」

「真里が誠くんを愛しているのは分かってる……
でも、お願い……私のことも受け入れて……お願い……」


萌が目に涙を浮かべている。

忍との間に何があったかは分からなかったが、
彼女がこんな凶行に及ぶなんてよっぽどのことだ。

萌の手が再び自身の身体に触れる。

彼女の手は小刻みに震えていた。
親友との関係を壊してしまうかもしれないこの行為。
萌にとっては決死の覚悟なのだろう。

真里は親友が選んでしまったこの方法に、ひどく悲しみを覚えた。そしてそれ以上、彼女に抵抗の意思を伝えるのを止めることにした。



※※※



それから萌は真里を犯し続けた。

媚薬をお互いの身体に塗り、柔らかい胸同士を密着させ、貝合わせを行い、唇を重ね合わせた。

真里は萌との行為によって何度も絶頂に達し、
それにより得た快感は、誠との行為によって得た快感を、はるか超えるものだった。

真里は萌との身体の相性が凄まじく高かったのだ。

特に催眠の影響があったからというわけではない。
それは元々の相性によるもの。

本来一緒になるべき存在。

そう運命を感じさせてしまうほど、
二人の凹凸はぴったりと当てはまっていたのだ。

しかし、それでも真里の心は落ちなかった。

彼女の心に根付いている誠への気持ちは磐石なもの。
どんなに強い快感を与えても、それが変わることはなかった。

いつしか萌の心は諦めの気持ちに包まれようとしていた。
元々は不純な動機。根が善人である萌が、そのモチベーションを長く保てるわけがなかったのだ。
そしてその反動で、萌は後悔の念に包まれることとなる。


「ごめん、真里……私のこと、嫌いになったよね……
こんな……レイプなんかして……ぁ……ぁぁ…………」


天を仰ぎ、涙を浮かべる。

なんて自分勝手なのだろうか。
本当に泣きたいのは真里の方なのに……。

初めから誠に勝てないのは分かっていた。
真里は身体の快楽程度のことで心が揺れるような人物ではない。かつて親友だった自分にはよく分かっていた。

それでも試したかった。
真里に一番近い場所で、幸せな日々を過ごしたかったから。

真里は既に自分のことを軽蔑していることだろう。
まさか自分がこんなにも最低な人間だとは思わなかった。

真里の心を傾かせられなかった以上、あとは警察に自首するだけ……。

命が潰(つい)えるその日まで、彼女には償い続けていくことにしよう。萌はそう考えた。


「真里……今までありがとう……
最後、こんな感じになっちゃってごめんね……」


萌は真里から顔を背け、その場を立ち去ろうとした。
そんな彼女の手を、真里が掴む。


「待って」


怒気を強めた真里の声。
呼び止められて萌は思った。

最後に殴らせて欲しいと言うのかもしれない。
それで彼女の気が晴れるなら……

萌は真里の方を振り向いた。

ギュッ……

途端に萌の身体を真里の両腕が優しく包む。
考えてもいなかった展開に、萌は驚き真里を見た。


「バカ萌、勝手に行かないで……」

「だって……」

「こんなことくらいで、そこまで深刻に考えないでよ!
萌が何考えているか分かるよ! くだらないことしようとしないでっ!」


真里が怒っている。
レイプされたことに怒るなら分かるのだが、
彼女は萌が罪を償おうとしていることに怒っていた。


「付き合うから」

「えっ?」

「萌がそんなに私と付き合いたいなら付き合うから、変なことはやめてっ!」

「でも真里には誠くんがいるじゃん……」

「誠くんのことは考える……だから一旦保留」


そう言い真里は萌にキスをした。


「そんなことより、もう一度エッチしよ? ね、萌?」

「真里……どうして……」


それまでずっと別れを否定してきた真里が、今は考えると言ってくれている。萌には、彼女のその心の変化が分からなかった。

真里は萌を押し倒すと彼女の乳首を口に含んだ。
精一杯、愛情を込めて舐める。

同時にクリトリスへの愛撫も始めた。
真里の性格が現れたような、実に優しい愛撫であった。

数分もしないうちに萌は絶頂に達する。


「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

「萌、気持ちよかった?」

「うん……すごく良かった……」

「そっか。初めて女の人としたから、勝手が分からなかったけど、気持ち良くできて良かった♡」

「でも、本当に良いの?」

「もう付き合うって決めたんだから良いの。
でも自分を見失うのだけは、もう止めなよ?」

「う、うん……ありがとう……真里……」


真里は、顔を真っ赤にして泣き始める萌を抱き締めると再びキスをした。それから二人は萌の部屋に移動し、夜まで交わり続けたのであった。



※※※



真里にとって、萌は大事な親友であった。

萌が自分のことを恋人として好きだと分かっても、
自分をレイプする凶行に及んだとしても、
その意識を変えることはなかった。

萌がそのような行動に出たのは単に『追い詰められていた』からだ。

忍との間で何が起きたかは分からなかったが、
彼女を変貌させるだけの何かがあるのは確かだと思った。

冷静さを失ってしまった彼女を救う方法は、
拒否することではなく、受け入れることだ。

萌の性格を考えると、自分をレイプしたことにより、
良心の呵責(かしゃく)に苛(さいな)まれるのは分かっていた。

そのため彼女が自分の元を立ち去ろうとした際に、
真里は怒ったのだ。

要するに勝手に罪の意識を感じて、
勝手に罪滅ぼしするなということだ。

真里は、萌がそんな状態になるくらいなら、
女同士で付き合うのも、エッチするのも構わないと思った。

自分の貞操と萌を天秤に掛けたら、圧倒的に萌の方に重心が傾く。それくらい萌は、真里にとって大事な人だったのである。

誠に断りも入れず、付き合うのは気が引けたが、
萌がおかしくなるかもしれない緊急事態である。

事情を話せば、必ず誠は分かってくれると思った。

もちろん誠と別れるつもりはない。

一旦保留としたのは、
後程、萌の様子を見ながら妥協点を見出(みい)だすためだ。

本当で自分と付き合いたいのか?
単に一時の気の迷いなのか?

それも確かめたかったし、誠にも相談したかった。
それによって対応を考えようと思った。

真里は誠と同じくらい、萌を失いたくはなかったのだ。



※※※



真里と萌が愛し合っているその頃。

萌と別れ、楔(くさび)を失ってしまった忍は、誠を犯していた。

以前のような催眠への抵抗力はなくなり、
小早川の人形として、好きなように操られていた。


「ほら、マコトちゃんも早く忍ちゃんのように素直になりなさい」


いつものように真里と別れるように促される。
だがどんな方法を使っても、誠は決して首を縦に振らなかった。


「忍ちゃんと恋人だった時のことを思い出して?
忍ちゃんに愛されて幸せだったでしょ?
認めれば、その幸せがずっと続くのヨ? 何を迷うことがあるの?」

「そんな……まがいものの幸せ……要りません……
私にとって……一番大切な人は真里さんです」


そんな誠の態度に小早川は呆れた顔を見せると、調教を終えることにした。


「この方法じゃ、いくらやっても無駄ネ……。
あんな女のどこがそんなに良いって言うのヨ……」


これほどやってもダメなら仕方がない。
小早川は誠に心変わりさせることをついに諦めた。

彼の頭には、
ようやく萌との交際を認めた真里のことが浮かんでいた。

彼女を真性のレズビアンに変えて、誠と別れさせる。

誠を手中に納めるには、
もはやその方法しかないと彼は思った。

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